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  • 2020年1月22日

ジャパンSDGsアワード受賞!今すぐ実践できる「魚町商店街」のSDGs五か条

取材・テキスト
為我井優子為我井優子

皆様、こんにちは。この記事企画では、キクエスト編集部が日本国内外の社会課題に向けた施策を事例とともに紹介していきたいと思います。今すぐ実践できる事例もたくさんあるので、ぜひ参考にしてください。

本記事でスポットライトを当てるのは、経済開発協力機構からアジア初「SDGs推進に向けた世界のモデル都市」に選定されている北九州市小倉の「魚町商店街」のSDGsに関する取り組みです。

2019年に中小企業庁が実施した商店街に関する調査によると、2016年からの3年間で、1商店街あたりの店舗数は平均3〜4店舗減少し、空き店舗率も若干ながら増加しました。しかし、商店街への来街者数が「増えた商店街」は増加しておりまだまだ商店街には大きなポテンシャルがあるといえます。“商店街”は今後、伝統と活気あるその商業形態を活かしながら生き残るための新たな戦略を模索することになるでしょう。

そんな中、今回紹介する魚街商店街の取り組みは、特殊技術の導入や莫大な費用をかけた訳ではなく、誰でも実践可能なものです。省エネや若者目線のリノベーション店舗の開店による持続可能な施設作り、地域を繋げるコミュニティ開発、観光客向けのキャッシュレス推進等多岐にわたる取り組みが評価され2019年12月20日に開催された「第3回ジャパンSDGs アワード」で最高賞を受賞しました。※ 外務省HP「SDGsジャパンアワード」参照

商店街規模でスマートフォン決済アプリを導入

  引用:https://about.paypay.ne.jp/pr/20191203/01/

「魚町商店街」がある小倉の地には、トイレ・洗面器具ブランドのTOTOや、産業用ロボットで世界有数のシェアを誇る安川電機等が本社を構えています。また、北九州市は本島と九州列島を繋ぐ玄関口であると同時に、アジア大陸に近く観光都市博多から電車で小一時間という立地のため、韓国や中国等アジアからの観光客も絶えません。

そんなビジネス・観光需要の高い当地域の中心に位置する魚町銀天街は、北九州市が発表した「小倉まちなかキャッシュレス推進宣言」の実現性検証として、国内向けスマホ決済アプリ「Pring(プリン)」、インバウンド向け決済アプリ「Alipay(アリペイ)」を2018年に3ヶ月間限定で実験導入。2019年12月3日には、国内2,000万超えの登録ユーザー数を誇る決済アプリ「PayPay」を無期限で導入しました。

長年地域に根ざす老舗店が多い商店街において、決済方法を含む新しいサービスの導入は容易ではありません。その点で、魚町商店街は店舗毎ではなく商店街が一団となって決済アプリを導入したという試みが画期的です。

現在キャッシュレス端末を導入している商店街は全国全体の3.6%ほどに留まるため、良質な商品、サービス、接客は従来と変わらずに、客の利便性を第一に考えたツールを導入する姿勢は全国の商店街で見習える事例だと言えます。参考:https://www.chusho.meti.go.jp/shogyo/shogyo/2019/190426shoutengai.htm

商店街として、省エネを実行する意思表明

さらに、国民運動である「COOL CHOICE※1」を推進し、商店街のアーケード同士をつなぐルーフへの太陽光パネル設置、照明のLED化など省エネ機器への取り替え等環境へ配慮した設備整備も行っています。具体的には透過性太陽光パネルを設置して商店街の電力として活用しています。
※1 エコカー等の省エネ設計の製品やサービスの利用、車より電車を利用するエコなライフスタイルの実施など、脱炭素社会を実現する為にあらゆる「賢い選択」を促す国民運動。

