パラリンアートホームページはこちらをクリックください。

既存のパラリンアートHPはこちら

society

  • 社会
  • SDGs
  • 2020年1月31日

SDGsと密接に関わるESG投資-入門編-

取材・テキスト
大森正也大森正也

はじめに

今までSDGsに関する記事を5つ書いてきました。これらは沢山の方が気楽にSDGsを学べることを目指して書いてきました。

今回は少し掘り下げた記事です。でも、ご安心ください。世界一わかりやすく解説します。トピックは、会社の未来や株式投資に大きく関わるESG投資についてです。

ESG投資とは?

ESG投資とは、どれだけ儲かる事業をしているのかといった財務情報だけではなく、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の観点で企業を評価する投資手法です。

・Environment(環境)    :地球温暖化対策や汚染対策など

・Social(社会)        :人権問題、女性の社会進出など

・Governance(企業統治)     :法令遵守、情報開示など

要するに企業や投資家が社会にとって良い取り組みにお金を出してくれる、ということです。

なぜESG投資が注目されているの?

今やSDGsが世界共通の前提条件となっています。各国の規制はグローバルな目標であるSDGsを無視できません。また、顧客企業や消費者たちもSDGs視点をもったお金の使い方を選ぶようになってきました。そのため、投資家たちも市場にお金を投じる立場としてSDGs視点(ESG投資)が必須になっているのです。

そもそも「市場が持続的に成長しなければ投資家は儲からない」とも考えることができます。実際にESGスコアの高い銘柄は収益性が高いというデータが出ています。(ROESG世界トップ100社、消費者向けが上位に , 日経新聞, 2019/8/12 )

欧州投資家たちの間では、「既存の運用にESGを取り込まなければ、契約がとれない」とまで言われています。また、「投資のプロは目先の利益でなく未来に投資するべき」という風潮が広まってきているようです。

ESG投資家ってどんな人たち?

「社会に良いことに投資する、なんて良い人たちなんだ!」と思いましたか? しかし、実のところ投資家のほとんどが個人ではないのです。機関投資家と呼ばれる組織が個人投資家などから集めたお金を管理・運用し、ESG投資を行なっています。

ESG投資を推進すると公表した有名な機関投資家は

・ブラックロック

・カリフォルニア州職員退職年金基金

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)

などたくさん存在します。

年金積立?気になった方もいるのではないでしょうか。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は日本の機関投資家で、世界最大級の運用資産158兆5,800億円を持っています。(2017年度第1四半期末)

どういうことかというと、日本国民から集めた年金の一部は彼らによって資産運用されているのです。そしてその成果がものすごい。2001年〜2017年の16年間で66.1兆円の収益を生み出しているんです。その収益は年金の給付金や次なる投資にあてられています。その投資がESG投資になってきているということですね。

ESGを推進する機関は、国連責任投資原則(PRI)に著名しています。日本の署名一覧はこちらからみることができます。

下のグラフは国連責任投資原則(PRI)への署名機関数と運用額です。右肩上がりで伸び続けていることがわかります。

グラフ引用:経済産業省、「SDGs経営ガイド」 p.12

ESG投資家は何をみて投資する?

ESG投資家は、持続性のある長期的な事業計画を見ています。すでに実施していたCSR活動にSDGsの各ゴールラベルを貼るだけでは不十分なのです。

事業計画を説明する上で、

①長期的に取り組むことが企業の競争力の源泉になること

②リスク対策

③投資に対するリターン・効果があること

この3つを仮説立てて、検証方法と数字で説明できることが大切になってきます。

おすすめ事例(Global Mobility Service株式会社)

さまざまな事例を調べていく中で、持続性のある長期的な事業計画のとても良い事例を見つけました。Global Mobility Service株式会社です(以下、GMS)。

GMSは、「車のエンジンを外部からコントロールすることで、ローン返済が滞らないかぎり車両を使えるシステム」をつくっている会社です。何がすごいかというと、本来であれば与信がなくローンを組めなかった貧困の人たちも車をもち仕事をすることができるようにしたのです。

Global Mobillity Service HPより

前章で取り上げた3つのポイントを見てみましょう。

①長期的に取り組むことが企業の競争力の源泉になること

このサービスによって豊かな生活を送れるようになった人々はGMSに恩を感じ、ファンになるでしょう。また、データの蓄積も競争力となります。

②リスク対応

IoTによりリアルタイムで車両状況を管理できるため、車廃棄などのリスクを対策できます。

③投資に対するリターン・効果があること

市場全体が成功する計画(車両売り上げ、生産労働人口ともに伸びる)社会へのインパクトがあるストーリー(貧困層の豊かな生活への道筋)が描けているため、説明しやすい。

以上を数字を交えて説明できているからこそ、資金調達できているんだなあと思いました。

SDGsは対話のツール

つまり、SDGは対話のツールなのです。GMSはこの事業をSDGsと結びつけて発信しています。

経済産業省「SDGs経営ガイド」 p.23

ただ単純に既存の取り組みにゴールラベルを貼るのではなく、新しい取り組みの見える化としてSDGsを活用しているのです。この見える化によって車メーカーや銀行、そして利用者は持続性のある長期的な事業計画を理解しやすくなっています。

また、SDGsがもう一つ活躍している点があります。それは17のゴールそれぞれが関わりあっているという視点です。

上の図には載っていませんが、GMSの事業を進める上で配慮すべきゴールがあります。それはゴール13の「気候変動に具体的な対策を」です。

車の利用者が増え労働生産性が上がるのは良いことですが、同時にCO2の排出が増えるリスクがあるのです。この課題に対してGMSは、排ガスや騒音に配慮した新しい車両を利用することで対策しています。このようにSDGsの各ゴールを見直すことで、その取り組みが社会に与える影響を捉え直せるのです。

おわりに

今回はESG投資とは何なのか、そしてどういった取り組みがESG投資を受けているのかを解説しました。

もしあなたが就職や転職を考えていれば、ESG投資に強そうな企業を探してみるとか。

もしあなたが株式投資をしているならば、ESG投資視点を取り入れてご自身のポートフォリオを見直してみるとか。そういった機会につなげてもらえたら嬉しいです。それではまた!

この記事をいいねと思ったら!

    7+
    いいね!

Related Post

What's New

公式SNS