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  • コラム
  • 姫野桂
  • 2020年4月15日

【独占インタビュー】「家族へのカミングアウト」新宿二丁目で働くゲイの本音〜LGBTのいきづらさ 前編〜

昨今同性愛者やバイセクシュアル、トランスジェンダー、自身の性自認がわからない人など、性的少数者のことを表すLGBT、またはLGBTQという言葉の認知が進んできました。しかし、LGBTと一言で表してもその中でさらに細かく分類されており、最低でも48種類に分類出来るとも言われています。

性的少数者の存在が広く知られるようになる一方で、長らく続くオネェタレントブームの影響もあってか、現状とは異なるLGBT像が植え付けられているように感じます。性的少数者の全員がオネェ言葉で喋るわけではないですし、女装をしているわけではありません。

 そこで今回、性的少数者のリアルを皆さんに知ってもらうために新宿二丁目のゲイバーで働く現役の店子(従業員のこと)の、ぎんじ君としゅー君に、ゲイのリアルな本音を語ってもらいました。

向かって左側ががしゅー君、右側がぎんじ君です

男性と恋愛できる綺麗な女性に憧れていた

———まずはお二人の自己紹介をお願いします。

しゅー:しゅーです。二丁目のゲイバーで働いています。そして、歌い手ユニット『JESTER』の一人です。

ぎんじ:しゅー君と同じゲイバーで働いていて、『JESTER』の片割れです。このユニット名も、僕たちの活動のコンセプトとして掲げている「セクシャルマイノリティ・少数派」という意味を込めています。『JESTER』はニコニコ動画で検索すると出てくるので、興味のある方はぜひ聴いてみてください。

———お二人はいつ、どんなきっかけで自身のセクシャリティに気づかれたのですか?

ぎんじ:小さい頃はきれいな女の人が好きだったみたいで、親に手を引かれていても女性に連いて行っちゃうからよく「スケベ」って言われていたんです。おそらく、男性と恋愛ができる綺麗な女性への憧れがあったんだと思う。そして、物心ついた頃には男性に興味があって、映画のラブシーンでは男性の方ばかり見ていました。逆に、女性の胸とかが映ると少し拒否反応が出てしまったりしたことも。

 大きなきっかけは、小学校2年生の頃の転校。学年で「イケメン」って呼ばれていた男の子にちょっかいを出されたの。最初は頭をポンッと叩かれたり追いかけられたりする程度だったんだけど、だんだんイライラしてきてそいつを「ボコボコにしてやりたい」と思って追いかけたんだけど、その子、足が速すぎて追いつかなかったの(笑)。

 それで、追いかけているうちに「あれっ? ドキドキに変わっている」って気づいて、そこから中学校卒業するまでずっとその子のことが好きだった。

———恋愛のドキドキは緊張などのドキドキと、どう違うんですか?

ぎんじ:う〜ん、怒られるときの緊張感じゃなくて、なんかドキドキする、好きかもしれないからこの人の男性器が見てみたいという衝動がありました。

しゅー:わかる! 性的な衝動!

自分がゲイでないと思い込むために女性と付き合っていたのかも

ぎんじ:僕は「かわいい」よりも「綺麗」って言われたいんです。でも女装したいとか女になりたいと思ったことは一度もない。しゅー君は?

しゅー:俺は元々女の子が好きだったし、今こうやって恋愛対象が男性に変わるなんて想像もしてなかった。

ぎんじ:しゅー君は女性とも付き合ったこともあるもんね。

しゅー:きっかけは大学に入学したとき。俺は芸術大学の出身で、初めてキャンパスに行ったときから校内を同性同士で手を繋いで歩いている人がいたし、1年生のときサークルで先輩から「君はどっち(異性愛者なのか同性愛者なのか)なの?」って当たり前のように訊かれたの。別に恥ずかしいことじゃなくてみんな堂々としていました。

ぎんじ:芸大はセクシャリティに関して比較的オープンなところが多いよね。

しゅー:そこで「こういう世界もあるんだ」って思ったんだけど、今振り返るとゲイの絶対的な要素はあったはず。当時、自覚はなくてもゲイだったんだなって。

ぎんじ:男性器をよく見ていたとか?

しゅー:そういうのはあったよ。

ぎんじ:あるよね〜、分かる。

しゅー:それで、なんで今まで男性に目を向けなかったんだろうと思って。もしかすると自分がゲイじゃないと思いこむために女の子と付き合っていたのかも。別に女の子が嫌いなわけじゃないけど、しっくりくる感じもなかった。

ぎんじ:女の子と付き合っているとき、無理していた感はあったの?

しゅー:ないつもりだったけど、今思うと相当無理してた。自分で気づかないようにしていただけで。

ぎんじ:ましてやしゅー君ってネコ(セックスの際に女性側の役)だから今は掘られてるのに、昔は女の子を掘り倒してたっていうのが俺としては衝撃的。

しゅー:確かに急に真逆に行った(笑)

二丁目もこの10年で変わった

———しゅー君は大学生の頃に気になる男性が現れたのですか?

しゅー:現れたというより、自分の気持ちの整理がついた感じ。もしかしたら今、自分の隣にいる人が一生のパートナーになるかもしれないのに、その人のことを見ようともせず「男だから無理」「女だから無理」ってなるのがもったいなと思うようになった。

じゃあ自分は男性も女性も両方イケるのかなと思ったけど、結局はその後知り合った男性を好きになって、そこから純粋にゲイの道を突き進み続けた感じ。

———初めて二丁目に足を踏み入れたのはいつですか?

