FacebookにTwitter、Instagramと、今の時代はほとんどの人が何らかのSNSを利用しています。日々のちょっとした出来事を投稿したり、有名アカウントを閲覧するために登録している方もいるでしょう。
私もSNSとの付き合いは長く、最初は今から15年以上前、掲示板付きのブログサービスから始まりました。まだネット人口が少なく、ネット上だけで交流できる、顔も知らない人もいて楽しかった覚えがあります。
その後流行したのがmixiです。携帯電話の普及もあり、一気に多くの方がSNSに触れる機会ができたように思います。(15年ほど前までは、主にパソコンから閲覧する一部のインターネット好きが利用していた傾向があります)
そして現在。SNSが身近になったことから炎上事件が起こることもしばしば。特にTwitterでは、迷惑行為などをアップして注目を集めようとするユーザーが現れ、“バカッター”と揶揄されることもあります。
発達障害当事者とSNS
SNSは、いつでもどこでも誰でも投稿できるという手軽さから、自分の意見を述べ、人の意見も簡単に見られます。ここでも迷惑行為の炎上とは違う種類の炎上がたびたび起こりがちです。特に、発達障害傾向のある方は自分の意見が正しいと思い込んで譲らない特性がある場合もあり、暴走してしまうことがあります。
先日、発達障害当事者でライターの宇樹義子さん初の単行本『#発達系女子の明るい人生計画』(河出書房新社)の帯の推薦文を寄稿させていただきました。この本の中で、宇樹さんも一時期、忙しい旦那さんにかまってもらえないストレスからTwitter依存症に陥り、過激な発言を繰り返してしまい、結果3ヶ月間Twitterを謹慎したと綴っています。
発達障害の特性でリアルの場でうまくコミュニケーションが取れない人が、ネット上だと饒舌になり、まるで弁論大会のように持論を展開し、反論や疑問を呈してくるアカウントを徹底的にやりこめる…。そのような光景を目にすることがあります。
他にも発達障害を公表しているアカウントを観察していると、結構な爆弾発言や自分を客観視できていないからこその生きづらさを吐き出しており、炎上に近い状態になっていることがあります。
私も一時期、私の記事をきちんと読まずにアンチコメントやリプをしてきたアカウントを晒し上げる形で言い返したことがありましたが、「どうせきちんと記事を読んでいないのだから反応するだけ無駄」と、当時の担当編集に怒られました。私達はイメージ勝負の仕事でもあるので、こういう対応を行ったのは当たり前といえば当たり前ではあるのですが……。(炎上キャラで通している人もいますが)
これを言ってしまうと語弊がありそうですが、発達障害傾向のある人とTwitterとの相性は良いとは言い切れません。思ったことをすぐに投稿してしまうこと、自分は間違っていないと信じ込んでしまうこと、攻撃的になってしまう場合があること。これらの例から考えるとそう結論づけられます。
SNSを上手に使う
自分の思いを吐き出せる場があることはストレス解消に繋がります。しかし、ネット上はどんな人が見ているかわかりません。斜め上からとんでもないリプライがくることもあります。
だから、自分なりにSNSと上手に付き合う工夫をしてみると良いかもしれません。私が一番いいと思うのはアカウントに鍵をかけ、自分が承認した人しか投稿を見られない形にすることです。
次に、私がSNSを使う上で心がけている事は、リプライ全てに返信しないことです。一般的なユーザーよりも若干フォロワー数が多いことも理由にありますが、RT(リツイート)や「いいね」の通知も多いので、普段から通知をオフにしています。そうすると、リプライを見落としていることも多く、たまにエゴサ(エゴサーチ)をして見つけ、気が向いたときや直接の友達にだけリプを送っています。
発達障害傾向のある方は完璧主義の方も多いです。だから、全てのリプライに返信しなければと思ってしまいがちですし、それをやると大変です。日常生活や仕事にまでTwitterに時間を取られてしまっては、立派なネット依存症です。もし、リプライがないことに対して苦言を呈されたときは「ごめんなさい、見落としていました」でいいのです。あなたの生活はSNSがすべてではないのですから。
どうしても精神衛生上良くないと感じるアカウントはミュートしてしまうことです。ミュートをすると、相手のツイートが見えなくなります。ブロックだと相手がブロックされていることに気づくシステムなので、さらに関係が悪化してしまう恐れがあります。ですので、ミュートはトラブルが起きにくい距離の取り方の一つです。
また、Twitterにこだわらず情報発信や自分の意見を述べたい方はブログを開設し、コメント欄を設けないという方法もあります。これだと一方的な発信なので、攻撃されることはありません。ただ、あまりにも過激な内容だとTwitterで拡散されて炎上する可能性はあります……。
SNSのメリット
ここまでSNSのデメリットを多く語ってきましたが、もちろん良い面もたくさんあります。
例えば、発達障害専用アカウントを持っている当事者も多くいます。そこでお互い障害に関する情報交換をしたり、意気投合してリアルで会える友達や恋人ができたりと、メリットも多くあります。そして、これは最近の傾向ですが、バズっている有名アカウントは書籍化のオファーが来ることもあります。
レンタルなんもしない人さんの『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』(晶文社)や裁判傍聴ライターの高橋ユキさんの『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)が直近の例です。
最後に
SNSはあくまで娯楽です。それがリアルの世界にまで入り込んできてストレスになってしまっては本末転倒です。自分、SNSで暴走気味だな……と感じている方はまだ引き返せます。自覚がない方は今一度、自分の投稿を落ち着いて読み直してみてください。
自分は何のためにSNSをやっているのか、まで考えると、次第にSNSに翻弄されることは少なくなっていくのではないでしょうか。