前回の連載では、医療的ケア児が社会で生きる中での困りごとについて紹介しました。
医療的ケアが必要な子供の多くは、出産後すぐ入院を経験します。
なので産後一定期間(数ヶ月や数年)を過ぎてからようやくお家で生活を始めます。
お家で過ごせる喜びがある反面、病院で行なっていた医療ケアを自宅でママが全部こなすには苦労がたくさん。
我が家の場合は、1時間に3-4回の医療行為が必要です。
対処が遅れると命の危険性もあるため、何をしていても意識は娘の方に向いています。
今日は、医療的ケアが必要な子供達が、お家でどんな1日を過ごしているのか、我が家の1日のスケジュールを公開していきます!
医療的ケア児の1日のスケジュール
6:00- 呼吸の管理
1日のスタートです!
まずは娘を抱っこして、寝室からリビングのベビーベッドへ連れていきます。
娘は今年6歳になりますが、身長82センチ・体重6.5kgとベビーベッドに十分収まるサイズです。
ベッドに連れて行った後は、まずは呼吸管理です。
夜寝ている間に唾液が喉に詰まる・同じ体勢が長いことで肺にタンが溜まるなどで、息が苦しくなってしまいます。
朝はまず色んな医療機器を使いながら、呼吸が楽になるようにケアを行います。
7:00- ご飯とお薬
娘は胃ろう(胃に直接栄養を注入する)を使いながら栄養を取っています。
朝ごはんに新しい栄養剤を作ってお腹に入れてあげます。
その後、カテーテルと呼ばれる、針のついていない注射器を使ってお薬や水分も入れてあげます。
本人は、お腹に栄養が入ると安心するのか、大体この時間に二度寝してしまいます….
8:00- 身支度を整える
お出かけに向けて、お着替えをしたり顔を拭いたり身支度を整えます。簡単なリハビリで体を動かして、本人もシャキッと目が覚めてきます。
医療的ケアがあると身支度に時間がかかり、あっという間に1時間経ってしまいます。
9:00- 通所施設へ
週に2回医療的ケアがある子供を預かって保育してくれる「通所」に通っています。医療的ケアがあると、預かってくれる施設が少ないのが現状です。
週2回でも、親と離れて同世代の子供達と触れ合える場所は本当にありがたいです。
毎週決まった時間に福祉車が家まで迎えに来てくれて、出発!
娘は車が大好きで、移動中にはしゃいで、園に着いたら疲れて眠ってしまうそうです(笑)
11:00- ママの外出(仕事)時間
娘が外出している間は、ママのお仕事タイム。
私は仲間たちとNPO法人アンリーシュという団体を立ち上げ、娘と同じように医療的ケアが必要な子供達と家族へのサポート事業を行なっています。
貴重な外出時間なので、打ち合わせや商談を中心に予定を組み立てます。
普段家にいる時間が長いと、外での会話が新鮮でとても楽しいです。お仕事はだいたい16時には終わり、帰路につきます。
15:30- 訪問看護
通所から帰って来た後は、看護師さんがお家に来てくれて娘の体調管理やお世話をしてくれます。
訪問の時間は90分。その間にこんなケアを行なってもらっています。
訪問看護師さんにお願いしているケア
- お風呂
- お薬の注入
- 栄養剤の交換
- 胃ろうの管理
- 呼吸管理
- 浣腸
- 口腔ケア
- リハビリ
たくさんのケアをお願いしていますが、特にお風呂やリハビリなど、ママ一人で行うのは大変なケアに重点的に時間を割いてもらっています。
毎日看護師さんと体調を共有し都度対応する事で、娘の体調も随分落ち着いてきました。
19:00- 吸入・カフアシストなどの呼吸管理
夜に向けて、呼吸管理を一通り行います。娘の呼吸が苦しくなったり、バイタルに変化があった時は専用のアラームが鳴って教えてくれます。
普段は1時間に3-4回鳴るアラーム。ここでしっかりケアを行う事で夜間のアラームの回数が大きく違ってきます!
自分の睡眠時間確保のためにも丁寧にケアしていきます。
21:00- 体位交換・寝かしつけタイム
夜の就寝に向けて準備をしていきます。医療的ケアをしながら、少し体を動かしたり、パジャマに着替えたり…
1日しゃがんでの看護が多いので、この時間は腰が痛くなることが多く、パパにお世話をバトンタッチしてもらうことも。
23:00- ご飯とお薬・就寝
最後のお薬と栄養剤の注入を行なって、就寝タイムです。
写真のキリンさんのマスクはBIPAP (バイパップ)と呼ばれる人工呼吸器です。
夜寝ていると呼吸が浅くなってしまう娘には必須アイテムなのですが、娘はこのBIPAPが大嫌い。
空気が送り込まれる感覚と、顔をマスクで押さえつけられる感覚がお気に召さない様子。
21:00の寝かしつけタイムから、何度もつけたり外したりしながら、ようやく諦めて寝てくれます…
(時には私の方が根負けします。)
夜間
夜は2-3時間ごとに寝返りを打たせてあげます。自分では体制を変えられないため、同じ姿勢だと褥瘡や肺の負担が偏るきっかけになってしまうからです。
同時に、随時アラームが鳴ったら呼吸を管理したり、BIPAPを調節したりしながら夜が過ぎていきます。
医療的ケア児を育てる楽しさ
娘の1日の医療的ケアの流れをご紹介しました。ケアの内容や頻度は個人差がとても大きいので、その家庭ごとの生活リズムがあると思います。
24時間続くケアは苦労も多い反面、やりがいや楽しさもあります。
訪問看護師さんや通所の先生など、たくさんの方が娘に関わりながら、チームで子育てができる事がとても楽しいです。
友人も、中々外出が難しい娘の状態を知って「会いに行ってもいい?」と娘に会いに来てくれたりと人の優しさに触れる機会も多いです。
次回は、そんな娘との外出の様子をご紹介したいと思います!