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  • 2019年7月3日

発達障害グレーゾーンの人が診断を受けたときの意外な落とし穴とは

取材・テキスト
姫野桂

 

 昨年末『発達障害グレーゾーン』(扶柔社新書)という本を上梓しました。

こちらは、発達障害の傾向があるにもかかわらず、診断が下りない状態の人をメインに取り扱った本となっています。
今までの連載でも何度かお伝えしているとおり、発達障害はグラデーション状の障害なので、ここからここまでが発達障害者でここから先が健常者という線引きがありません。ですので、「できないことはあるけれど、たいていのことはできる」または、「他の人よりも何倍も努力をすればできる」といったグレーゾーンの層が生まれてきます。
一説によると、発達障害者、またその傾向のあるグレーゾーンを含んだ人は10人に1人とも言われています。

診断が下りることへの安心感

 発達障害のグレーゾーンの方を取材している最中、1軒目の病院では「傾向はあるけど発達障害とは言い切れない」と言われ、診断をもらえず病院を渡り歩き、3軒目の病院でようやく診断をもらえたという方がいました。(診断は医師によって見解が違うケースがあります)そこまでして診断をもらいたい人がグレーゾーンの人には多い傾向にあります。自分ができないことへの原因に名前がつく安心感があると言えるのでしょう。

 そして、グレーゾーンであると、仕事や日常生活においてできないことがあっても説明しづらいです。「発達障害ではないのですが、その傾向があって……」と説明しても、理解や知識がない人や、偏見を持っている人にとっては言い訳のように聞こえてしまう可能性もありますし、「誤解を招くくらいならばいっそのこと黙っておこう」という方が多いのではないでしょうか。だから、はっきりとした診断名がほしい。取材を通して、そのような方が多い印象を受けました。

発達障害の診断が下りると、保険に入れない可能性がある?

 診断が降りるとスッキリすることも多いです。しかし、思わぬ落とし穴があるのをご存知でしょうか。前回の連載でもちらっと触れましたが、生命保険や医療保険に加入できなくなる可能性があるのです。5月22日、金融庁は今後平均寿命が延びる中、年金支給額が維持できなくなるため、自助を促すよう報告書案にて指摘しました。つまり、「老後の食いぶちは自己責任でお願いね☆そのためには今のうちに個人で保険に加入するなり投資するなりして貯めといてね!」と、国が国民を突き放しているわけです。

 私は会社に属さないフリーランスの身。通常、会社員は健康保険、介護保険、年金保険、雇用保険、労災保険に加入していますが、このうち雇用保険と労災保険はフリーランスは入れません。そのため、前々から老後の心配をしていました。そして先日、国民年金基金の付加年金の手続きをしてきました。国民年金に毎月400円プラスすると、65歳からかなり利回り良く年金を受給できるのです。

 しかし、それだけでは足りません。そこで、保険会社に相談して医療保険と年金の商品を紹介してもらうことにしました。ここで問題発生です。持病があると保険に入りづらいのは有名です。特にがん、心疾患、脳卒中の三大疾病を患っている方の保険の入りづらさは、誰でも一度は聞いたことはあるのではないでしょうか。

 そして、精神疾患も同じく、ほとんどの保険でアウトということを今回、身をもって知りました。保険会社の担当の方には、事前に発達障害の診断が降りていること、二次障害として双極性障害と摂食障害を引き起こしていることを伝えました。かなり渋い顔をされましたが、とりあえず審査にかけてみましょうということに。

 ちなみに、発達障害に関してはまだ、保険会社としても加入できない障害として認められているのかどうか微妙なラインのようです。それよりも、二次障害の精神疾患の方が保険会社としては深刻です。そして「正直に話していただきありがとうございます」とも言われました。ここで疾患を隠して加入した場合、かなりまずい状況になってしまうとのことです。もちろん、掛け金は戻ってきません。 

グレーゾーンの場合、デメリットを考えた上で受診を

 現在、審査待ちの状況です。結果が出たらまた、この連載でお伝えしようと思います。もし、審査に落ちてしまった場合、条件付きや少々掛け金が高くなってしまう別の商品を紹介してくれるとのことでした。

 これらの経験により、デメリットも考えた上で診断を受けるかどうか考えるべきだなと実感しました。もちろん、明らかに仕事や日常生活に支障をきたしている場合は受診して診断を得て、適切な処置を取るべきです。しかし、グレーゾーンとされた場合、無理して診断を勝ち取ろうとするのではなく、自己受容と自己理解を深め、あえて診断をもらいにいかないという手段もあるのではないでしょうか。

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