シャッター等を中心とした「動く建材」でグローバルに事業展開をしている三和ホールディングス株式会社。
世界で活躍する企業の社会貢献やSDGsの取組について、コーポレートコミュニケーション部の新子 雅之さん、田村 麻子さん、范 瑞豪さんにお話を伺いました。
社会に貢献できる事業=企業価値である
———早速ですが、御社がSDGs・社会課題解決に向けて取組まれていることを教えてください。
我々は、SDGsと企業価値の創造モデルはリンクしたほうが良いと考えています。
弊社の企業価値の創造モデルというのは、「社会課題解決のソリューションを提供していくことが本業」であることと考えています。
———どのような事業がどんな社会課題解決に繋がっていますか?
SDGsを例に説明をすると、まず、火災の時に自動的に下りてきて延焼を防ぐための防火シャッターや防火ドア、パブリックスペースの間仕切、自動ドア等の空間を仕切ったり、「動く建材」を持続させるための修理・メンテナンスサービスなど、我々が日々行っている業務そのものが、#11「住み続けられる街づくりを」達成にリンクするものと捉えています。
その他の例で言いますと、高速シートシャッター「クイックセーバー」は、工場や倉庫で利用されているのですが、一般的なスチールのシャッターよりとても早く作動し空気の流出入を抑えられるので省エネに資する商品です。これは、日本・アメリカ・ヨーロッパ・アジアで売られている商品で、脱炭素社会にグローバルで貢献できているととらえています。
(参考資料:https://www.sanwa-hldgs.co.jp/csr/effort/environment/contributive/products.html)
一方、温暖化の影響もあり、近年台風や集中豪雨による浸水被害が増加しています。こうした都市型水害の防止策として、三和の防水商品は「簡単・すばやく・安全」をキーワードに、建物の出入口のみならず、地下街への出入口を浸水から守り、都市の安全に貢献しています。
地球温暖化が進む世界において洪水から、命・財産を守ることのできる商品です。
(参考資料:https://www.sanwa-hldgs.co.jp/csr/effort/social/consumers/)
高速シートシャッターは、気候変動を抑えることに通じる商品。防水商品は、気候変動が進んでも命と財産を守れる商品。適応策と緩和策の両輪で、気候変動に対して商品で対応できるよう取り組んでおり、これらは#13「気候変動に具体的な対策を」の解決にリンクする商品だと考えます。
企業は社会に貢献することこそが存在価値だと思っています。
それは、お金を寄付する・ボランティアをする等色々ありますが、弊社としては本業を通じて社会の課題を解決する・貢献する、それがSDGsの課題解決に繋がるものととらえています。
———コロナ禍において、何か新たな事業展開や取組があれば教えてください。
グループ会社の三和シヤッターでは、プラスチック製ダンボールのパネルを採用した「ファミプラ」に透明パネルを追加して用途を拡大しました。
この商品は2016年から販売開始し、避難生活時のプライバシー確保に利用されてきましたが、今回新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、病院の待合室での密集・密接防止や、オフィスの打合せスペースでの飛沫対策など、様々な用途に対応できるようにバリエーションを追加しました。
これは、現在の社会課題を解決できる商品として大変反響をいただいており、既存の商品を利用しながら、用途を拡充し、安心・安全・快適を提供できた良い例かと思います。
(参考:ニュースリリースhttps://www.sanwa-hldgs.co.jp/news/detail.php?id=263)
———社会貢献や、社会課題解決の取組に関して、何か課題はありますか?
弊社商品は、社会インフラ・生活のインフラとしてまだ浸透率が低いので、もっと商品のPRをもっとしていかなければいけないと考えています。
三和グループ社会貢献倶楽部の取り組み
三和グループには、「三和グループ社会貢献倶楽部」という役員・従業員の有志による寄付活動を行う団体があり、1,000人を超える従業員が所属しています。
その活動内容について、詳しくお話を伺ってみました。
———”三和グループ社会貢献倶楽部”とはどのような形ではじまったのですか?
2006年三和シヤッター工業株式会社の創立50周年を記念して、2006年11月よりスタートしました。
会員の割合は、従業員の23%ほどです。毎月100円~500円までを給与天引きをし、マッチングギフトとして会社からも同額積み立て、毎年540万円ほど集まります。
その集まった金額を、昨年では9団体に寄付をさせていただきました。
運営委員会を作りメンバーで寄付先を考え、各団体へ訪問したり顔を合わせて趣旨や活動内容と使い道をお伺いして選定しております。
実績として、次世代を生きる子どもに関わる支援が多くなってきていまして、本業での社会貢献とはまた違った趣旨になっています。
———子どもに関わる支援とはどのようなことをされているのでしょうか?
寄付先も、子どもの支援をしている団体が多いのですが、それとは別にボランティア活動も行っています。
三和タジマ株式会社というステンレス製品の製造販売をしているグループ会社では”デザイン室”という芸大出身者がたくさんいる部署があります。そこが、生活困窮家庭に学習支援でサポートしているNPO法人キッズドアと協業し、子どもたちにアートの楽しさを伝え未来の選択肢を伝える「アート教室」を過去4回開催しています。
(参考資料:https://www.sanwa-hldgs.co.jp/news/detail.php?id=235)
業務を通じてのボランティア活動・社会貢献を行うことにより、デザイン室のメンバーも、子どもたちから直接届く”ありがとう”の声が仕事のモチベーションにも繋がっていると言っていました。
私たちも参加したことがありますが、子ども達と一緒にカレーを食べたり、皆で手を動かしながら工作する過程はとても楽しかったです。
貧困は、学力格差も生じますが、経験格差もあるそうです。
このような取り組みは、子どもの選択肢を広げることに繋がり、子ども達からも、親御さんからも感謝のお声をいただいており今後も続けていきたいなと思っています。
ヒト・モノ・カネ・ノウハウを社会還元していく。
———今までたくさんの社会貢献をされてきた御社ですが、その中で特に反響が大きかった・喜ばれたエピソードはありますか?
少し前になりますが、2007年に三和シヤッターで板橋区の区立の全小学校41校に対し防火シャッターを寄贈しました。
小学校は延焼を防ぐため、防火シャッターがありますが、古いシャッターは上から下りてくるときに障害物に当たっても停止せずに、子どもが挟まれてしまう可能性がありました。そこで、三和シヤッターの創立50周年の節目に子供たちの「安全・安心・快適」を願い計296台・2億円相当の危害防止装置(安全装置)を寄贈させていただきました。
この支援は他社さんからも”すごいね”と驚かれ、各所からの反響が大きかったですね。
———今後、御社で取り組んでいこうとしていることや注目していることはありますか?
社会ニーズ・社会課題の変化にいち早く対応できることが弊社の強みだと思っています。
今後このコロナ禍のような情勢になったとしても、即座に弊社のサービス・商品をはじめ経営資源をフル活用して対応をしていきたいと思っています。
ボランティア=人、本業製品=物、寄付=金、アート教室等=ノウハウを通して、今後も多方面から社会に還元して皆で分かち合って次世代やサスティナブルな社会につなげていく活動をしてゆきたいと思っています。