人の顔色を伺ってしまう、終わったことをクヨクヨと考えてしまう、自分の気持ちを押し殺してしまう、そんなHSPの気質を持った人たちは人間関係で疲弊してしまいがちです。今回は私のこれまでの経験から、こういう人からは距離を置いて欲しいというタイプの人間についてお話していこうと思います。
自分よりも相手を優先してしまうことで生まれる苦悩
HSPの気質を持っている人達に対人コミュニケーションで悩んでいる事について話を聞いてみると「相手の顔色ばかりを伺ってしまう」「自分の意見を言うことが出来ない」「自分のことよりも他人のことを優先してしまう」「他人に甘えること(頼ること)が苦手」などという声が多く聞かれます。
HSP気質を持った人たちは空気や人の気持ちが読めてしまう分、空気を濁さないように気を遣ってしまい、人とのコミュニケーションをうまく取れていないのでは?と不安になり悩んでしまう人が多いのでしょう。私も過去に人とのコミュニケーションの取り方や職場の空気に馴染めずに悩んでいた時期がありました。
周囲の顔色を伺いすぎて苦しくなり退職した過去
私は以前医療機関で事務職員として働いていた際に、周りの顔色を伺ってばかりで疲弊し、離職した経験があります。業者から入荷される医療機器を管理する仕事をしていたのですが、発注書と納品書を照らし合わせ、問題がなければチーフから検印をもらうという簡単な作業でしたが、この「ハンコをもらう」という作業が本当に苦痛でした。たった一言、「ハンコをください」が本当に言えないのです。
話しかけたくても相手が作業をしていたり、患者さんと話をしていたりするのを見ると「邪魔したら悪いな」と声をかけることが出来ません。話しかけるタイミングを見失ってしまい、なかなか話しかけられないのです。
他の人は作業をしているチーフの手を止めてもらったり、患者さんと会話をしている途中でも話を遮ったり、作業の一貫として検印をもらうことが出来ていましたが、私にはそれが出来ず、職場からは「協調性が無い」「作業のスピードが遅い」「自己判断してばかり」との評価を受ける結果となってしまいました。「どうしてハンコをもらうという簡単なことも出来ないの?」と叱責されましたが、「作業を中断しては申し訳ないと思い、声をかけることが出来なかった」と自分の本当の気持ちを伝えることも出来ず、数ヶ月で退職しました。
当時を振り返ると苦い経験でしかないのですが、今また同様の職についてうまく立ち回れるかと問われれば自信はありません。この経験から私が学んだこととしては、「業務に慣れるまでの数週間はなるべく声をかけて欲しい」と職場の人たちに伝えるべきだったということでした。
新しい職場や、新しい人間関係の中でも物怖じせず人に話しかけることが出来る人もいるでしょう。しかし、それが難しいのであれば気軽に話せる人が出来るまで、定期的に業務内容について話合う時間を設けてもらえるようこちらからお願い出来れば良かったと今なら冷静に考えることが出来ます。
こんな人には要注意!コミュニケーション、マナー違反をしている人たち
「HSPは病気ではなく生まれ持った気質である」というのは先ほどもお伝えしました。自分自身の問題だからこそ自分1人でなんとかしようと思い悩んでしまうもの。実際に人間関係上の悩みを抱えているHSPの気質を持った人たちに「人間関係の悩みを解消・軽減するために、HSPでは無い人たちにどのような配慮をして欲しいか」と聞いてみると意外なことに「こうして欲しい」という要望を述べる人はいませんでした。
「人は人、他人は他人」という線引きがきちんと出来ている一方で、人と自分を区別してしまうが故に「どうして他の人は出来るのに私は出来ないのだろう」という苦悩に繋がってしまうように感じています。
私もHSP気質を持っていますが、私も「HSPだから相手にこうして欲しい」と要望していることは特に有りません。しかし、これまでの人間関係を振り返って、こういう人は苦手だったな・・・という苦手なタイプの人の共通点を考えてみるとコミュニケーションのマナー違反をしている人が多かったことに気付きました。
1、会話じゃなく、命令。無機質な会話を突如投下してくる人
話しかけた時に、デスクのPCや手元のスマホから目を話さずに話をしてくる人、きっと皆さんの周りにも1人や2人いると思います。「この人、話、本当に聞いているのかな?」と不安になるだけではなく、こちらの話を軽んじているのかな?と卑屈に捉えてしまいます。
