最近よく耳にするSDGs(エスディージーズ)という言葉。この記事をお読みの皆様はこの言葉ご存知でしょうか。
でも「詳しくは知らない」「なんとなくしか理解していない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事は、そんなあなたへSDGsについて全5回の短期連載で分かりやすく説明していきます。
この記事を読んで、SDGsについて理解するとともに、何か心に残ることがあり、「よし、出来ることから始めよう」と行動したくなれば幸いです。
今回SDGsを理解し、出来ることから始めるために、5つのステップを用意しました。
SDGs5つのステップ
- SDGsとは何かを理解する
- あなたの注目ゴールと注目ターゲットを一つだけ決めてみよう
- 関心のあるゴールとターゲットに関する具体事例を一つ調べよう
- 大きな視点の情報を仕入れておく
- 人に話す・書く・伝えるなどアウトプットしよう
それでは一つ一つ見ていきましょう!
ステップ①SDGsとは何かを理解する
SDGsとは「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年までに国際社会が実現すべき17のゴールと169のターゲットを示したものです。
ちなみに、SDGsはSustainable Development Goals の略です。(さらに詳細について知りたい方は、外務省のホームページをご覧ください。)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
簡単に言うと、地球・人類の未来を考えた時にこのままじゃまずい!という出発点から、2015年9月の国連サミットで採択されました。
一部の国だけが頑張って取り組むのではなく、地球規模で考え行動していこうというわけです。
では地球規模でどんな取り組みをしていけばいいのでしょうか?
地球全体には課題がたくさんあります。どこから手を付けていけばいいのかわかりません。
そこで、SDGsでは、17の国際目標(その下に169のターゲット、232の指標)を設定しました。
それがこちら。
このカラフルな画像はいたるところで使われていますので、すでに見たことがあるかもしれませんね。
まず最初は、この1~17について知り「地球にはこんな課題があるんだ」と認識するだけでもいいかもしれません。
世の中の多くの社会問題は、そもそもその存在を知らないことが課題です。
あなたが今日、この記事を読んでSDGsを知ること自体が大きな1歩なのです。
ステップ②あなたの注目ゴールと注目ターゲットを一つだけ決めてみよう
では次に、くわしく17のゴールをみてみましょう。
これらゴールそれぞれに対してターゲットがあります。その合計はなんと169項目にも登るのです。
その一覧はこちら(http://www.maff.go.jp/j/shokusan/sdgs/sdgs_target.html)から確認できます。
ステップ②で大切なことはこれら項目を全部覚えることではありません。
あなたが関心のあるゴールとターゲットを決めることです。
例えば私はゴール2の「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」を選びました。
その中のターゲットは2.3の「2030年までに、土地、その他の生産資源や、投入財、知識、金融サービス、市場及び高付加価値化や非農業雇用の機会への確実かつ平等なアクセスの確保などを通じて、女性、先住民、家族農家、牧畜民及び漁業者をはじめとする小規模食料生産者の農業生産性及び所得を倍増させる。」を選びました。
理由はシンプルで、幼い頃に実家の畑で野菜を育てていたという経験があったからです。
自分の幼少の経験をもとに、農家や漁業を営んでいる人たちがこれからも経済的に苦しむことなく続けてほしいと願い、活動していこうと考えました。
このように17のゴールと169のターゲットから、あなたが興味関心のある事を一つ決めてみましょう。
ステップ③関心のあるゴールとターゲットに関する具体事例を一つ調べよう
(参照:Keidanren SDGsより)
さあ、ここからは具体事例を見つける大事なステップです。事例を知ることでSDGsを身近に感じることができるでしょう。
事例探しでオススメのサイトは経団連のデータベース(https://www.keidanrensdgs.com/home-jp)です。
あなたがステップ②で決めたゴールをクリックすると経団連所属企業の具体事例が出てきますよ。
私の場合は、キリン株式会社の取組みに注目しました。
岩手県遠野市と連携した国産ポップ生産を支える取り組みです。
キリンは遠野市の農家とポップ生産の契約をなんと55年間も交わし続けています。しかし近年、農家の後継者不足からその生産量が大幅に減少しています。