「初期費用が莫大にかかるのではないか」、「省エネできたとしてもコストパフォーマンスは悪いのではないか」といった懸念点から太陽光パネルや大規模な省エネ設備導入にはなかな至らないと言うケースも少なくないでしょう。しかし、商店街を含む中小企業には、一定の条件を満たして認可された場合に下記の措置を受けることが可能です。例えば、中小企業経営強化税制。これは、投資目的ではなく自社の生産性・収益性を向上させるために太陽光発電設備を導入する際に活用できる制度。即時に全額償却もしくは7%(または10%)の購入税額控除を受けることができます。※2020年1月6日現在で、2021年3月末日までの受付。詳しくは中小企業庁資料P.13をご覧下さい。

子育て支援×SDGsで相乗効果

地域の住民を巻き込んだ取り組みも、魚町商店街が評価された大きな理由だと言えます。

商店街内で、子育て世代に嬉しいこども向けSDGs講座「まちゼミ(うおゼミ)」を定期開し、

  • チラシで作る蓋付き箱作りやシジミで作るアクセサリーなど、普段捨ててしまう物でエコ工作
  • さまざまな社会課題に対して、「ファッション」「お笑い」「人工知能」などさまざまなモノ・コト・ヒトの”リソース”を使って解決アイデアをつくるカードゲーム「X(クロス)」を使用した、SDGs思考のアイディア勝負ゲーム

など座学だけではない学びを提供しています。

環境問題への問題意識提起や取り組みは、世界的に見ても10代など若い世代間で広まりを見せています。知識や考え方が柔軟なこどもにSDGsのアイディアを学んでもらうことは、これから消費行動を行う彼ら自身にとっても賢い選択をする指標となるでしょう。

講座はほぼ毎日、日中の時間帯に開催されているので、共働き世代にとっても安心してこどもを預けられる場所であり、子育て支援とSDGs支援を同時に達成できる取り組みです。

多様な世代間の交流を後押しするイベント開催

こどもだけでなく、学生や周辺地域の住民を含む年齢や所属に関わらず学びたい人が学ぶことができる「北九州まなびとESDステーション」も商店街内で開催されています。

11月には市のバックアップの元、シニアの体力、仕事処理能力、個性を測定しシニアの仕事人材を掘り起こす「健康おしごと鑑定団」が開催され、セカンドライフの新たな可能性を提示しました。様々なバックグラウンドを持つ人々が交流し学び合う場を提供することで、SDGs人材を送り出すというSDGs支援の一つの在り方であると言えます。

「古き良き」イメージがある商店街を、若者目線でリノベーション

引用:https://tangatable.jp/dining/

「リノベーションまちづくり」に取り組み、若者による若者目線での魅力的な店舗の出店が進んでいます。

筆者も実際に足を運んでみたいと感じた3店をご紹介します。

「メルカート三番街」

 図書館、雑貨店、陶器、洋服など多様なお店を構える通り。一歩足を踏み入れれば他のお店も回遊したくなるような相乗効果を生み出し、アーティストやクリエイターや商店主のための拠点・プロジェクトとして機能しています。

「秘密基地」

 100坪以上の面積にゆったりと席を構えたフリーアドレスデスクのコワーキングスペースです。

「ビッコロ三番街」

レストランやアンティークショップを含む裏路地風の商業空間。若者らしいロゴや内装デザインのお店が連なっています。上記以外にも、商店街ならではの良さを活かしたコミュニティやお店が次々と出店され、魚町商店街の新たな魅力を発信しています。

コワーキングスペースやプロジェクトの開発は、商店街に若者が足を運び、定期的に通うきっかけを創るという、新たな顧客創出に繋げるキーとなるでしょう。<参考>“商店街が変わるきっかけ。建替え寸前ビルが創作の場に”. リリリリノベーション(2017年1月19日). 2020年1月6日閲覧

以上、今回は北九州市は小倉を事例紹介しました。商店街として行っていることは誰も思いつかないようなものではなく、世の中の流れや需要に沿って出来ることをきちんと行っているものです。本記事をご参考に明日から出来るアクションをぜひしてみてください。

 

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