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  • 2020年6月27日

HSP当事者経験談〜後編〜私が「HSPかも」と気付いてから変えた7つのこと

前回の記事では私がHSPという言葉に出会ったきっかけやHSPだと自覚する前の幼少期の性格について振り返ってみました。今回は私が「自分はHSPの気質を持っている」と気付いてからやめたことや、心がけていることなどについてお話していこうと思います。

私が「HSPだ」と気付いて、やめたこと

1、カフェに行くのをやめた

HSPのセルフチェックに「カフェインに敏感に反応する」というチェック項目があります。
参考:http://hspjk.life.coocan.jp/selftest-hsp.html

私が「自分はHSPかも?」と思った最大の理由は、私もとても「カフェインに敏感に反応する」からです。今では「カフェインが弱い」と自覚しているのでコーヒーや紅茶、日本茶やエナジードリンクなど飲むのを控えていますが、HSPと気付く前は眠気覚ましや気分転換にコーヒーを飲み、気分が悪くなったり、酷い時には目眩で立てなくなったりしていました。

カフェに通うのをやめた理由としては、カフェインを飲むと体調が悪くなってしまう体質で美味しくコーヒーを飲むことが出来ないのにわざわざカフェに行く意味がないな、と思ってしまったからです。また、「他人の声や音が気になり過ぎる」のもカフェに行くのをやめようと思った理由の一つです。

カフェには多くの人が集い、思い思いの時間を過ごしています。私が良く訪れるカフェは土地柄、15時を過ぎると学生が一気に増えます。施設の天井も高いことも相まって声がよく響くのです。店員さんがオーダーを通す声、おしゃべりする人の声、隣の人がキーボードを叩く音など気が散ってしまって「ゆっくり」出来る環境ではなく、むしろ神経をすり減らす時間ではないか?とある日気付いたのです。

「賑やかだな」と思いながら周囲の音を誤魔化すようにイヤホンで音を重ね、読書をしたり手帳を書いたりして過ごしていましたが、読んでいる本の内容は全く頭に入りませんし、手帳を書いていても周囲の人の視線が気になってしまいます。思い返すとカフェでゆっくりすることはあまりなく、ドリンクを飲み終わったら店を出ることが多かったように思います。

自分の意思でカフェに「行かない」と決めてからは「時間が出来たから行こうかな」と悩むことや、SNSの新作レビューを見て「飲まなきゃ」という焦る気持ちも無くなり、心理的にとても楽になりました。

2、居酒屋に行くのをやめた

私はもともとあまり進んでお酒を飲まないのですが、仕事上の付き合いや、1人の時に手軽に夜ご飯を食べるために居酒屋に行くことが有りました。そんな時に威勢の良い店員の声が飛び交うお店に行ってしまうと、ちょっと食事をしただけなのにグッと疲れてしまうことが度々あります。ずっと忙しい声を聞いていると脳が興奮してしまい、落ち着くまで時間がかかり寝付けなくなることもありました。

また、大勢で居酒屋に行くことも苦手です。皆が話始めるとその場で起こっている会話が全て耳に入ります。誰が何を話しているか全部聞こえてしまい、どこの話に集中したらいいのかが分かりません。全部聞こえてしまい情報過多になるのを防ぐためか、反対に何も聞こえないような状態になることもあります。このようにワイワイ・ガヤガヤする居酒屋に行くとエネルギーを吸い取られてしまうことが多く、お酒の席に進んで参加するメリットは少ないと判断しました。

今はお誘いを受けたら、場所と参加するメンバーを見て考えるようにしています。大切なお金と時間、そして自分自身のパワーを差し出すに値するか、返事をする前にきちんと熟考するようにしています。「誘われたから行く」という受動的な考えをやめ、「行きたいから行く」という能動的な行動が増えたように思います。

3、座れない電車に乗ることをやめた

徒歩か車で移動することが多く、電車やバスに乗る機会は滅多にありませんが、電車に乗る際には「座れない電車には乗らない」ようにしています。座席に座れず、つり革などに掴まっていると、体の周辺360°、他の人に囲まれている状態になり、背後からも人の気配を感じ非常に疲れてしまいます。また満員電車特有の臭いなども気分が悪くなる原因になってしまいます。

対策としては混んでいる時間を避ける、数駅戻ってでも当駅始発の電車に乗る、地下鉄の乗り入れ・直通運転などがない電車に乗る(遠いところまで行く電車には乗らない)、快速や特急を使わず各駅停車の電車に乗るなどです。

また、新幹線に乗る際には出口付近(進行方向後ろ側)に乗るようにしています。ドアの開閉や人の出入りが気になるという人もいますが、私は列車の中央付近に座ると、後方から聞こえてくる声が気になってしまうので、あえて後ろに人がいない進行方向に向かって後ろ側に席を取ることが多いです。

4、スーパーの中央に配置されているものは買わない

食品添加物の多いものを食べると気持ちが悪くなってしまったり、その後体が重くなってしまったりすることがあります。そのような事態を避けるため、基本的に原材料(肉・魚・野菜などの生鮮食品)のみ購入し、自分で調理するようにしています。野菜にかけるドレッシングなども自宅にある調味調でその都度手作りしています。

スーパーは影壁沿いに電源が確保されており、その壁に沿って野菜や魚、肉などが陳列されていて店内の中央にお菓子やジュース、レトルト商品などが配置されることが多いと思います。スーパーの中央に配置されている調味料や干物など、必要なものはもちろん購入しますが、それ以外のもの(レトルト食品や「○○の素」、お菓子、菓子パンなど)はあまり買わなくなりました。添加物が多い食品を摂るのを控えてから、食後の気持ち悪さや胸焼けなど、胃のトラブルが減ったように思います。

