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  • コラム
  • 姫野桂
  • 2020年10月26日

「性別を決めるのを焦らないで」“中性”の漫画家が語る性別の悩みの乗り越え方

着替えのグループが男女分けられたことから違和感を覚えるように

昔は色眼鏡のように見られ、バラエティ番組でも差別用語でネタにされることもあったLGBTですが、ここ5〜6年の間で急にオープンな扱いになってきています。今回はそんなLGBTのFtMtX(生まれた身体は女性で戸籍も女性だが一度男性として生き、現在は性自認は男でも女でもない中性、身体は男性寄り、恋愛対象はパンセクシャル<全性愛者・男女どちらでも中性でも、人間であれば良い>)の当事者の漫画家の渡辺河童さんにお話をうかがいました。

渡辺さんは10月16日から『性別デストロイ〜女でも男でもない中性人生日記〜』の連載が始まります。今年で50歳を迎える渡辺さん。理解されづらい社会の中を過ごしてきて今、どう自分の性別と向き合っているのでしょうか。

———渡辺さんが性別に違和感を抱き始めた頃はいつくらいからですか?

渡辺河童(以下、渡辺):小学3〜4年生の頃です。それくらいの時期から体育の着替えが男女別になるじゃないですか。そこで男だけのグループ、女だけのグループに分けられたとき、僕はどちらにも入れず置いてけぼりになってしまったんです。それまではずっと男の子のグループに入って遊んでいたのですが、急に「お前は女だから入れない」と言われちゃったんです。

———今、渡辺さんはロン毛で、過去に男性ホルモンを投与したことで声も低く、ヒゲも生えていますよね。でもヒゲを剃ってしまえば女性にも見えます。小さい頃はどんな格好をしていたんですか?

渡辺:ショートカットでTシャツにジーンズというボーイッシュな格好でした。親もボーイッシュな格好を好みましたし、服装で悩んだのは中高になって制服ができてからですね。

———過去はボーイッシュな格好だったのに今はなぜロン毛なんでしょう?

渡辺:後ろで一本で結べて楽だしいいなと思って27歳の頃からロン毛です。でもショートにした時期もありますし、そのときの気分という感じです。現在は一昔前のホストみたいな髪型を意識しているところがありますね。

———そのときの気分、とはまさに中性らしいですね。

渡辺:でも、全体的に身体には違和感があり、男性器が生えてこないかなといつも思っていました。そして、29歳か30歳の頃、それまではずっとさらしで巻いて潰していた胸を手術で除去しました。元々胸が大きい方だったので、手術するまでは猫背気味で歩いていたのが、胸を取ったらまっすぐと胸を張って歩けるようになりました。

———胸を取ったことで精神的には男の子に近づけたという喜びはありましたか?

渡辺:ありました。胸はどちらにしろいらないと思っていたので。でも、胸を取ったことによって、もう男性とは付き合えなくなるなとは思いました。男性はおっぱい星人が多いので(笑)

———大変デリケートな質問で恐縮ですが、下半身の手術はしていないんですか?

渡辺:下半身は女性のままです。健康な子宮や卵巣を取る手術って寿命が短くなる可能性があるんです。僕は命の方を優先しました。また、機能しない肉塊だけである陰茎をつけても仕方がないと思っています。つけても性行為はできないんです。あと、尿道延長手術もしなきゃいけなくて、その失敗率がものすごく高いんです。

最初は性別違和だと思い込んでいた

———胸を取ったり、男性ホルモンを投与したことでできなくなったことに後悔していませんか? 例えば銭湯などにはいけませんよね?

渡辺:胸を取ったことも男性ホルモンを注射したことも後悔はしていません。ただ、胸には真一文字に傷跡が残っているので銭湯にはいけませんし、温泉も家族風呂がついてるような旅館にしか行けません。でも海やプールは男性用水着を着た上に上半身を隠せるラッシュガードを着て楽しんでいます。男性ホルモンの投与で低くなった自分の声も気に入っています。

———渡辺さんは自分の性別に悩み、最初は性別違和(性同一性障害)だと思っていたんですよね。

渡辺:はい。中高の制服のスカートを履きたくなかったのと、身体を男性化したかったので性別違和だと最初は思っていました。でも、最初に付き合ったのが女の子だったのでレズビアンかとも思っていました。その後、男性とも付き合ったので、さらにわからなくなってしまいました。

性別は自然の流れに任せていきたい

———渡辺さんの漫画によると、とある人との出会いでLGBTの聖地である新宿二丁目デビューしますよね。二丁目は渡辺さんにとって憩いの場になったように思えますがいかがでしたか? また、今でこそ二丁目はノンケの女性でも気軽に入れるミックスバーや観光バーもありますが、当時はまだ足を踏み入れづらい場所だったのではないでしょうか?

渡辺:はい。そのとある人のおかげで二丁目のお店に行くことができました。このあたりは漫画を読んでもらいたいです。二丁目なら自分と同じような性別で悩んでいる人がいるんじゃないかなと思ったんです。そしたらたくさんゲイの友達ができて孤独感が拭えました。二丁目でナンパした女の子と付き合ったこともあります。その後、とあるFtM(生まれた身体は女性だが性自認は男性)の男性と付き合ってから、価値観が変わりました。元々が女性で今男性というふうに生きている人がいてもいいんだと。

———今、性別で悩んでいる人に向けて何かアドバイスはありますか?

渡辺:とにかく、自分の性別を決めるのを焦らないでほしいということです。性別だけを追いすがると、そこで自分の最後の気持ちと違っている場合があります。あとは女の子に多いのですが、彼女ができて自分が男として生きなければならないのではないかと思い込んじゃうんです。それで後になって男性とも付き合えることが発覚して、でもそのときにはホルモン剤も投与して胸も取ってしまって……といった状態になっていることがあります。僕が若い頃はそこまで厳しくなくて、すぐにホルモン剤の投与ができましたが今は少し厳しくなっています。それでも今、早くに性別を決めてしまってホルモン剤の投与や手術をして後悔をしているFtMやMtF(生まれた身体は男性だが性自認が女性も人)の人がすごく増えているんです。

———では最後に、今後渡辺さんは性別というものに対してどう向き合っていきたいですか?

渡辺:自然に任せたいです。お付き合いする相手の性別もそのときの気持ちに合わせたいです。今は恋人はいらないと思っている時期ですが、今後何があるかわかりません。男性と付き合うことになるかもしれないし女性と付き合うことになるかもしれない。または、男性でも女性でもないのかもしれない。本当に自然な流れに沿うように生きていきたいなと思っています。

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