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  • 2021年12月1日

終末期のQOL向上を目指すボランティア活動「願いのくるま」運営メンバーに取材してきた。

取材・テキスト
パラリンアート管理者

皆さんこんにちは!この記事はパラリンアート村山が不定期でお届けする会社訪問連載企画です。

「多死社会」という言葉をご存知でしょうか。超高齢化社会の日本において、人口の大部分を占めている高齢者が平均寿命を迎える年齢まで達し、人口が減少していくであろうという時期のことを言うそうです。
※参考-健康長寿ネット「日本の超高齢社会の特徴」
多死社会においては、医療や介護などさまざまな問題がありますが、終末期の方を対象にした活動は日本ではまだ一般的でないのが現状です。そんな中、ターミナルケアを受けている方のQOL向上を目指しボランティアで活動している「願いのくるま」という団体を知りました。

第9回目の今回は、その「願いのくるま」を独自のCSR活動として運営する株式会社タウさんに訪問し、自身も「願いのくるま」運営メンバーとしてもご活躍されている広報部 臺 麻理紗さんにインタビューをしてきました!

タウについて

村山:本日はどうぞよろしくお願いいたします!

臺:よろしくお願いいたします。

村山:まずはタウさんのご紹介からお願いしてもよろしいでしょうか?

臺:はい、当社は自動車という資源を世界規模で再生可能なものにしようと、損害車の輸出販売を行っています。これまでは、事故や災害などで損傷を受けた車両はそのほとんどが廃棄処分される傾向にありましたが、中にはきちんと修理すれば再びクルマとして活用できるものがあります。当社は、それら損害車を日本全国で買い取り、リユース資源として需要のある国々へ輸出販売する事業を行っております。

村山:近年の異常気象で水災害が増えているなかで、タウさんが被災地域の復旧活動支援で被災した車両を買い取っているニュースを拝見したことがあります。臺さんはタウではどんな役割なんですか?

臺:もともと長いこと広報を一人で担当していたこともあり、基本的な広報業務は一通り担当させていただいています。

村山:一人でですか!?

臺:はい、でもここ数年でメンバーが徐々に増え、昨年1月に部へと昇格し、いまはチームで広報活動をしています。現在主に担当しているのが、CSRのプロジェクトや、自治体や警察消防、自衛隊などの行政機関と災害協定を結ぶための活動、自動車業界で培ってきた25年間の広報ノウハウを活用したPRコンサルサービスの提案活動など、営業というわけではないですが外向きに働きかけていく広報活動をやらせていただいています。

村山:災害が起こってしまった際にスムーズに連携を図れるよう、関係を築いていく役割などですね!タウさんのCSRプロジェクトといえば、パラリンアートのアーティストも過去利用させてもらった「願いのくるま」ですよね。

臺:はい、タウ独自のCSR活動として力を入れて運営しています。

願いのくるまとは・・・ターミナルケアを受けている方を「その方が望む場所」へと無料でお連れするボランティア活動です。活動事例はこちら

願いのくるま発足まで

村山:臺さんも願いのくるま発足からの初期メンバーですか??

臺:はい、6人の初期メンバーの中の1人です!

村山:願いのくるまを始めようとしたきっかけってなんですか??

臺:当社は経営理念の一つに「社会貢献」を掲げているように、創業者(現名誉会長)である原田の社会貢献活動に対する考えのもと、創業時から寄付活動などを通じて、事業で得た利益の一部を社会に還元していこうという思いがありました。実際に願いのくるまを形にするにあたり出たキーワードは3つあります。一つは「車」に関係すること、二つ目は「独自性があって自分たちにしかできないこと」、3つ目は、いま日本で社会問題にもなっている「超高齢化」・「多死社会」など、何か社会問題とリンクする社会貢献活動が検討されました。

実は願いのくるまのような活動ってもともとオランダ発祥なのですが、ちょうど当社で模索しているときに、現地オランダの団体のドキュメンタリー番組が放映されていて、まさに「これだ!!」となりまして。調べてみたところ日本では、それこそ民間救急や介護タクシーなど事業として展開されているところはありましたが、完全無料でご利用者さんにとって負担のない活動がほかになくて、「私たちが一番にやろう」となりました。そこから3か月余りで運営メンバー募集から法人設立までいっきに進めて、2018年1月に社団法人を設立してサービスをスタートしました。

村山:すごいスピード感ですね(笑)

臺:そうなんです、やると決めたら始まるまですごいスピードなんですよ(笑)

村山:いいことですけど、担当になるとちょっと大変ですよね(笑)
ターミナルケアを受けている方を対象にしている理由ってありますか??

