みなさんは”オーガニック”と聞いて、どのようなことをイメージしますか?
なんとなく、”身体に良いものである”ことはわかっていても、どのように生活に取り入れて行けばよいのかわからない・・・そんな人たちのために正しい知識と情報を発信し続けるオーガニックメディアIN YOU journal 、厳選されたオーガニック商品を販売するIN YOU Marketを運営する株式会社インユー 代表取締役社長 松浦愛さんにインタビューさせていただきました。
たった3人の小さなサークル活動から始まった
———この事業を立ち上げようと思ったきっかけを教えてください。
2013年頃から、有志3人で集まった小さなチームで活動を始めました。最初は組織的な活動ではなく、月に1回メンバーの誰かの家に集まり情報を交換し合ってブログに載せる、というような小さなサークル活動のようなものでした。
当初はマクロビオティックという領域の分野で情報発信していました。マクロビオティックとはざっくり説明すると「丸ごと・皮ごと・無農薬の野菜を食べる、それによって身体が整っていき健康になっていく」というような概念です。
ニッチな領域なのに、たくさんの方が興味を持って集まってくれて、これは可能性のある領域だなと感じたことが会社を立ち上げたきっかけです。
また、私自身が大学卒業直後、心身ともに過酷な労働環境下で、余裕がないからとりあえずジャンクフードを食べて凌ぐ、というような心身ともに不健康な状態で、自分自身にも社会に対しても希望が持てないという時期がありました。
しかし、転職を機に働き易く、やりがいのある職場環境に出会うことが出来、自分の健康を意識できる時間と心の余裕がを持てるようになりました。そして改めて周りの人を見てみると、心身ともに不健康な人が多いと感じたのです。若くて本来元気で明るい人が、病気になってげっそりしている姿を見て違和感を感じ、食事や生活習慣に原因があるのでは?と考えるようになりました。
そこで、自分自身で何か実践できることはないか?と思いまずは食の領域で、マクロビオティックやオーガニック、ビーガン等を自分の生活に取り入れてみたところ、非常に良い変化があり身体も心も健康になっていく実感がありました。
今まで食事はただお腹を満たすだけの行為でしたが、身体に良いものを食べ美味しいと感じる純粋な喜びを知り、人生そのものが豊かに感じるようになりました。
食べ物を変えることで、出歩く場所や人付き合い、考え方までもが自分でも驚くくらい大きく変わりました。
このポジティブな体験を世の中に広めることにより、一人でも多くの人が私のようにオーガニックを通じて心身ともに健康的で本質的な人生を送れるようになると考え、2016年に会社化して本格的に始動しました。
———筆者も健康に気をつけねばならない年齢になったのですが・・・オーガニックな暮らしを自分の中で定着させるにはどうしたら良いでしょうか?
まずは正しい知識をインプットすることです。
身体に良いこと・悪いことを知ると、自分の中で根拠ある選択ができるようになります。いきなり全部変えるのは難しいので、自分が良いと思ったことを生活に少しずつ取り込んで行けば、最終的にオーガニックが生活に定着すると思います。
みんなの笑顔が循環する世の中をつくりたい
———御社でのSDGsの取り組みを教えてください。
具体的には3点あります。1つ目は、賞味期限間近のものでもなるべく売り切る こと。IN YOU Marketでは、賞味期限が近づいて小売店で扱うことが不可能なものでもなるべく宣伝をし、無駄なく売り切ることをサポートしています。これはSDGsのゴール#12「つくる責任、つかう責任」に通じます。
2つ目は、農薬や化学肥料がもたらす影響について発信していることです。
消費者に対して農薬がもたらす土壌汚染や環境への負荷について伝え、代わりにオーガニックの商品を積極的に使うことを推奨し、教育的コンテンツや商品情報を発信し続けています。
これは、SDGsのゴール#15「陸の豊かさを守ろう」に通じます。
3つ目は、 梱包資材はプラスチック以外のものへ大部分を切り替え新商品のパッケージも可能な限り環境に配慮したものにしていることです。
過剰包装をせぬよう、すぐ使えるシンプル なパッケージに変更するなどし最大限環境に配慮しています。これは、SDGsのゴール#14「海の豊かさを守ろう」にも通じます。
また、我々は「オーガニック」という概念がSDGsそのものであると考えています。
「オーガニック=有機野菜」というイメージがあると思いますが、それはオーガニックの一部であり、オーガニックの考え方とは皆の笑顔が循環する世の中をつくることなのです。生産者も販売者も購入者も三方良しの循環。これは、SDGs全体の考え方に通じるものだと捉えています。
真摯なメディアを作り、本物のオーガニックを広めていきたい
———事業を運営している上で、大切にしていることは何ですか?
