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  • 2019年11月26日

障がいや精神疾患を持つ方々の社会参加の現実。SOMPOパラリンアートカップ2019年を取材してきた。

パラリンアートの未来と課題

yuzuka  私は精神科で働いていて、そこには障がい者施設も併設されていました。
中井さんとは立場が違いますが、そこでは私も彼らの退院を促し、社会参加を目標にアプローチしていました。ですが殆どの人が就職できない、できても問題を起こして再入院してしまうという現実に直面しました。
「障がい者、精神疾患の人に職を」とはいわれてはいますが、実際扱いが難しいだろうなと感じる案件は多数ありました。

その中で「障がい者アート」で社会に参加する、お金を稼ぐことができるというシステムは、とっても有意義だと思いますし、実際この大会での受賞歴が仕事につながっているというお話もお聞きしています。ただ、それってすごく一時的に見える瞬間もあるのが本音で。
中井さんや冨樫さんから見て、「パラリンアートが彼らの未来に、本当の意味で繋がっているな」とか、反対に「難しいな」と思うエピソードとかってありますか?

冨樫 受賞して活躍の場が増えるというのは、すごく素敵なことだと思うんです。でも私はそれだけじゃないって思っていて、例えばこの施設は去年、ひとりしか応募がなかったけれど、今年はそれに影響されて、こんなにたくさんの人が応募してくれました、とか、それだけで随分と嬉しいんです。変化だと思うんです。
すぐに大きく変わることは難しいです。ただ、少しずつ、誰かに必要とされている実感を感じられる変化があるってとても良いなと思っています。

勿論みなさんがすぐに賞をもらったり、報酬を得られたりするわけではないですが、諦めずに活動を続けて欲しいし、そのために私たちももっと認知を広げて、彼らのもとにそういう機会が舞い込むような仕組みを作らないといけないなと思います。

yuzuka 素敵です。中井さんはいかがでしょう。

中井 まずは富樫さんがおっしゃる通りだと思います。大きな変化は小さな積み重ねで達成できるはずです。
一方で大きな変化も目の当たりにしたことがあります。本コンテストの受賞者の方たちは、受賞時に注目が集まるので目に見えた変化も起きました。
例えば過去の受賞者の男の子は当時高校一年生だったのですが、パラリンアートをきっかけに「原画を買いたい」という問い合わせが来ました。そこからテレビの取材や、地元でも展示の引き合いが増えました。その後、彼の卒業時には、社会福祉法人で絵を描くアーティストとして雇用が決まって、彼の人生にとっては一時的ではなく、大きな変化が起きたなって思います。

yuzuka それだけこの大会が、注目されているということですもんね。

中井 そうであってほしいですし、そうしなければいけないですね。あとは徐々に変化していくこともあります。それは冨樫さんがおっしゃっているのと同じで、その地域の応募者が増えたとか、ひとりひとりに関しても、例えば一次審査に選ばれたことが嬉しくて、毎日活力的に絵を描くようになったとか。

多くの人の挑戦する心に火をつけられたっていうのも、小さいかもしれませんが、すごく良い変化だと思っています。
人生を変えられたわけじゃないかもしれないけれど、誰かのマインドを変えることができている。

yuzuka 大きなことですね。

中井 難しい点としては、そもそもアーティストが作品だけで食べていけるって、パラリンアート関係なく、すごく難しいことだと思います。できればアートに携わる就職先や継続的なお仕事まで紹介できるというところまでいければ、本当の意味での大きな変化「人生の道を作れる」ってことになると思うんですね。
現段階では例えば受賞者の一年後を追うことができても、「困ってます」と言われたところでサポートをできるわけではない。そこが課題ですね。

yuzuka パラリアートは企業として、いつかその未来にもアプローチしていくのでしょうか

中井 そうですね。雇用という点では、人材紹介事業の許可も得たところで、ここから実績を作っていこうとしている段階です。他の展開も含め、色々な形を模索しています。

yuzuka そこまでいくと本当にすごいです。人生を変えて、サポートできるシステムですね。

yuzuka 本日のお話は、今どこかで絵を描いている人、施設の中で作品作りに励んでいる人の大きな希望ですよね。
お二人を含むパラリンアートさんや、損保ジャパン日本興亜さんは、今社会が抱えている障がいや疾患を抱える方達の未来作りを、すごく直接的に担っていっているんだなと思うと、素晴らしいことだと思います。そんな中で、おふたりが考えるパラリンアートの未来、希望って、どんなものなのでしょう?

冨樫 パラリンアートの絵を通して、就職して…という方だけではなくて、そこを通して社会と接点が増えて、自ら外に出ていく自信がついた、実際に出ていくようになったという人が、どんどん増えていってほしいなと思います。
なかなか外に出たくないとか、出られないって人って、障がいがあるかどうかは関係なく「社会と接点が持てていないから」って方はいると思うんです。だからここでそういう接点を作ってもらって、「外に出ると楽しいことってあるんだよ」って感じてもらって……。そこから社会への道が開けるかもしれない。だから、そういうふうな接点を作る結節点になっていけたら良いなと思います。

yuzuka 大きな変化やゴールではなくても、人生をかえる「きっかけ」ですね。その先に何かが見えてくるって、素晴らしいと思います。

中井 僕も同じですね。「パラリンアートが、自分を変えるきっかけになりました」と言う人が増えることが近い未来での目標です。
そしてもっと先には、「障がい者アート」の枠を超え、アートとして全てのアーティストと同じフィールドで勝負できるような状態を作りたいです。「障がい者だから特別扱いしている」とかって言われることもあるんです。だけどそれは誤解で、今はそういう、同じフィールドで戦える場所が少ないです。

これまで多数決でいう多数派中心で作られてきた枠だけではだめで、「障がい者だから」ではなく「障がい者も」挑戦できる場所、活躍できる場所を作りたいです。

僕たちが、そういう機会を作って、世界に「こういう時代がきましたよ」って、発信したいですね。

yuzuka お二人とも今日はありがとうございました。

まとめ

パラリンアートが立ち上がった背景には、「障がい者の多くが抱える課題を改善したい」という強い想いがある。

具体的には、

  1. 社会参加の少なさ
  2. 金銭的困窮
  3. 周囲の理解の少なさ

の3つの課題に着目している。

パラリンアートの理念に共感した企業が一緒になり、「アート」を通じて障がい者の生活環境改善に取り組む動きはまだ始まったばかりだ。
日本にはまだまだこのような取り組みが少ない中、先陣を切って事業をスタートしたパラリンアートの活動にこれからも注目が集まるのは間違いないだろう。

課題を見ればいくつでも出てくるだろうが、何かを変えるために行動する損保ジャパン日本興亜さんと、パラリンアートを見て、皆様も何かを感じてもらえたなら、とてもうれしく思う。

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