HSPだと気付いて「やめた」結果、得られた変化

私がHSPだと気付いたのは今から8年前、当時は東京で一人暮らしをしている頃でした。田舎町で育った私にとって、東京での一人暮らしは楽しみがたくさんある反面、刺激過多でストレスフルな毎日でした。当時は多くの刺激に晒され、恒常的に疲れていましたが、「疲れている」方が、それ以上何も感じることや傷つくことがないと本気で思っており、疲れていることについて諦めているような日々を過ごしていました。

私がHSPの対策として上記に挙げたようなことを始めたのは東京を離れ、自分のペースで仕事をするようになった3年ほど前です。特に口に入れるもの(カフェインや添加物)に対して気を配るようになってからは、低気圧による偏頭痛や生理痛が驚くほど無くなりました。また、気を張ることも少なくなったので精神的にも余裕が生まれ、ゆっくりと読書をしたり興味のある分野について勉強を始めたりすることが出来るようになりました。

自分の意思でやめたことを挙げてみると HSP のせいで色々と制限があったり楽しみが少ないように思われるかも知れません。しかし私自身、今のこの生活を「辛い」と思ったは全くなく、ある意味「私サイズのスローライフ」的な楽しみを感じながら生活をしています。他人のものさしが示す「かっこいい」や「こうあるべき」に囚われることもなくなり、私の心が求める「快適」や「心地よい」を自分で探すことが出来るようになったと思います。

人が刺激を受け取る感度は千差万別で、HSPの人たちが同じ空間にいても感じる刺激の強さや種類はそれぞれ異なります。他の人ではなく「自分」が心地良くなるにはどうしたらいいか、自分ファーストで考えるようにしてみましょう。

HSPだと気付いてからと「はじめた」こと

HSPの気質がある私がどっぷりとハマっている趣味は料理と文通です。この2つに共通していることは何かなと考えてみると「思いを込めて時間をかける」ということかも知れません。

5、じっくりと食材に向き合って料理をするようにした

「趣味は料理」と言い切っていますが、料理は決して上手くありません。むしろ苦手です。しかし、苦手だと自覚しているからこそじっくりと食材に向き合うことが出来るのだと思います。お味噌や醤油、塩などにこだわって素材の味を引き出したり、だしの風味を味わったりしながらゆっくりと時間をかけて料理をすることを心がけています。

また、私が今住んでいる地域には道の駅がたくさんあり、スーパーで見かけないような珍しい食材や立派な野菜が手に入るので、積極的に取り入れています。道の駅ではその時期毎に旬の野菜を中心に販売しているため、売られている野菜を見ていると季節を感じられるのです。旬の野菜は体を冷やしたり温めたりとその時の季節に合った働きをしてくれるので、旬の野菜をたくさん食べることが心と体の栄養になっているとも感じます。

料理が得意であれば他の考え事をしながら美味しい料理を作ることが可能かも知れません。しかし、私は料理が苦手だからこそ、食べる時の食感を考えながら食材を切ったり、出来上がった味を想像しながら味付けをしたりするのです。いろいろ考えながら料理をし、美味しく出来た時には「自分で自分のお腹を満たせた」ことにとても幸せを感じます。

6、相手のことを考えながら手紙を書く時間を作った

文通は友人の勧めで始めました。相手から頂いた手紙をじっくり読み、どんな返事を書こうか、どんな便箋で書こうか、何色のインクで書こうか思いを巡らせている時がとても楽しいです。

相手の顔を思い浮かべながらどんな文章を書こうか考え、誤字脱字なく丁寧に文字を綴っていく時間はとても清らかな気持ちになることが出来ます。また、文通を始めたことで万年筆ガラスペン、インクを購入したり新たな友人が出来たりと新たな広がりを感じています。

7、「人の気持ちがわかる」からこそ心理学の勉強をはじめた

HSPの気質がある人たちは皆共感力が高く、他人の気持ちを汲み取ってしまいます。だからこそ疲れてしまう、というのがHSPの人たちの生きづらい部分ではありますが、私は「人の気持ちがわかるからこそ、役に立てることもある」と思い、ホテルで働いていた時は行動心理学を学び、退職してからはカウンセラー の資格を取りました。

人の気持ちが分かってしまうので、トラブルとなりそうな小さな芽を摘み大きな物事に発展することを防いだり、落ち込んでいる人の話を親身になって聞いたりと「人の気持ちが分かるからこそ出来ること」が私にもあるなと感じることが出来ています。

さいごに

HSPの人はいろいろな刺激を受けてしまって大変、生きづらそう、と思われることが多いですが、HSPの人たちはとてもきめ細やかな感性を持っており、人の優しさや「思い」に気付き、心を温める豊かさも同時に持ち合わせています。私は人から受け取った優しい「思い」を料理と手紙に込めたり、誰かに向けることで自分の心のバランスを保っているのかも知れません。

ペットと触れ合う、大切な人との時間を楽しむなど、大切にしているものを存分に楽しみ、「思い」を大切にする時間を意識して取るようにすると世界はもっと色付き、優しさで溢れていることに気付けるようになるのではないでしょうか。HSPだからと怖気付かずに、HSPだからこそ感じられる世界の側面を一緒に楽しめるようになれたら嬉しいと思います。

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