消費者の声や意見に正面から向き合うという姿勢を大切にしています。
消費者の皆さんからは、「ここのサイトは厳しい視点で真っ当なことを言っている」というお声が多く、SNSの書き込みを見ても一定の評価を頂いています。
理念のない商品や、オーガニックを謳っていながらそうではない嘘の商品があったりする中、弊社は事実に基づいた記事の掲載や、厳選したオーガニック商品しか取り扱いません。広告も、消費者のためにならないものは決して掲載しません。
消費者目線を強く意識して運営していて、ここが他との差別化になっており、読者・消費者の信頼と高い評価に繋がっていると自負しております。
———今までメディアを運営してきた中で大変だったことを教えてください。
日本では、オーガニックがまだライフスタイルとして定着していないので、健康や環境に対してあまり意識せず生活している人たちが圧倒的に多いという現状があります。つまり、彼らに対して、どのように情報を届けるかが最大の課題です
そこで私たちはその課題をクリアするために、質の高い記事を届けることや、胸を張って信頼出来る商品だけを紹介すること、動画媒体、SNSなどを使って一人でも多くの人に情報を届けることで、素晴らしいプロダクトがたくさんの人に届き、健康を手に入れられるきっかけに繋がると思っています。
仮に、すぐに結果が出ないとしても諦めず、これからも地道に続けていく予定です。
オーガニックという領域は、海外先進国に比べると、日本はポテンシャルはあるものの伸びきっていないマーケットなので、大手産業のように大々的な広告も出しにくいですし、テレビで特集を組まれたりプッシュされたりする機会も、ほとんどありません。
自然栽培やオーガニックの生産者は実は、意外と多数います。
一方で、そのようなライフスタイルを送る実践者はまだまだ少ないので、作り手たちの生産量をあげることはもちろんなのですが、まずはその価値を広め、「市場をつくること」が先決です。
私たちはIN YOUという民間企業発で、オーガニックという素晴らしい概念・考えを広めることにより、オーガニックライフを送る人を増やし続けるだけでなく、ゆくゆくは根本的な所の解決になるようなビジネスにも、着手していきたいと思っております。
民間企業発で、社会や消費者意識を変えいけるような取り組みを今後も続けて行きたいと思います。
自分の内側と向き合うことは、健康へ繋がって行く
———これから取り組んでいきたい社会課題やテーマはありますか?
日本は自殺の多い国と言われています。さらに追い討ちをかけるように新型コロナウイルスの流行によって心が疲れてしまっている人々が益々増えているということを聞いています。
今後は心の健康へのアプローチにも取り組んでいきたいと考えております。それが、将来的に私が描く一つのゴールであり、身心ともに元気であることこそが、本当の意味での健康であると考えています。
またグローバル展開も意識しています。”全ての人にオーガニックな暮らしを”をスローガンに活動をしているので、日本人だけではなく、グローバルな視点で事業を展開できたらと思っています。他国で発信・事業展開し、世界の人々を健康に導くことを目指しています。
SDGsで言うところの#3「すべての人に健康と福祉を」ですね。
———新型コロナウイルスの流行や異常気象による天災など、予想しないアクシデントが多く発生する昨今の世の中を生き抜いていく上で、大切なことは何だと思いますか?
「本質」を見極めることだと思います。
周囲の人や多くの情報に振り回され、生き方や仕事など自分の人生を左右されてしまう不安定な時代なので、より一層自分自身と向き合うことが必須条件になっていくのではないかと思います。
今までは外から見た自分を大切にしてきた人が多いと思うのですが、自分の心や身体としっかり向き合い、自分にとって重要な人生の優先順位や、一番大切にしたい人・価値観は何なのかを自問自答し、内なる自分に向き合うことこそが大切なのではないかと思っています。
松浦 愛 Instagram
https://www.instagram.com/inyou_magazine/
オーガニック情報を届ける公式YouTube インユーチューブ
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