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  • 2023年10月12日

【イベントレポート】 中山秀征理事 障害とWell-beingについて語る@パーソルグループ

取材・テキスト
パラリンアート管理者

こんにちは、パラリンアート運営事務局 工藤です。

「知らない世界を知るメディア」というキクエストの原点に立ち返り、「知っているようで知らない社会課題を知り、明日ひとつ行動してみよう」と、記事を読んでくれた皆さまに思っていただけるような情報をお届けする連載企画。

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンとして掲げ、人材派遣や、転職・就職支援など、さまざまな「はたらく」機会を支援しているパーソルグループをCMなどでご存じの方も多いはず。そんなパーソルグループは、「はたらいて、笑おう。」をすべての人が実感できる社会を目指し、障害者雇用にも力を入れています。

今回は、パーソルグループの障害者雇用支援月間 特別セミナーに、タレントでパラリンアート運営事務局の理事でもある中山秀征さんとパーソルグループの社員が登壇した模様をご紹介していきます。

 

 

■“はたらくWell-being”とは

セミナーの内容の前に一つ。皆さんは「Well-being」の意味をご存じですか?聞いたことがある、なんとなくわかっているけど……という方が多いのではないでしょうか。

Well-beingとは、直訳すると「幸福」「健康」という意味があります。Well-beingの定義においてよく引用されるのが、世界保健機関(WHO)憲章の前文の一節です。


“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and
not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、
肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。


つまり、Well-beingとは幸福で肉体的、精神的、社会的にすべてにおいて満たされた状態をいいます。

では、セミナーの表題にもなっている“はたらくWell-being”とはどういう意味でしょうか。
パーソルグループでは“はたらくWell-being”を
人生で多くの時間を費やす仕事だけでなく、学びやリスキリング、家族や友人と過ごす時間、子育てや趣味なども内包され広い概念で生きることと同義ともいえる、重要性の高いテーマ
としてとらえ、様々な機関と連携・協力して、あらゆる人の“はたらくWell-being”の実感向上を目指しているそうです。

「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げている企業らしい言葉、とらえ方ですね。

ここからはセミナーの内容についてご紹介していきます。

 

■セミナー登壇者

セミナーには3名が登壇されました。

● 中山秀征さん(タレント/パラリンアート運営事務局理事)
85年にデビュー以来40年以上テレビドラマやバラエティー等幅広く活躍。2019年に障がい者自立推進機構 パラリンアート運営事務局の理事に就任。

● 渡邊雅徳さん(パーソルダイバース株式会社)
2017年に若年性アルツハイマー型認知症を発症。職場退職後、認知症支援団体のスタッフの活動などを経て、2022年にパーソルダイバース株式会社に入社。現在は就労移行支援施設の利用者や支援学校の生徒に向けた実習の運営補助業務や、認知症当事者として社会への理解を深める発信なども行う。

● 清宮宏章さん(パーソルテンプスタッフ株式会社)
2004年に網膜色素変性症と診断され、95%視野を損失。失明の不安、絶望感のなか、サンクステンプ株式会社(現パーソルダイバース株式会社)との出会いから再起し、テンプスタッフ株式会社(現パーソルテンプスタッフ株式会社)に入社。現在はコーディネーターとして派遣スタッフへの仕事紹介や終業後のフォローなどに従事。

 

■セミナーの内容について

中山さんと2名のパーソルグループの障害がある社員が行うセッション。話は障害を発症した当時のこと、そこから今に至るまでの苦労、どんな時に幸せを感じるのか、どうしたらはたらくことを通じて幸せを感じることができるのかなどなど、様々なトピックについて意見が交わされました。

 

■障害を抱えたことで自暴自棄になった過去

はじめに登壇者の自己紹介。障害がある渡邊さんと清宮さんからは障害が発覚した当初のころについて「自暴自棄」「不安」という言葉が出てきます。普通に生活をしていたところから、急速に変化する自分の体や周りの状況への恐怖との闘いが伝わってきました。とても印象的だったのが、「自暴自棄」になっている自分から、現在のイキイキとはたらく状態になるまでに助けてくれた人たちの話。ずっとそばで支えてくれた奥さんや、講演で出会った同じ病気を抱えているにもかかわらずイキイキとして励ましてくれた人、職場で支えてくれた人など、たくさんの方々に向けて感謝の言葉を伝えたいとおっしゃっていました。そんな話を聞き、中山さんは

