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  • コラム
  • 姫野桂
  • 2019年6月19日

その生きづらさ、もしかしたら発達障害じゃないかも?

取材・テキスト
姫野桂姫野桂

 発達障害に関する本を2冊出版したことから、友達から「私も発達障害かもしれない」と相談を受けることが増えました。しかし、多くの当事者を取材してきた私から見ると、全く発達障害の傾向は見受けられないので「多分違うと思うよ」と返答していました。

私、ただのポンコツだったんだ……

 しかし、彼女はやはり納得がいかない様子。「この生きづらさに名前をつけてもらえれば安心できるかも」と、医療機関を受診。結果、発達障害の傾向を見る検査で多く使われるWAIS-Ⅲ(知能検査)は至って平均。ジャンルごとの能力の差もそこまで開いておらず、心理検査も問題なし。

「私、ただのポンコツだったんだ……」

 彼女はそう肩を落としていました。しかし、生きづらさ=発達障害とは限りません。もっと別の部分に生きづらさが潜んでいる可能性もあります。私は医師やカウンセラーではないので、医療の面までは立ち入れないのですが、経験上、以下のようなことがありました。 

 それはまだ、私が発達障害の心理検査を受けていなかった頃。(予約待ちで検査実施日まで1ヶ月近くありました)主治医と話をしていると、「共依存的な考え」を指摘されました。ピンとこなかったので、主治医にもっと突っ込んで聞いてみると、共依存とは一言で言うと、「相手を思いやるあまり、自分のことをないがしろにしてしまう考えのこと」でした。

 特に私は養育環境の中で、親との共依存関係が生まれ、それを今でも引きずっている可能性が高いとのことでした。また、共依存とアルコール依存症は密な関係があり、一般的に、頼れる相手(妻のケースが多い)がいるからアルコール依存症に陥るとのこと。知人でも何人か、アルコール依存症のパートナーを持つ人がいます。その方たちは、一生懸命、共依存に関する文献を読んで勉強したり、夫婦仲良くカウンセリングに通っている人もいます。

 ただし「共依存が必ずしも悪いとは言い切れない」と主治医。共依存は、親を敬うことを善とする儒教の国、主にアジア圏で多い傾向にあるといいます。親を敬うこと自体は悪いことではありません。一方、アメリカは「個」を尊重する文化なので、共依存に陥る人が少ない傾向にあるそうです。

 他にも、親が容姿至上主義者だったり、元々の性格が完璧主義だったりすると、必要以上に容姿にとらわれて摂食障害に陥ってしまうケースもあります。それほど、養育環境がのちに与える影響は大きいのです。

他の障害や疾患も疑ってみるべき

 そしてもう一点、自分の体験上の生きづらさの原因はPTSD(心的外傷後ストレス障害)です。私は中高時代、ちょっとしたいじめというか、からかいにあったことがありました。主治医にPTSDを指摘された際は、「まさか私が?」と思いました。PTSDというと、戦場などで命の危険に晒されたり、性的暴行を受けたりしたトラウマにより恐怖がフラッシュバックしてしまう。そんな大きなストレスを受けた人が患う障害のイメージを抱いていました。しかし、PTSDにストレスの大きさは関係ないそうです。その人が「つらい」と感じれば、それはフラッシュバックしてしまうのです。

  私は共依存とPTSDを指摘されましたが、他にもうつ病であったり適応障害であったり、他の障害や疾患が生きづらさへ繋がっている可能性もあります。

 どうか、そう思うことだけはやめてください。相性の合う医師やカウンセラーと共に掘り下げていくと、自分の本当の生きづらさの原因が見つかり、それを受容できれば、生きづらさと付き合っていけるようになるはずです。

姫野桂

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