ぎんじ:俺、高校と大学は自分で学費を払って出てるんです。でも大学生の頃、学校側とトラブルがあって突然奨学金を打ち切られて、急にお金が必要になってしまって。それで、最初はウリ専(男性が男性に身体を売る風俗)をやろうと思ったんだけど、面接に行ったらテストで実技をしなきゃいけなくて、全然できなかったの……。

でもお金はすぐ必要だったから「ゲイバー スタッフ」でネットで調べて。たまたま二丁目のお店が出てきたのがゲイバーで働き始めたきっかけ。

そのときはまだお酒に強くないのにお客さんに無理やり飲まされて、朝方に螺旋階段で潰れちゃったの。そしたら知らない男性に、男性器で口の周りを撫でられたり顔を叩かれたりして、でも酔って動けないから泣きながら「辞めてください」って言ったことがある。

それだけつらいことがあったから、1年も経たないうちに1度辞めてるんだけど、そのときお世話になった先輩が独立してお店を出すことになって、また二丁目に戻ってきました。そこからずっと二丁目にいるから、この世界にトータルで9年くらいいます。

———壮絶な体験をされたのですね……。しゅー君はいつ二丁目と出会ったんですか?

しゅー:僕は21歳のときだったかなぁ。大学に行って、自分ももしかしたらゲイかも?と思って一度くらい二丁目に行きたかったんだけど一人で行く勇気が出なくて。そしたらちょうどその頃、女の子の友達から「二丁目で飲みたいんだよね。嫌かもしれないけどついてきて」って言われたのが最初です。心の中では小躍りしていました(笑)。

しばらくはお客さんとして飲みに行っていて、そこからしばらくブランクがあった後、今のお店に店子として入りました。

———ゲイバーもいろんな方針のお店があると聞きます。女性客はお断りだったりチャージ料が高かったり。

ぎんじ:この 10年で二丁目はずいぶん変わったと思います。俺が働き始めた頃は「前髪系」というジャンルの、前髪が長いジャニーズ系の店子がいるお店が人気でした。ホストクラブと比べるとイケメンと安く飲めるので、ホストクラブ代わりの感覚で来店する女性のお客様が増えたため、女性はチャージ料として2000円取っていたお店もあります。女性が多すぎると男性のお客さんが入りづらくなってしまうこともあるので。

やはりどのお店もゲイのお客様を大事にすることを徹底していました。昔は、ゲイバーは唯一ゲイがゲイであることを隠さないでいい場所だったからね。

ここ数年はどこもスタイルが変わってミックスバー(男性も女性も気軽に入れるお店)が増えた気がします。ゲイオンリーのお店もいくつかあるけど、昔ほど、舐め回すように男性同士が値踏みするようなお店は見なくなりました。

しゅー:お店によってジャンルがあるよね。

遺産のためにゲイをカミングアウト

———お二人は家族や身内にゲイであることをカミングアウトしていますか?

ぎんじ:俺は母親と妹にはカミングアウトしています。父親は再婚で高齢なので理解を得づらいかなというのと、長男なので心配をかけたくなくてしていないです。

二十歳過ぎくらいの頃、当時5年付き合った人がいたんです。ゲイって半年くらいで別れる人が多い中、こんなに長く付き合ったのはレジェンド級よ。それで、付き合って3年目のとき、この人とずっと一緒にいるかもしれないと思って「何歳になったら家を建てよう」とか人生設計をしたの。でも、そのときに家族に説明できないのは嫌だな、そもそも黙っている理由もないなと思ってきて。

今まで家族に言わなかったのは、妹が地元に住んでいるのでお兄ちゃんがゲイであるためにいじめられる可能性があったから。俺は学生の頃から部活を頑張ったり生徒会をやったり、見た目も小綺麗にしたりして「●●ちゃん(妹)のお兄ちゃんは綺麗でカッコいいね」って言われるようにしてたの。俺が原因で妹がいじめられるのは嫌だから。

それで、妹がもう学校を卒業していじめられるような環境じゃなくなった頃にカミングアウトしました。でも結果、そのときの彼氏とは別れたんだけどね!(笑)

———妹さん思いなんですね。しゅー君は家族にカミングアウトしたんですか?

しゅー:僕は親にはカミングアウトしていません。唯一しているのは二人の妹だけ。妹に関しては言わなくてもいいかなとずっと思ってたんですけど、順番的には両親の方が先に亡くなってしまう。妹は「結婚したい、子どもが欲しい」と言っているので、遺産の話になったときに妹に全部あげたいと思っていて。

ぎんじ君と一緒で、僕も長男だから親も孫を期待しているだろうし……。母親は妹に早く結婚してほしいと思って圧をかけています。そういうのを自分だけ蚊帳の外で見ているのも嫌だなと思って、妹には全部話し、「遺産は妹二人で半分ずつ分けてね」って話はしました。

———そのときの妹さんの反応はどうでしたか?

しゅー:多分、勘付いていたみたい……。

ぎんじ:わかる! うちの妹も勘付いてたみたいで、言ったらすごくスッキリしてたよ。

しゅー:うちはそこまでではなかったけど、カミングアウトする前、一緒にご飯を食べていたとき突然「そういえばこないだテレビでLGBTの話をしてて……」って振ってくるの! それも何度も。なんでこんなにLGBTの話をしてくるんだろうと思ったけど、多分バレてたんだね(笑)。

ぎんじ:でもうちも妹に遺産の話はした。俺、長男だから全部あげるって言ったし、「俺は子どもができないから妹が婿をもらうことになったらサポートするね」という話も妹が19歳の頃にした。

しゅー:やっぱ遺産の話はするよね。

>>後編へ続く

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