臺:日本だと、ターミナルケアを受けている方など、終末期を過ごされている方を対象とした活動やサービスはあまりないのが現状です。出かけたい気持ちはあるけれど、いざ出かけようとするとお金もかかるし何かと不安、最後の最後にこれ以上家族や周囲の人に迷惑をかけられないっておっしゃる方が結構多くて。なので、そこに願いのくるまが介入することで、そういう方々の「〇〇へ行きたい」や「〇〇したい」という願いを叶えるお手伝いができれば、という理由ですね。

印象的だった活動について

村山:実際にご利用された方からのお手紙をHPで紹介されてるじゃないですか?それを見ると、ご本人だけでなくて、ご家族の方もすごく喜んでくださっていますよね(お手紙紹介ページはこちら)。臺さんが担当された活動の中で印象的だった事例をお聞かせください。

臺:どれも思い出深く、いろんなストーリーがそれぞれにあって語りだしたら止まらなくなりそうなんですけど、、、2021年の3月に携わらせていただいた活動で、ご利用者様は60代で末期がんの校長先生で、ちょうど定年を迎えられる年で3月の卒業式が教員生活最後の日でいらしたんですね。なので、どうしても卒業式に出席して子どもたちにメッセージを伝えて送りだしたい、という願いを叶える活動だったんですけれども、、、

村山:今聞いた情報だけで泣けますね、、、

臺:そうなんですよ、ジーンと来ちゃいますよね。実際に利用が決まってから初めてその校長先生とお電話でお話したとき、はじめは卒業式に向けての想いですとか、当日までにこういう準備していきましょうね!とか軽い打ち合わせのつもりだったのですが、次第に話が盛り上がってきて。「お名前はどういう漢字を書くの?」って聞かれて、私「麻理紗」って名前なんですけど、その漢字一つ一つの意味を教えてくださったんです。それで、「あなたの名前は人と人をつなぎ合わせる意味があるから、こうして願いのくるまとかの活動をやっているんだろうね」「会ったことないけど、すごく人柄が分かる」って言ってくださって、電話口で思わず泣きそうになって、、、

村山:、、、先生!!(泣) そんなこと言ってくれたら感動しちゃいますよね、、金八先生みたいな、、

臺:そうなんです。大袈裟ですが、この年で人生の恩師に会えた、そんな気持ちになって、この活動を必ず成功させたという気持ちがより一層強くなりました。しかし残念ながら、卒業式の日の朝に具合が悪くなってしまって行けなくなってしまったんですね。

村山:えー、、それは残念ですね、、、

臺:はい、、願いのくるまって、活動当日までの短い期間でやり取りするのが数回なんですけれども、その中でも濃密なやり取りが生まれるというか。旅程作成や車両の手配とかだけではなくて、人と人の触れ合いや関わり合いというのを一番感じた活動でした。

村山:行きたいところにただお連れするだけでは、そのようなやりとりはなかなか生まれないですよね、、コミュニケーション大事にされているのが伝わります。実際に行って楽しかった活動は何ですか?

臺:偕楽園の梅を見に行きたいという活動なんですが、ご利用者さんが普段は一人暮らしをされているおばあちゃんだったんですね。日常では時々来るヘルパーさんとお話するくらいで、ご飯もおかゆとかを中心に召し上がっている生活をされていて。ただ打ち合わせでお話を聞いていくと、もともと海外旅行とかがお好きで、食べることもお話もすごく大好きって言うんです。活動当日に実際に偕楽園に着くと、梅を見ながらすごく楽しそうに過ごされていて、お話も弾みましたし、お昼もバイキング形式のところに入って、普段召し上がらないようなお料理も「おいしいわねー!もうひとついただいちゃおうかしら」って。そんなお姿をみていたらこっちもすごく楽しくなって、一緒になってはしゃいだことを覚えてます。

村山:スタッフさんも一緒に楽しんでくれると、ご利用者さんも楽しいでしょうし、より思い出に残るでしょうね!

