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  • 2020年5月26日

HSPは生きづらい?HSPの人がストレスフルな新型コロナウイルスとの共存生活で生き延びる方法

私たちの生活に大きな変化と傷跡を残した新型コロナウィルスは、繊細すぎる感性を持ち、生きづらいと言われるHSPの気質を持つ人たちにどのような影響を及ぼしたしたのでしょうか。

実際にHSPの性質を持つ筆者が、敏感な気質であるHSPとどのように付き合ってきたのか、ここ数ヶ月の暮らしを振り返るのと同時に、本当に新型コロナウイルスが敏感で繊細なHSPの気質を持つ人に対して不仕合わせな結果となったのか、考察していこうと思います。

HSPとは

HSPとはHigh Sensitive Personの頭文字を取ったもので、日本では「敏感すぎる人」や「とても繊細な人」と訳されています。周囲の状況や人が内包する些細な変化に気付きやすいこのHSPの気質を持った人は約5人に1人の割合で存在すると言われており、その繊細な気質は性格や環境によるものではなく生まれ持った気質と言われています。HSPの特徴と刺激への対処法に関しては前回の記事「最近よく耳にするHSPって何?〜HSPのトリセツ〜」も併せてご覧下さい。

感受性が強く、人が受けた痛みを自分が受けた痛みとして捉えてしまう人も多く、暴力的な映像や映画を見るのを好まないのもHSPの特徴の1つと言えるでしょう。他人と自分の境界線が薄いHSPの人の中には、昨今の新型コロナウィルス騒動で精神的に疲弊してしまった人も多くいるのではないでしょうか。私もその1人でした。

新型コロナウイルスの恐怖と闘う生活、HSPで辛かったこと

今回の新型コロナウイルス騒動の中で精神的に疲れてしまうなと思ったことが幾度もありました。何に疲弊していたのか、当時を振り返ってみると、スーパーでの買い占め騒動などに代表される消費者のモンスター化、そして感染の流行が拡大するにつれて増えていった不確かな情報の多さでした。

消費者のモンスター化

海外で実施された厳粛な外出規制やスーパーの入店規制等のニュースが次第に報道されるようになると、普段買い物しているスーパーでも次第に日用品が少なくなったり、欠品が発生するようになりました。

いつもなら何の不自由なく購入出来ていたものが購入出来なくなるかも知れない不安に加えて、人々が焦り、困る様子や、イライラしている様子が手に取るように分かるようになり、スーパーの中の空気が殺伐としているのがとても辛く苦しかったです。人々の顔が強張り、「あの人は買い占めをしているのではないか」や「(スーパーに対して)商品があるのだろう」など、人を疑ってかかる猜疑心剥き出し状態の消費者のモンスター化に恐怖を覚えました。

買い占め問題が辛かった時に私が取った対策は2点あります。不自由なく購入出来ていたものが購入出来なくなるかも知れないという不安に対しては「自分なら何がどのくらいあれば安心なのか」を考える、ということで不安を解消しました。

具体的には万が一、私やパートナーが新型コロナウイルスに罹ってしまった場合のことを考え、消化の良い食べ物やスポーツドリンクを1週間分程度揃えるのと同時に、新型コロナウイルスが猛威を奮った際の外出頻度を下げる対策として、長期保存の効く食材を中心に買い物をしました。最悪の事態を考え、今出来ることに集中することで不安が薄れていったように感じます。

一方の消費者のモンスター化に関しては人と接触する機会を減らす為、スーパーに行く頻度を減らす、人のいない時間帯に買い物へ行くなどして対処しました。また、度の低いメガネで外出し、イヤホンで好きな音楽を聴きながら買い物をする、など意識を過度に他人に向けないよう意識しました。

心ない情報の乱立から身を守るために

見えない敵の新型コロナウイルスは人々から冷静さを奪いました。真偽や出所が不明な情報が絶え間なく流れていたのは皆さんも記憶に新しいことでしょう。ワイドショーなどでもSNSで流れる不確かな情報を取り上げ、人々の恐怖を煽るような報道が相継ぎました。自分の身を守る為には情報を集めなければならない、しかし情報が溢れかえっている状況で次第に情報の波に踊らされ、溺れていく自分がいました。

情報の波に飲まれていた時に取った対策は情報の選択と集中でした。前述の買い占め時の対策「自分なら何がどのくらいあれば安心なのか」を考えると同じ要領で「自分なら何の情報を手に入れれば安心するのか」を考え、それ以外の情報は徹底的に排除しました。

ワイドショーや発言者の属性が特定できないSNSを見ることを辞め、その代わりにニコニコ動画やYouTube、Twitterなどで中継される政府や地方自治体の記者会見、公式情報を見ることにしました。偶然に目に入った情報に従うのではなく、自分で情報を選択し、自分の耳で聞き、目で見て感じたことを優先したのです。

HSPの気質を持つ人は、物事の本質を見抜く力が強い人が多いと言われています。不安定な状況だからこそ、自分はどうしたいのか、その為には何をしたらいいのかを自分の頭で考え、整理し、理解していくことが自分の精神状態を保つ上で重要だったと当時を振り返って思います。

新しい生活様式でHSPの人に生きやすい社会になる?

