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  • 2020年5月25日

【SDGsな人々#5】 遠隔画像診断で地域医療格差を解決する!ViewSend ICT株式会社 嗣江 建栄さん

インターネットを利用したオンライン診療システムや、そのための遠隔画像診断システムの開発・提供を手がけるViewSend ICT(ビューセンド アイシーティ)株式会社の代表、嗣江建栄(シエ ケンエイ)さん。

SDGsが目指すゴールの「3,全ての人に健康と福祉を」を達成するためには、全ての人が質の高い医療を受けられる環境を作り上げることが必須の条件となります。

医療における地域格差問題をITの力で解決しようとする嗣江さんに、現在の医療が抱える課題や取り組みなどをお聞きしました。

地域医療格差という課題 

———解決すべき地域医療格差とは、具体的にどのような課題があるのでしょうか?

まずは医師の偏りです。

都市部に人口が集中し、地方人口が減って来ているのと同時に、多くの優秀な医師が地方を離れ、都市部の大学病院等に集中する現象が起きています。

それにより地方の患者さんは、本来受けられるはずの治療であっても、近くに専門医がいないから受けられないという問題が発生してしまっています。

———なぜそのような問題が起きてしまっているのでしょうか? 

地方は人口が少ないので、一人の医師が担当する患者数が都市部より必然的に少なくなります。すると当たり前ですが、医師が手にする診療報酬も都市部より地方の方が安くなってしまいます。

すると必然的に医師は診療報酬が多く手に入る都市部に流れてしまうのです。 

また、地方の中小病院は、給与面の問題から大学病院に勤めるような医師を常勤で雇うことができません。月に1、2回といった感じで大きな病院から医師に来てもらっているような状況が起きています。

また、地方の患者さんは風邪を引いても大学病院に行きたがります。

本来は大学病院とは、風邪などの軽症の患者が行くところではなく、もっと重症の患者さんが行くところなんです。つまり、地方は地方で、さらに医療資源が偏っているんです。

少子高齢化による人口減少と、都市部への人口の偏りがそのまま医療の地域格差につながってしまっているのです。

地域医療格差を解決する!遠隔画像診断でできること

———嗣江さんの会社で提供する技術について教えて下さい。

私の会社では遠隔画像診断とオンライン診療という2つのシステムを開発・提供していますが、この2つは実は似ているようで異なるものなんです。 

遠隔画像診断は医師と医師の間での画像のやりとり、オンライン診断は医師と患者のやりとりです。

オンライン診療は現在ほとんど普及していませんが、遠隔画像診断は割と早くから認められていました。 

地方で検査した際に撮影した画像を、遠隔画像診断システムを使って大きな病院の医師が見ることができる仕組みは既に出来ています。 

これにより、患者さんは移動しなくても、遠くの大きい病院の先生に診断してもらえるようになりつつあります。

これからは、地方の患者さんを地元の病院に分散させないといけません。

最初から大学病院に行くのではなく、まずは地元のクリニックに行き、検査が必要になったら中小病院、さらにオペが必要になったら大学病院に集約させる。

そういうことが、遠隔医療を使えば可能になります。そして、それはそのまま地元の活性化にもなるのではないかと考えています。

これからはオンライン診療が、多くの課題を解決する鍵になる

———オンライン診療がそれほど普及して来なかった事に理由はあるのでしょうか?

実は、オンライン診療が普及してこなかった理由は、法律による壁があったからです。

医師法という法律の第20条で、医療は直接の対面診療が基本であると定められているのです。オンライン診療はこの医師法第20条に抵触するのではないかと議論されてきました。

国は「患者の心身の状況に関する有用な情報が得られる場合には、遠隔診療を行うことは直ちに医師法第20条等に抵触するものではない」とし、段階的にオンライン診療を認可してきたものの、オンライン診療には慎重な構えを継続していました。

ですが、新型コロナウィルスの影響に伴う外出自粛で、医療の在り方は大きく変わりました。

条件付きにはなりますが、オンライン診療を厚生労働省が解放したのです。 

———これからオンライン診療を普及させる上でどんな課題があるのでしょうか?

テレビ会議のようなオンライン診療ができるようになるまでには、まだまだ課題があります。 

法律的なルールは、新型コロナウイルスの影響もありだいぶ整ってきましたが、実際に現場の病院がどう取り組むかは、まだそれぞれの病院がこれから決めていくことになるでしょう。 

ですが全体の方向としては、病院も事業を維持するためにオンライン診療を導入せざるを得なくなってくると思います。 

先ほど、都市部の大学病院の医師が、地方病院に週1、2回ほど出向いて診療するケースが多いというお話をしました。

これからもコロナのような感染症の流行があると、医師の移動は双方の病院にとってリスクになります。ですが、診療をやめるわけにはいかない。患者さんは待っているし、もちろん医師も病院も診療報酬を得ないと事業が成り立たなくなってしまいます。

今回の新型コロナウイルスの流行で、もっと早くオンライン診療に取り組んでおけば良かったと思った病院は多かったのではないでしょうか。

遠隔医療が普及すれば海外の患者さんも救える

———嗣江さんが今後取り組みたいと思っている課題を教えて下さい。

これからは、日本国内だけではなく世界の医療格差問題も解決していきたいと思っています。

日本の医療は世界の中でも高度な技術を誇り、その評価は世界の中でもナンバー1です。

がんなどの病気の生存率もそうですし、医療費の面でも他の国よりも安いのです。

日本は、保険を適用せずに全額負担で治療を受けたとしても、アメリカで同じような医療を受けた場合に比べると半分ぐらいで済んだりします。

これは、日本が国家として医療に対する補助をたくさんしているからです。具体的には薬の値段を国がある程度コントロールしているなどですね。

質の高い医療が自分の国よりも安く提供されているとなれば、それは海外の患者さんは日本で診てもらいたいと思いますよね。実は、すでに海外の患者さんに対するオンライン診療は認められています。

事前に画像診断でスクリーニングすることができれば、本当に来日しないとできない治療なのかを先に調べることができます。

患者さんの負担も大きく減らすことができるでしょう。 

海外と日本では、医療レベルに大きな差があります。これからは、国際間の医療格差という課題にも取り組んでいきたいと思っています。

———この事業をやっていてよかったなと思うことはありますか? 

それはもうたくさんあります!

海外の患者さんが、自国ではがんだと思われて手術が必要だと言われていたけれど、実際に日本の医師が診察したらがんではなかったケースとか。

患者さんがすごく喜んでくれたのが印象的でした。

発見が難しいと言われるすい臓がんが遠隔画像診断によって早期にわかり、医師の方から感謝されたこともあります。

患者にとっても医師にとっても良い仕組みだというのが嬉しいですね。

———最後に一言お願いします。

まだまだオンライン診療には課題もありますが、一つ一つ課題をクリアしていき、医療面の地域格差を減らしていきたいと思っています。

日本の医療は構造的にも課題が多く、仕組みを変えるのは簡単ではありません。

病院もボランティアではやっていけないのです。

これからも持続可能な形で、質の高い医療を多くの人に提供できる手助けをしていきたいと思っています。

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