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  • コラム
  • 姫野桂
  • 2020年9月1日

病気ではなく気質? HSPを精神科で診てもらえない理由

HSPは医学分野で習わない

 最近、メディアでHSPが取り上げられることが多く、その名を聞いたことのある人もいるのではないでしょうか。HSPとは(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字を取ったもので、簡単に言うと刺激に敏感過ぎる特性を持つ人のことです。しかしHSPは病気ではないと、精神科医でYouTuber活動をしているメンタルドクターSidow先生は断言します。今回はHSPとは何なのか、HSPの人が生きやすくなるための対策をうかがいました。

メンタルドクターSidow先生

※HSP・・・光や音の刺激に極端に弱かったり、この事を考え込みやすかったり、ちょっとしたことで涙が出たりする。また、衣類の素材にも敏感でチクチクする場合がある特性。

———HSPは病気とは異なるとのことですが、どういうことなのでしょうか?

Sidow先生(以下、Sidow):HSPは医学では習わない分野で、現在の流行のきっかけは、心理学の分野からきたものだと思われます。2015年頃に海外のHSPの翻訳モノの本が発売されたことから、近年ここまで話題に上がっているのかと。正直、僕もほんの最近まではHSPの存在を知らず、2018年頃にネットの記事で知ってから調べ始めました。だから、中には全く知らない精神科医もいると思います。ですので、精神科に「HSPなので診てください」と言っても処置などはできません。

———先生の診療にも「HSPだと思うのですが診てください」と言う患者さんは来られますか?

Sidow:たまにいますね。でも、それに対してどうしましょうみたいなことは積極的にこちらからは言いません。おそらく患者さん本人がHSPについて調べて当てはまるかどうか考えているはずなので……。

後天的な場合、別の病気を疑うべきケースも

———HSPは先天的なものなんですか? それとも後天的にかかることもあるんですか?

Sidow:先天的のものです。逆に、後天的にHSPの特性が現れ始めたら別の病気を疑われます。例えばうつ病になりかけの時期は感覚過敏になるし、泣きやすくなったり落ち込みやすくなったりします。だから、HSPかと思っていたら初期のうつ病の症状だった、ということはあると思います。

———以前、「HSPが原因で適応障害になってしまった」と自称する人に出会ったことがあります。このように、HSPが原因でうつ病や適応障害になってしまうことはあり得ますか?

Sidow:アルコールに弱い人がアルコール依存症になりやすいよう、やはりなりやすさのような体質に近いものはあると思います。でも、HSP事体を治す方法はありませんし、うつや適応障害の理由付けにはなっても対処法までは繋がらないのかなと。

先程も医学の面ではHSPは知られていないと申しましたが、正直なところ、世間で取り上げられているHSPのイメージと実際に現場で医療に携わっている者としてはギャップを感じています。なぜ、今こんなに話題になっているのか分からないでいます。

治せないが生きやすくなるコツはある

———Sidow先生はYouTubeの動画でHSPについて、病気ではないから治せないけど、生きやすくなるポイントがあると語ってらっしゃいましたよね。

Sidow:はい。HSPには大きな音や人混みに疲れてしまう特性があるので、そのような大きな音が出る場所や人混みに行かないことが重要です。また、感動する映画や音楽で泣いてしまうような人は、「自分は感受性が豊かなんだ」と前向きに捉えることで生きやすさにつながるのではないでしょうか。

精神医学的にはHSPを俯瞰的に見ている部分があるのですが、「こんなに敏感な人がいるんだ」「考え込みやすい人がいるんだ」とHSPの認知が進んで知られることは、HSPを持っている人にとってプラスになるのではないかと個人的に思っています。

———ありがとうございました。

Sidow先生の話から、メディアで話題になっていることと実際の現場での極端なギャップと戸惑いがうかがえました。今、HSPに関する書籍はたくさん出ています。それらを読んでもし、自分がHSPかもしれないと思っても悲観することなく、Sidow先生の言うように前向きに捉えて自分の取り扱い説明書の一つに入れていけばいいのではないでしょうか。

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