コロナ渦により今まで以上に他人の生活が浮き彫りに
コロナ渦の昨今、人と会う機会が減ったと同時にSNSなどのオンラインで人の言動を意識するようになった人もいるのではないでしょうか。あの人はテイクアウトでおいしそうな食事を食べている、あの人はオンラインで配信して輝いて見える、あの人は子どもと一緒の時間をうまく過ごしている……などなど。
例えば私は、独身で孤独、不安定なフリーランスという職の身。コロナ渦により人と話す機会が減ったので、せめて家族と会話を楽しんでいる人を羨ましく感じてしまうことがあります。しかし、実際に詳しく話を聞くと、家族内での衝突やうまくいっていないことがあることも多く、何も問題がない家庭のほうが珍しい事実が浮かび上がります。
そして、たいていSNSに上げるものはその人にとって特別なもの。普段、嫌なこともあるから少しでもいいことがあったらSNSに上げるのです。羨ましく見えて当然です。それに、大げさに見せる人や「盛れている」写真や「映える」写真をアップする人、時には嘘の投稿をする人もいます。
そのあたりを事実だとすんなり飲み込んでしまうと余計嫉妬や羨望に苦しめられてしまいます。今、なかなか人に会いづらい状況が続いており、SNSに依存しかけている人もいるかもしれませんが、SNSは付かず離れずの距離を保っていたいものです。
かくいう私も、家族を持つ人の投稿に嫉妬して卑屈になっていた時期がありました。しかし、上記のことを改めて考えたり、一度冷静になって考えたりすることでその卑屈さを解消することができました。
例えば、家族を持って楽しそうな育児の写真をアップしている人がいたとします。でもその人は育児のためにキャリアを断念したかもしれない、育児に時間を取られてオシャレができていないかもしれない。対して私は好きな仕事をして結果を出し、好きな髪色でネイルサロンにも通い、自由に暮らしています。育児に専念している人にとっては逆に私が嫉妬の対象になり得る可能性もあるのです。
こうやって、今の自分ができていることとできていないことを考えるだけでも、少しは嫉妬から開放されるのではないでしょうか。
誰だって光と影がある
今までもSNSで人の動向が気になっていた方はいたと思います。しかし、コロナ騒動によってそれがより明確化されたように思います。「なんで自分だけがダメなの?」と落ち込んでいる人もいるかもしれませんが、みんな何かしら困難を抱えているのです。
例えば、私はたまに「発達障害者なのに本を出したりメディアに出たりしてキラキラしている」「こんな承認欲求の塊のような人の本が支持されている意味がわからない」など、同じ当事者から嫉妬されることがあります。その当事者にとっては私がキラキラして見えるかもしれません。でも、私だって自傷行為をすることがあるし、飲んでいる精神薬の量は多いし、身体と精神がつらいときもあります。発達障害の特性を理解してもらえないお取引先様にあたることだってあります。そのような裏の苦労をSNSに書いたとしても、卑屈になっている人の心には入っていかないでしょう。輝いて見える人も光と影があることを知っておいてもらいたいですし、私自身も戒めとしてここに書き記しておきます。
そして、人と比べるのではなく、今までの自分と比べたほうがよほど心が楽になります。今までの自分はこれができていなかったけどあれができているから褒めてあげようとか、今までの自分はあれがやれていたのに今はやれていない。ならば改善策を考えなければ、など、より前進できるヒントが自分の中には眠っています。
もし、過去の自分と比べるのが難しいのなら、仲の良い友人や知人に第三者の目線で判断してもらう手もありです。私もたまにこの手法を使います。「私に今足りていないものは何だと思う?」とストレートに聞いたことがあります。そして「男(パートナー)」と即返ってきたときは笑いました。このようにコミュニケーションを取りながら指摘してもらうと、周りから自分がどう見られているのかがわかりやすいです。よく、「人からどう見られているのかが気になる」と悩む人がいますが、案外何とも思われていないケースも多いです。みんな、他人のことより自分のことに必死なのです。特に、今の時期はコロナ対策で他人の目を気にしているどころじゃない人も多いでしょう。
最初は「なんだあれ?」と笑われていたフェイスシールドだって今や飲食店やデパート、カラオケ店などでは普通に取り入れられて何の違和感も抱かれていません。それを見ると、今は誰もが必死です。卑屈になっている暇すらないのではないでしょうか。
繰り返しますが自分だけがダメなわけではありません。私が言ってもなかなか信じてもらえないのですが、私だってダメな部分がたくさんあります。朝なんて起きられず9時過ぎまで寝ていますからね……(笑)。
他人を羨んで攻撃したり卑屈になったりする前に、まずは自己分析を進めて少しでも楽になる方法を見つけてください。そして、それが厳しいのならば他者からの介入を求めて第三者の目線を大切にしてください。