新型コロナウイルスが流行するに連れて感染拡大防止のため、様々な工夫と対策が取られました。ここからは新型コロナウイルスの流行で定着しつつある新しい生活様式の中で、コロナウイルスが鎮静化した後も継続して欲しいと感じる社会の変化についてお話していこうと思います。

自分と他者の間に一線を引くソーシャルディスタンスの普及

レジなどに貼られたビニールの幕やソーシャルディスタンスの普及はHSPの気質を持つ私にとって、感染防止の側面以上にメリットを多く感じました。

否応無しに刺激に反応してしまうHSPの人たちの中には、刺激から身を守るために物理的に他人と距離を取りたいと思っても、これまでの「前から順番に、間隔を空けずに」という秩序に則り、距離を詰める、詰められることで辛い思いをした経験がある人もいるのではないでしょうか。

しかし“ソーシャルディスタンス”と言う言葉が普及するにつれ、多くの人がパーソナルスペースを気にするようになりました。ソーシャルディスタンスを取る、という新たな社会通念が広まったことで、HSPの人たちがこれまで気にしていた人との距離感を皆が案じてくれるようになったのです。

オンラインサービスの発展・普及

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、従来の「働き方」も大きく見直され、「テレワーク」が推奨されました。オンライン会議システムも一般的になり、今回の騒動をきっかけに初めてオンライン会議を使用したという人も多くいることでしょう。

これまで会議と言えば一同に会し、意見を述べ合うことが通常でした。しかし私たちHSPの人たちの中にはいろいろな考えを持った人が多く集まるところが苦手と感じる人が多く存在します。

従来の会議は、それの人が持つ“気”や“思い”を感じ取ってしまう、参加者の空気を読んで発言してしまう、など、心理的負担が大きい時間でした。しかし会議がオンラインで行われることによって、受け取る情報が通常の会議より少なくなりました。また会議が終わった後すぐに日常に戻れると言うのも、いつまでも会議の余韻を引きずらなくていいので気持ちの切り替えがスムーズになったと思っています。

しかし、ブルーライトによる刺激や、参加者がカメラの前に座ることで全員の視線を浴びているような気持ちになり体が強張るという状況はオンライン会議だからこそ生まれた刺激ということが出来るでしょう。私はブルーライトをカットするフィルムを貼ったり、PCの画面から離れて会議に参加するなどの対策を講じています。

また、多くのアーティストが自粛期間のエンターテイメントとして、YouTubeなどでこれまでのライブ映像を配信するケースが目立ちました。ライブに演出は付き物です。大きな音が鳴り響く空間での強い光や爆発物の演出、大きな歓声など、繊細な感性を持つHSPの人たちには刺激が強すぎることもあるでしょう。実際に私もこれまでアーティストの公演を見ていて具合が悪くなってしまうことが何回かありました。YouTubeでのライブ映像の配信は私のようなライブに行きたくても行けない人にとって、アーティストを応援する上で大きな救いの手になったと感じています。

オンライン会議やYouTubeでのライブ配信など、対象物と自分との間に一線を引いてくれるオンラインの活用事例はHSPの気質を持つ人たちにとって、大きな一歩となったと思います。

五感をフルに使う生活がHSPでも楽しく生きるコツ

HSPの気質を持つ人たちは周りの環境の刺激にとても敏感ですが、その一方で、日常の小さな変化に気付き、幸せを感じる力も強いのです。

今回のこの新型コロナウイルスの騒動で、家に居る時間が増えました。換気をしようと思って窓を開けた時に吹き込んでくる春の風を吸い込んだり、パンを焼いた時に家の中に充満する香ばしい匂いを感じたり、普段は使わないベランダを掃除してランチを外で食べたり。家にいる時間が長くなるに連れて五感を使って過ごす時間が増えたように感じます。

五感をフルに使う毎日では、日々の忙しさに引きずられ、これまで感じ得ることがなかった1日の変化と身近にあった自然に気付くことが出来ました。朝のまだ冷えていて澄んでいる空気、日中ふとした瞬間に吹き込んでくる新緑の香り、そして夜になるとどこからか聞こえる蛙や虫の鳴き声など。このような1日の変化を感じる体験は、家でゆっくり過ごさなければ見落としてしまうものばかりです。これらの五感で感じた、ありのままの自然の移ろいは新型コロナウイルスに関するストレスを癒すのに十分なものだったと思います。

HSPの気質は生まれ持ったもので病気とは異なり、治療して普通の人になれるわけではありません。自分の特性を理解し自分が苦手とする刺激を排除し、気持ち心地いいと思えるポイントをいかに増やしていけるかがHSPとの付き合っていく上で重要だと考えています。

今回のコロナ騒動の中で私は「何があれば私は安心するのか」に向き合うことでこの難曲を乗り越えました。また、私は嗅覚と聴覚からの刺激により過敏に反応すると自覚しているので、心地の良いアロマを炊いたり、好きな音楽を流したりして疲れた心のケアをすることを重点的に行ってきました。刺激が多くなると疲弊することも多くなりますが、ケアの時間を十分に確保することは「自分の好きな時間」を確保することに繋がります。結果として、日々を穏やかに過ごすことが出来たのではと思います。

「HSPだから生きづらい」と良く聞きますが、敏感で繊細な感性を持っていることが必ずしも生きづらさと直結すると私は思いません。たとえ今あなたがHSPで生きづらさを抱えているとしても、HSPに対する考え方を変えることで、繊細さはあなたの日常を彩る味方になり得ると私は信じています。

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