臺:願いのくるま運営メンバーは、ホスピタリティが高いメンバー多くて、外国籍のメンバーや若いメンバーもいるんですが、みんなすごい一生懸命なんですね。ただ、感情移入することが私たちの役割ではなくて。ここはしっかり自分たちのやるべきことをやりながらなんですが。

ご利用者さんは、病院だと患者さんという立場で、おうちにいると病気の家族という立場なのかもしれないんですけど、願いのくるまではご利用者さんがその日の主人公ですので、とにかく最高の一日を過ごしてほしい、そういう気持ちでやっているからこそ自然とそうなるんじゃないかなと思います。

大切にしていること 活動に対する想い

村山:ターミナルケアを受けている方を対象にする上で気を付けていることはありますか?

臺:一番気を付けているところは、「ご本人の口から、ご本人の願いを聞く」ことですね。決して悪いことではないのですが、時々ご家族や担当医など、普段接して看病されている方々の気持ちが優先されてしまって、ご本人の気持ちが置き去りにされてしまうことがあるんです。
「生きているうちにこういうところに連れて行ってあげたい」「自分たちではできないからこういうことをしてあげたい」とかそういう想いってどうしてもあると思います。それが全然悪いことではないんですけれども、ご本人がご本人の意思で、希望を言ってくださっているかどうかを大切にしています。体制面では特に苦労しているところはないですかね。いまは社内に専属の看護師もいます。

村山:看護師さんまでいらっしゃるんですか?!すごいですね(笑)

臺:そうなんです、願いのくるまの活動のために看護師に入社してもらったんです(笑)普段は会社の中の社内看護師として健康管理課に属して勤務しています。その看護師が入社するまえは、私たちは医療資格をもっていないので、何かあったときに医療処置は行えなかったんですね。なので人によっては、民間救急をチャーターしたり介護タクシーをチャーターしてそこの看護師さんに同行していただいていたんですが、それだと願いのくるまとして介入できる部分が少なくなってしまうんです。もう少し踏み込んだケアがしたい、できれば自分たちで対応したいという気持ちがあり、救急病院経験がある方の募集が行われました。

村山:願いのくるまに賭ける思いが伝わります(笑) ターミナルケアの方が外出をするまでって大変じゃないんですか??

臺:そうですね、外出する前にご本人・ご家族・ご担当の医療従事者から同意書にサインをしてもらうようにしていて、それが揃わないとまず活動ができません。その医療従事者の同意書には医療指示書というのもついていて、そこに必要な処置「普段はこういう薬を飲んでいます」とか「もし痛みがでたらこうしてください」といった指示を全て書いていただいて、先生が出発直前まで体調をみて「大丈夫」と判断した時にサインをいただき出発しています。

村山:万全を期して出発!という感じですね! 最後になりますが、臺さん自身、今後この活動がどうなって欲しいですか?

臺:今はまだ関東と東海エリアで実施していますが、この活動を少しずつ広げて定着させ、ゆくゆくは全国展開を視野に入れて活動しています。

私個人としましては、私たちが活動中に着ている願いのくるまのユニフォームを見て、周りの人々が手伝ってくださったり応援してくださる、そんな活動になったらいいなと思っています。本場オランダでは、団体の車両が通るとき、周囲の車が自然と道を開けてくれるそうなんです。そのくらい一般の方に浸透し、地域に根付いた活動になれたら嬉しいです。今は願いのくるま運営メンバーだけで活動していますが、将来的にはいろいろな方が参加し、社会全体でこの活動を推進していく、そういう風になれたらいい世の中になってるんじゃないかなと思います。

村山:高齢化が進んでいく中で、この活動って今よりもっと必要とされますよね。賛同してくれる方や参加してくれる方がどんどん増えていくよう、応援しています!本日はどうもありがとうございました!

臺:ありがとうございました!


パラリンアートでは毎年「願いのくるま」の活動とコラボしたコンペを実施しています!

取材を終えて

改めて願いのくるまのご利用者さんたちの感想をHPで拝見すると「いい一日だった。叶えてくれてありがとう、これで思い残すことなんてないよ。」「夢のような時間でした。念願の外出をして、無事に帰ってきて生まれ変わったんだからこれから更に頑張らなきゃ!」というコメントが笑顔の記念写真とともに掲載されていました。自分が終末期を迎える頃、どんなことを思うのだろう、、想像するのは難しいですが、もし行きたいところがあったときに、願いのくるまのサービスがあったら利用したいなと思いました。今後もこう言った活動を、担当者さんの想いと共に取材していきたいと思います。

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