2005年時点の生産量500トンから2017年には270トンまで落ち込んでしまいました。このような状況下で、キリンの経営判断としては国産ポップの調達をやめ輸入ポップに切り替えるという選択肢が有力でした。
ところが、キリンはこの課題に対して、国産ポップを使ったクラフトビールブランドをつくることで解決を計画します。
クラフトビールという新たな市場を作りながら町おこしにも深く関わることを発表しています。
これはまさにSDGsな経営判断といえるでしょう。このように、具体事例に触れることでSDGsの取り組みをより身近に感じることができたのではないでしょうか。
より身近に感じた取り組みに対して、「自分でできることからやってみよう」という思いから、「普段飲むビールをキリンのクラフトビールにしてみる」という行動に変えていくのも良いでしょう。
消費者としてSDGsに関わり、個人が出来るアクションの一つになります。ぜひあなたも関心のあるゴールから一つ事例を調べ、まずは自分のできることからアクションしていきましょう。
ステップ④大きな視点の情報を仕入れておく
個別事例から自分ができることをやってみるだけでも素晴らしいことですが、さらにSDGsに興味がわいた人は、日本や経済といった大きな視点の情報を把握してましょう。自分の世界を少し広げてみると、これまで知らなかったこと、気づかなかった視点を持つことができると思います。
そんな事例をここでは3つご紹介します。
○SDGsへの貢献が高い企業ほど経営もうまくいっている
日本経済新聞社が実施した「SDGs経営調査」において、上位34社は後続のグループに比べて自己資本利益率(ROE)が高い傾向がみられました。つまりSDGsが求めるサステナブルな視点や課題解決力が企業の成長を促していると言えます。
参考文献) 2019/12/02 日本経済新聞 朝刊 1ページ
○世界のESG投資3344兆円
環境(Environment)や社会(Social)、ガバナンス(Governance)といった非財務情報を評価し、実施する投資を「ESG投資」と呼びます。世界でのESG投資額合計は年々増加傾向にあり、2016年からの2年間で34%増の3344兆円となっています。ESG投資を受ける上での企業の活動指針としてSDGsが活用されています。
参考文献) 2019/11/29 日経産業新聞 2ページ、大和総研 2019年4月4日ESG投資レポート
○日本はSDGs達成度で出遅れている!?
2019年のSDGs達成度国別ランキングで、日本は15位でした。そしてなんと17のゴールの内、達成していると評価されたのは、「質の高い教育をみんなに」と「産業と技術革新の基盤をつくろう」の2項目のみでした。
また、課題があると指摘されたのは、「ジェンダー平等を実現しよう」「気候変動に具体的な対策を」「つくる責任つかう責任」「パートナーシップで目標を達成しよう」の4項目でした。
参考文献)2019/12/02 日本経済新聞 朝刊 23ページ
このようにマクロ視点の情報は新聞社の記事や書籍から見つけることが出来ますし、日々のネットニュースでも読むことができます。
常に色々な視点からSDGsについて情報収集していると、日常生活にも変化があるかもしれません。ぜひチェックしてみてください。
【キクエスト編集部がおすすめのSDGs関連の情報源】
外務省HP:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/index.html
経団連SDGs:https://www.keidanrensdgs.com/home-jp
READY FOR SDGs:https://sdgs.readyfor.jp/
HUFFPST SDGs:https://www.huffingtonpost.jp/news/sdgs/
ステップ⑤人に話す・書く・伝えるなどアウトプットしよう
そして最後のステップです。自分ができることをやってみたら、その感想や思い、行動に至った経緯など、今度は情報発信していきましょう。
SDGsは、一人だけでは為しえません。多くの人間が一人一人が行動し、やがて大きな渦のようになっていかないと地球規模でなかなか変わらないからです。
まずは自分の体験や思いから誰かに話をしてみたり、ブログやSNSで書くといったところから始めてみましょう。あなたと同じようにSDGsに関心がある人達と繋がるようになるかもしれません。
以上「SDGsを知って、明日出来ることから始めよう」いかがだったでしょうか。今日からあなたもSDGsについてできることからやってみませんか?
SDGsに関心を持つ人が一人でも増えること、それが17のゴール達成への道筋であると信じています。
執筆
早稲田大学創造理工学部総合機械工学科卒業。数値流体解析の研究を通じてコンピューターサイエンスに夢中になる。個人でWebサイト制作などの受託開発経験を経て法人化。サップというマリンスポーツの選手。2018全日本選手権9位。海や川で活動する中で地球環境問題に強く関心を持つ。SDGsが掲げる持続可能な国際社会への貢献を心がけている。