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  • コラム
  • 姫野桂
  • 2019年9月21日

実は女性同士の方が分かり合えていない?生理の事情

取材・テキスト
姫野桂姫野桂

前回の連載で生理や女性ホルモンについてお伝えいたしました。今回はそんな生理コラム第二弾。もう少し深堀りし、身体的負担以外のことについても展開していきたいと思います。

生理痛は女性同士でも分かり合えない?

生理痛やPMS(月経前症候群)は個人差が大きいです。全く何も変化がない人もいれば、毎月仕事を休まなければならないほど苦痛を感じる人もいます。
前回の記事は、男性にも生理痛やホルモンバランスの変化によるつらさを理解してもらいたく書いた面もあるのですが、今回は主に女性に向けて書いています。

生理痛には個人差があることから、実は女性同士でも分かり合えないという現状があるからです。
だから、生理痛で会社を休んだとしても、同性の上司や同僚が生理痛が軽い人だと「生理くらいで休むなんて甘えている」と捉えられることだってあります。

先日、Twitterにて友人が、生理やPMSがつらいといった内容のツイート(※Twitter内での自身の発言)を投稿したところ、プチバズしました(現在は削除済み)(※「バズる」は、SNSを介して口コミで話題になること)。
Twitterというものはだいたい100リツイート(※他者のツイートを、自身で「Re=再び」ツイートすること)を超えたあたりで、見当違いであったり罵倒するようなリプライがくるものです(※特定の「ツイート」(発言)に対する「リプライ」(返信)のうち、罵倒や見当違いな意見のこと。「クソリプ」という言葉で多用されている)。
案の定、その友達もクソリプが来て、最初はそれを楽しんでいたようですが、だんだんとめんどくさくなりツイート自体を削除しました。

ネット上では、フェミニストに親でも殺されたのかと思うくらい、フェミっぽいつぶやきに食ってかかっていくミソジニー(※女性蔑視)男性が散見されるので、今回のツイートもおそらく男性からのクソリプだろうなと思っていたのですが、意外にも半分ほどは女性と思われるアカウントからのクソリプだったそうです。
しかもその内容が「私は月3000円のピルで解決しています。」という引用リツイートで、ツイート発信主からすると「だから?」と思うようなものです。ピルで解決することくらい、生理痛に悩んだことのある女性ならほとんどが知っています。また、ピルも種類が多いので中には合わないものもあります。
以前、私は副作用(※マイナートラブルと呼ばれます)がほとんどないとされる種類のピルで、1ヶ月以上生理二日目ほどの大量の不正出血が止まらず、服用ストップになったことがあります。また、特定の病気や疾患を持っているとピルを服用できないケースもあります。ピルで解決できない人だっているのです。

女性と貧困問題、そしてマウンティング行為

そして、2015年の国税庁の調査によると女性全体の平均年収は276万円。なんと300万円を切っているのです。対して男性の平均年収は521万円。男女の賃金格差は、245万円もあります。多くの女性は経済的に過酷な中を生き抜いているのです。本当に日本は先進国なのか、疑問に思ってしまいます……。そんな経済状況の中、月3000円のピル代を捻出するのが厳しい人だっているはずです。

そのように、ある程度わかっていることに対してクソリプを送る行為、これは一種のマウンティングです。
私の個人的感覚ですが、特に女性は同性に対して無意識のうちにマウントを取りたがる傾向があると思います。マウントを取った瞬間は、自分が無敵に思えてとても気持ちが良いです。スカッとします。しかし、時間が経てば経つほど、じわじわと「なんであのとき自分はあんな恥ずかしい発言をしてしまったのだろう」と、自己嫌悪に陥ることも多いです。

マウンティングを取っている女性の姿は醜いですし、全く論破もできていません。「これだから『女性は頭が悪い』と論理的な思考を持つ人から思われやすいのだと思う」と、クソリプを送られた友人はそうこぼしていました。マウントを取り合っても良いことなど一つもありません。自分も相手も、心がすり減っていくだけです。

私が好きな映画の一つに浅丘ルリ子主演の『デンデラ』があります。これは、姥捨山伝説をもとにした映画で、姥捨山に捨てられた老婆たちが実は厳しい雪山の中で生き延びていて、日々女同士で協力して暮らしていたという作品です。そして自分たちを捨てた男共を憎み、いつか村に降りて行って皆殺しにしてやろうと計画を立てていたけれど……というストーリー。この映画の中でも一部、マウント行為が見られますが、ほとんどのシーンは女性だけで楽しく工夫して暮らしています。

「女子の関係は陰湿だ」とも聞きますが、大抵は思春期の年頃の、閉ざされた学校という空間で起こることが多く、成長と共に少なくなっていくように思えます。(もちろん、嫁姑問題や、派遣と正社員で扱いが違うなど、例外はあります)

この世の人々は千差万別

話は飛びますが、一昨年、虫垂炎で入院した際、術後の傷口が痛み、そのたびにナースコールで看護師さんを呼んで痛み止めをもらっていました。その際「今の痛み、10段階で表すとどのくらいですか?」と聞かれ、4だとか5だとか答えていました。看護師さんはその数字に合わせて痛み止めの薬を持ってきてくれました。でもこの痛みの感じ方も人によって違うでしょう。痛みに強い人もいれば弱い人もいます。

現在の科学では痛みを測る装置がありません。よく、出産の痛みを男性に説明する際「鼻からスイカが出てくるような痛み」と表現しますが、そんなの想像がつきません。今後もっと科学が発展し、痛みを測る装置などができれば、痛みや不快指数を具体的な数字で示すことで、人に伝えやすくなりそうだなと思います。

私は今まで主に、発達障害当事者や生きづらさを抱えた人の取材をメインにやってきました。その取材を通して分かったのは、発達障害の特性や生きづらさは千差万別だということです。今回の生理痛だって同じです。
みんな少しずつ違うことに寛容な世界になれば、今の世の中のようなギスギス感が減るのではないでしょうか。そのためには知ることが大事です。

無知は罪です。半径5mの世界で生きるのではなく、たまには遠出してアップデートしていきたいものです。

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