レストランが希望する品種で農家に野菜を作ってもらったり、引退馬の飼育を支援するマッシュルームを売ったりと、ちょっと普通とは違う「人の繋がりをつくる八百屋」の株式会社eff 吉岡隆幸さん。
吉岡さんは、日本の食材の販売を通して、多くの人と人とを繋いでいます。今回は、そんな吉岡さんに、食材を通して行なっている「サスティナブルな取り組み」についてお話を伺いました!
レストランが希望する品種で、農家に野菜を作ってもらう
———早速ですが、八百屋さんでサスティナブルと聞くと想像が難しいのですが、どんな取り組みをしているのですか?
吉岡さん:レストランが必要とする野菜を、「品種を指定して農家に作ってもらう」という仕組みを作りました。
———品種を指定する?
吉岡さん:タイ料理でよく使われる、パクチーという野菜がありますよね。パクチーには、実はタイ原産の品種や、ヨーロッパ原産の品種など、たくさんの種類があるんですよ。
———それは知らなかったです・・・
吉岡さん:レストランのシェフでも知らなかったりします。笑
例えば私たちの取引先のひとつにタイレストランがあります。そのレストランに納入するパクチーを、お付き合いがある農家さんに頼んで、試しに何種類か作ってもらったんです。
それで、レストランの担当者に試食してもらうと、「やっぱりタイ料理だから、タイ原産のパクチーの方がいいよね」となったりするんです。
———なるほど!
吉岡さん:そうやって、レストランが指定した品種を農家さんに作ってもらうことによって、農家さんにとっては安定した契約先が出来ますし、レストランにとっても安心して野菜を仕入れることに繋がります。どちらにとってもプラスになる仕組みです。
マッシュルーム栽培で、引退馬の飼育を支援する
吉岡さん:もう一つ、引退馬の飼育を支援するマッシュルームというのもあります!
———??? ちょっと、馬とマッシュルームが結び付かないですが・・・
吉岡さん:岩手の八幡平に、引退馬の飼育を支援する施設があります。そこでは、馬ふんを利用してマッシュルームを栽培しているんです。
もともとマッシュルームの人工栽培は、馬ふんと、稲わらを混ぜて作った菌床から始まりました。今でも、馬ふんはマッシュルームの菌床としてすごく良い。
なので、引退した競走馬たちの馬ふんを使って、良質なマッシュルームを作り、その利益で馬を育て、また馬にふんをしてもらって…と続くのです。
———まさにサスティナブル!
吉岡さん:そうです。「ウマいマッシュルーム」です!笑
今、サスティナブルな食材が求められています
吉岡さん:ここ1年くらいで、スーパーやレストランにも、SDGsの考え方が少しずつ広まって来ました。担当者からずばり、「サスティナブルな食材ない?」と聞かれることもあります。そういったときに、さっきのマッシュルームを提案したり、農家さんがあまり売れなくて困っている食材を紹介したりします。
最近は、自分たちが関わることによって、相手がどう良くなるかを考えています。農業やレストランが成長していく方法を、一緒に考えて行きたいんです。
仕組みを変えていかなければならない
———最後に、今後解決していきたい社会課題があれば教えて下さい。
吉岡さん:日本は、仕組みに無駄が多いんです。それを変えていかなければならないと思っています。
例えば、今、地産地消の取り組みをしようとしても、野菜は出荷すると一度東京に集まる仕組みになっています。これは、JAが悪いとかではなくて、以前はそれが合理的だったからなんでしょうね。
でも、もう今は違う。全国の野菜を東京に集めてしまうことでフードマイレージ(食料の輸送距離)もかかってしまうし、食糧の輸送距離が多くなることでCO2の排出も増えてしまいます。
コストがかかるようでは、サステイナブルな取り組みといっても、誰も参加してはくれません。なので、仕組み自体を変えて、誰もが幸せになる方法で、サスティナブルな社会を実現したいと思っています。
———ありがとうございました!今回お話を伺ったのは、株式会社eff 吉岡隆幸さんです。
インタビューを終えて
吉岡さんの話を聞いて、私たちに出来る食に関わる仕組みを変えるの1つ、フードマイレージの削減として「農家から直接、新鮮な野菜を届けてもらう」方法があると思いつきました。
調べてみると農家さんの中には直接消費者に野菜を届けるサービスを既に行っているようです。(例:朝穫り新鮮 産地直送無農薬野菜)
美味しい食材を食べてフードマイレージの削減にも繋がる、サスティナブルな食事を目指しましょう!