「障がい者アート」というちょっと他とは違う商品を扱う株式会社パラリンアート。
村山朝和(むらやま ともかず)さんは、そのパラリンアートで営業全般に関わる、営業部門の責任者です。
穏やかな物腰の村山さん。お話を聞くうちに、村山さんの中に強くある「寄り添う」という思いが伝わってきました。
パラリンアートのやりがい・働きがい
———パラリンアートで働く以前はどんなお仕事をされていたのですか?
村山:以前は葬儀関係の会社で営業をしていました。
葬儀で営業と聞くと「何をするの?」と思われるかもしれませんが、普段からお客様とのお付き合いを大切にしていくという点では、一般的な営業と変わりません。
葬儀を頼まれる方のほとんどは喪主などの経験も初めてですし、大切な人が亡くなって辛い思いをされています。
そんな時に頼って下さり、「お願いしてよかった」と言って頂けた時は本当に嬉しかったです。
———前職を辞めてパラリンアートで働くことになったきっかけは何だったのでしょう?
村山:お客様が一番悲しい時に寄り添う事ができる、働きがいのある仕事だったのですが、葬儀なので当たり前ですが24時間365日の対応が必要でした。
休みも全然取れず、家族との時間も全くなく、このままでは私自身が体を壊してしまうと思い辞めました。
パラリンアートは前職の時に知り合った方にご紹介頂いたんですが、取り組みが素晴らしく非常にやりがいを感じています。
———障がい者のアートを扱うお仕事ですが、ご自身は以前から障害者と関わりがあったのでしょうか?
村山:実は、実家の目の前が視覚障害がある方の入居施設だったんです。なので小さい頃から、交流会や夏祭りなどでよく施設に遊びに行っていました。
さらに大おじ(祖母の弟)も聴覚に障害があり、私にとっては生活の中に障害がある方がいるのが当たり前でしたね。
私自身も子供の頃に腎臓が悪く、健常児と違って体が弱かったんです。今は病気は完治しましたが、当時の自分自身の体験が今の仕事につながっている部分もあります。
障がい者アートへの想いを伝える仕事
———お仕事をされていて、大切にされていることはありますか?
村山:営業として、普段から多くの方にパラリンアートについてお話をする機会がありますが、皆さんにいい取り組みですねと言ってもらえます。
私は、パラリンアートで売っているのはアートではなく、「想い」や「取り組み」だと思っているんです。
例えばパートナー企業さんが、パラリンアートに登録されている障がい者アートを使って、カレンダーなどを作って下さったとしますよね。その時は、必ずアーティストさんにその成果物をお送りしています。
アーティストさんたちに、実際に自分の描いた絵が形になったのを見て、喜んで欲しいんです。
———私も、パラリンアートの取り組みはとても素晴らしいものだと思います。パラリンアートの取り扱い作品の中で、思い入れのある作品などはありますか?
村山:作品はどれも素敵なので、全部大切に思っているのですが…あえてひとつ選ぶとしたら、こちらの「みずおばけ」という作品ですね。
村山さんが取り出したノートパソコンのケース。表面の可愛らしい絵が、村山さんの好きな「みずおばけ」という作品です。
村山:実はこのケース、パラリンアートと交流がある大阪の「工房はんど」さんという障がい者の就労支援施設で、特注で作ってもらったんです!
———え!?村山さんが発注したオリジナル品ということですか?
村山:そうです。全て手作りで作ってもらいました。「みずおばけ」を描いた菜の花さんは、工房はんどで働くアーティストさんで、パラリンアートにも作品を登録してくれています。
企業様向けの営業では、なかなかアーティストである障がい者の方と直接お会いする機会がないので、こうしてたまに交流のある施設に行くのを楽しみにしています。
———村山さんは、今後パラリンアートでやってみたいお仕事などはあるんですか?
村山:それこそ工房はんどさんのような、障がい者の方の就労支援や雇用先になる、就労継続支援施設をやってみたいとずっと考えています。
例えば企業さんにアート作品の活用例をご提案させて頂く時、実際にうちではこんな感じで作っています!と実物をお見せできたら最高ですよね。
もし発注を頂けたら、施設で働く障がい者の方に工賃として報酬も支払うことができる。今よりもさらに幅の広い支援ができます。
今はパラリンアートの中で、アーティストさんたちから一番遠い部署にいますが、もっと彼らと触れ合って、一緒に何かを作ってみたいなという思いが強いですね。
———お仕事をされる上で、感じる社会課題などはありますか?
これは前職の時から思っていることなのですが、できるところを、できる限り、自分自身でできる社会であればいいなと思っています。
前職では高齢者の方に多く接し、パラリンアートでは障がい者のサポートをしていますが、高齢者や障がい者は、生きるために誰かの助けが必要になる場合が多くあります。
ですが、全てをサポートするのではなく、パラリンアートのように、障がい者の方にアート作品の報酬をお支払いすることで、継続した自立を支援する取り組みもある。
高齢だったり障害があってもできることは自分でやり、社会の中で生きることができる、そういう社会であればいいなと思います。
パラリンアートに関わってくれる方々へ
村上:パラリンアートの取り組みは、一方的な支援、一方的なボランティアではなく、継続して社会の中で循環できるサスティナブルな仕組みです。
私自身はコミュニケーションを大切にしていきたいと思っていますので、まずは一度お話を聞いて頂き、そして作品を見て下さい。
きっとパラリンアートへのイメージも変わると思います!
——————————————————————————————————-
村山朝和さん
株式会社パラリンアート 理事 営業部課長
東京都出身
趣味:筋トレ。最近はジムに行けないので、家にベンチプレスのセットを買いました!
長距離ラン。先日、ハーフを2時間で走りました。次はフルマラソンを目指します。
好きな食べ物:筋肉のために、毎日茹でた鶏むね肉と玄米を食べています。
好きな音楽:メロコア、パンク、ハードコア、そしてアニソン。
中学の時にブルーハーツにハマり、ハイスタが大好き!
好きな作家:奥田英朗、乙一。短編が好きですね。
好きなお笑いタレント:有吉弘行さん。有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMERというラジオ番組を毎週聞いています。
座右の銘:「まず決める、そしてやり遂げる」 ガンダムSEEDのラクス・クラインのセリフです。実はガンダムオタクです。