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  • 2020年1月25日

ファッション業界の廃棄問題に立ち向かうサスティナブルな取組み

取材・テキスト
マコ / 竹内 真マコ / 竹内 真

皆様、こんにちは。キクエスト編集長のマコ(竹内真)です。私は20-30代の頃、小売企業やアパレル企業と関わる仕事をしてきました。私たち消費者の日常生活に密接な小売企業やアパレル企業の社会課題解決事例をこれからご紹介していきますのでよろしくお願いします。

SDGsが世界中で少しずつ浸透していく中、日本のファッション業界でも「サスティナビリティ(持続可能性)」を重要な経営課題であると捉える企業が増えてきています。ファッション業界が引き起こす社会課題は、「環境問題(ゴミ、廃棄、リユース、エコ、オーガニック他)」や「働き方(児童労働、賃金、女性活躍、キャリア他)」など多岐にわたります。

その中でも深刻な問題であるのが、服の大量廃棄問題です。今回の記事ではその実体と改善に向けての取り組み事例をご紹介いたします。

未着用の服が大量に廃棄されている!?

(画像引用:https://unsplash.com/photos/tvG4WvjgsEY)

2019年4月に出版された朝日新聞の記者2人による著書大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」では、1年で10億着の新品の服が廃棄されていると記されています。とても衝撃的な数字です。なぜそんなに大量の廃棄がされるのか、その構造を見ていきましょう。

一般的にファッション業界は、トレンドの変化が早くシーズンが過ぎれば一気に売上が落ちる性質があります。だからと言って在庫を処理するために、大幅に値下げして販売する行為は、ブランド価値を落とす恐れがあると考えられています。

そこで、値下げ販売をせずに「廃棄」を選ぶファッション企業も少なくありません。せっかくつくられた服が未使用のまま捨てられてしまうという訳です。現代のファッションビジネスの大半は、たくさん作って、たくさん売って、たくさん捨てる・・・。それが当たり前になっているかもしれません。しかし、そんなことを続けていけば、将来、資源は枯渇し今と同じような服作りは難しくなるでしょう。

最近では、資源の無駄、労働の無駄を感じ、「このままじゃだめだよね」と考え始めた企業も増え始めてきました。

大量廃棄を防ぐアパレル再販のしくみ「リネーム」

(画像引用:https://www.rename.jp/

名古屋市に拠点を置く株式会社ファインは、アパレルの買取・再販を行うリセール業者です。その中でも、買い取った商品のネームタグや洗濯表示を外し定価の3割程の値段で販売する「リネーム」という仕組みが注目されています。

リネームは消費者にもブランドにも環境にもメリットがあります。

メリット①:消費者は新しい服と出会える

リネームで販売されている商品は元々のブランド名が分からないようになっています。その為、既存のブランドイメージに影響されることなく、純粋に服の良さだけを感じることに繋がります。

メリット②:お得に買える

新品未使用の服が定価の3割ほどの価格で販売されていますので、かなりお買い得です。

メリット③:ブランドはブランド価値を下げることなく、廃棄コストも減らす事ができる

服を廃棄するにはそれなりのコストが掛かります。廃棄までの在庫管理料、保管スペース、運搬費用などが必要になります。これらのコストを削減することができる上で、リネームで販売される際はブランド名が一切出ませんのでブランド価値を下げることもありません。

メリット④:環境に優しい

服を廃棄をするという事は、そのほとんどが焼却することになります。焼却すると当然CO2が発生します。リネームはこれらが削減できる、環境にもやさしい取組みになっています。大量廃棄を防ぐ有効な手段として、リネームと言う取り込みは、今後も拡大していく見込みです。

廃棄した服から服を生産するD2Cブランド「FABRIC TOKYO」

(画像引用:https://fabric-tokyo.com/

近年、ITの発展を業態に取り入れたD2Cブランドが国内でも成長を遂げています。D2CとはDirect to Customer の略で、ソーシャルメディア(特にインスタグラム)などを通じて、ブランドと消費者が直接繋がり、ユーザーの声を反映する商品開発や、中間マージンをカットすることで価格をおさえて商品化するなどを行っているブランドの事を指します。

その中で製造方法を工夫し、大量廃棄問題に取り組むブランドが、EC(ネット通販)でオーダースーツを展開するFABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)です。FABRIC TOKYOは、洋服の回収を全店舗で行い、回収した服から再生生地(アップサイクル生地)を再生成し、自社商品の素材に採用していく仕組みを構築しました。

今後のロードマップは、

・2019年全店舗にて洋服回収を実施(他社製の服も対象)

・2020年アップサイクル生地でポリエステル素材の商品をリリース予定。また、全ての梱包資材をサスティナブル素材に切り替える

・2021年アップサイクル生地でコットン・ウール素材の商品をリリース予定

・2023年全ての洋服をサスティナブル素材にする

と表明しています。全ての洋服をサスティナブル素材にすることが実現すると、FABRIC TOKYOは、商品を生産するために新たな資源を使わない=循環型ファッションを可能にするため、注目が集まっています。

(画像引用:https://unsplash.com/photos/FK81rxilUXg)

国内ファッション業界でもリネームやFABRIC TOKYOのようにビジネスと社会課題解決(大量廃棄問題)に取り組む企業は増えてきましたが、まだまだ服の大量廃棄は行われています。私たち消費者も、企業やブランドの姿勢を少し勉強してから服を買う、リサイクルや衣服回収に協力するなど、出来ることから取り組みたいですね。たった一人の行動だけで社会が大きく変わることはないかもしれませんが、出来ることから行動する・・・それがやがて大きな力となり社会が変わっていくと信じています。

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