また、今は対面だけではなく、メールやチャットなどのコミュニケーションツールも意思疎通を行う上で欠かせないツールとなりつつあります。無駄な世間話をして欲しいとは言いませんが、あまりにも短文過ぎる無機質なやりとりは会話・コミュニケーションというよりも一方的な指示・命令という印象になり、通知が来るたび「今度は何だ?」とドキドキしてしまいます。
2、この場は俺のものと言わんばかりにその場の空気を人質にとる人
人間生きていれば誰しも体調が悪い時や、悲しい時、イライラする時があるでしょう。そっとして置いて欲しい時や誰にも会いたく無い日ももちろんあります。しかし、マイナスの感情を表面に持ち出し、盾にして自分を守ることは手段として間違っていると私は思います。人の気持ちは口に出さずとも伝わってしまうもの。あなたの機嫌は他の人の1日には関係有りません。息をするのも苦痛と感じられるくらいピリピリとした雰囲気を醸し出し、その場の空気を人質に取るような態度を取るようなことはやめて欲しいと思います。
3、褒めているようで実は都合よく他人を利用している人
HSPの人の中には感受性が強く、相手の考えていることが分かってしまうが故、「一を聞いて十を知る(少ない情報から全体像を把握する)」タイプの人もいます。私も「1言えば10理解してもらえる」と以前上司に言われたことがありました。
先回りして行動出来るため、「気が利くね」と言われることが多いですが、気が利いてしまうが故、相手の思い通りに動けないと反感を買ったり、手を抜いていると思われてしまいがちです。相手とのコミュニケーションの中で掴むことが出来るのは「私が・今・何をしたら良いのか」であって、「相手が・これから・何をして欲しいか」に関しては分かりません。未来を見通せるわけでも、相手の頭の中を覗き見出来る訳でもありません。
いつも最善を尽くしているつもりではありますが、「欲を言えば○○して欲しかった」と言われたこともしばしば有ります。他人の欲は察することは出来ません。きちんと言葉にして伝えて欲しいなと思うと同時に、相手の希望に添えなかったのかとガッカリしてし自分の最善を尽くしたにも関わらず自分がやった仕事の価値を見出せず落ち込んでしまうことがたびたびありました。
今一度、人との接し方について考えてみませんか?
これまでに私が苦手だなと思った人の特徴を3つ挙げましたが、「私がHSP気質を持っているからこういう人が苦手だ」と言うよりも、人と人がコミュニケーションを取る上での最低限守るべきマナーと言うことが出来るのではないでしょうか。親しき中にも礼儀ありという言葉もあるように、どんなに仲の良い間柄でも相手を認め合い、節度を持った関係性を保つことが大事だと思っています。
そして上記に述べたようなことを平気でしてくるような人は「自分の方が相手よりも上だ」と無意識に思っているような人、平然と他人の時間より自分の時間が貴重だと思っているような人だと思います。
「あなたを大切にしない人を、あなたが大切にする必要はない」
という言葉に出会ってから(引用:ふりまわされない。 小池一夫の心をラクにする300の言葉)、私は上記のような対応を平然としてくる人に出会った時は潔く距離を置くようにしています。
このような無神経な人たちを私は「生きる大根おろし」だと思っています。うっかりぶつかってしまったら最後、こちらの心がジョリジョリと削られてしまうような感覚に陥るからです。
時にこのような大根おろしのような人に出会っても尚、「私の心が弱いからだ」「周りの人はうまくやっているのに」と嘆くHSPの人がいますが、私は大根おろしに耐えれるほどの強さを身に着け、世の中をバリバリと渡っていきたいとは思いません。心の強さとは誰かと比較するものではないですし、強くあろうと気を構えていると大切なものを見落としてしまうような気がするからです。
身近にいる人が生きる大根おろしのような人だった場合、勇気を出して距離を置きましょう。大根おろしのような人は総じて他人に興味がないので、我々が知らず知らずのうちに距離を置いていることに大して気付きません。相手が気づかないうちに安心出来るところまで距離を遠ざけることが一番です。
そして自分はHSP気質ではないけれど、HSPの人たちに対してどのように接していけばいいのだろうとお考えの皆さんはコミュニケーションのルール違反をしていないか、今一度自分の行動を振り返ってみましょう。
「人にされて嫌なことはしない」。簡単なことですが人と付き合う上でとても大切なことだと私は思います。「人に優しくあろう」など立派なことを考える前に目の前の人に対して節度ある行動を心がけたいものですね。