「言葉にならないような思いがある中で、新しいステージを見つけることができた、見つけようと前向きになったことが素晴らしいことだと思う」

という言葉をかけていました。

 

■役割を得られる喜び

「いま、はたらくことを通じて幸せや充実感を感じていますか?」「違いや制約を超えて、“はたらくWell-being”を掴むためにはどうしたらいいと思いますか?」と司会者からお題が振られます。

清宮さんからは、
「家に引きこもり、自分に障害があることを恥ずかしいと感じていたが、仕事ができること、当たり前の日常が幸せ。目を悪くしたからこそ感じるようになった。」
「障害があることはどうすることもできないが、小さな成功を積み重ね、得意な分野を伸ばしていくことが大切だと思う」
渡邊さんからは、
「これまでの人生で自分が果たす役割が無かったが、仕事や講演活動などの役割を今は持つことができている。役割を持てることがうれしい。認知症になってからの方が自分の生活を充実させられていると実感している」
と前向きに答えられていました。

そんな話を聞き、中山さんは
「経験者しか話せない言葉がとても大きく感じる。しんどいことを乗り越え、楽しく話せているということが素晴らしいし、大切なことだと思う」と仰っていました。

 

■先回りの配慮は必要ない

「“はたらくWell-being”を掴むために」どうしたらいいのか、という問いに対して、清宮さん、渡邊さん両名から共通して出てきたのが「自分をさらけ出すこと」。
恥ずかしい、迷惑をかけたくないという想いは最初あるが、伝えておかないとどんどんと自分をごまかしてしまう。会社や周りからは、わがままや、どんな配慮をした方がいいのかわからないと感じられてしまい、はたらいている側は「わかってもらえない」と退職に繋がってしまうケースもあるとのこと。

その一方で、印象的だったのが「先回りの配慮は必要ないと私は思う」という渡邊さんの言葉でした。これは「普段自分が意識してなかったことにも、周りの反応や先回り過ぎる配慮のせいで逆に実感してしまう事がある」ということ。例えば、「障害」の害という字を「障がい」とひらがなで記載することも多くありますが、自分たちは「障害」を害とは感じていないのに、周りの人はそう思っているかも、と感じるなど。また、「普通にこれはできるのに、できないと思われている」と感じることもあるそうです。

これに対して中山さんは
「周りも気を使いすぎて変な風になってしまうこともある。気を使いすぎず、聞きたいことがあればそのまま素直に聞くことで、素直になれ、そこからさらに興味を持つことができると思う。みんな違ってみんないいと思うと気が楽になりますよね」と共感されていました。

 

■視聴者に向けて

視聴者に向けて、3名はこのようなメッセージで締めくくっています。

【清宮さん】
今すぐ前向きになるということは難しいと思う。ただ、前向きに少しでもなれたときに、その道のりを他の人に発信してほしい。

【渡邊さん】
障害者雇用を考える上で、雇われた側は自分を理解し、自分のことを隠さずに発信することが大切だと思う。また同様に、会社側も発信しやすい環境づくりを考えて行くべき。お互いが掛け合わさることが重要だと思う。

【中山さん】
皆さんが明るく話せること、心に元気があることが大切だと感じた。自分自身が卑下していても周りから見ると、実はすごいということはたくさんあると思う。自分ができることを発信して欲しい。

 

■イベントを終えて

イベントのリハーサルの時から見学させていただきましたが、セミナーの中でも仰っていた「素直に聞く」「自分をさらけ出す」ということを3名とも実行していらっしゃることがとても印象的でした。リハーサルや本番前から楽しそうにお話される3名と司会の方、周りのスタッフ。障害の症状や普段の生活、仕事についてなど、セミナーでは語られなかった内容もありましたが、本番前に自分をさらけ出していたからこそ、本番でもリラックスして、お話ができるのでは、と感じました。自分をさらけ出すことはとても勇気のいることだと私は思います。その勇気を振り絞ることで、自分自身だけではなく、周りの人のためにもなることを、このセミナーで学びました。人に、自分に、素直に生きたいですね。

 

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