皆様こんにちは!この記事はパラリンアート村山が不定期でお届けする会社訪問企画です。
第5回目の今回は、日本酒「蓬莱泉(ほうらいせん)」でお馴染みの関谷醸造さんにお邪魔しました!社長の趣味のお話から、お酒造りへのこだわりなどなど、根掘り葉掘りインタビューしていきたいと思います。
自宅呑みでお勧めの日本酒の飲み方なんかも紹介してますのでお楽しみに!(最後までお読みいただき、いいねボタン押していただけると村山が元気になります←)
↑関谷醸造さん本社蔵
□関谷社長について
村山 : まずは関谷さんのSNSを事前に拝見してきたのですが、、かなり多趣味ですよね?アートだったり写真だったり。
関谷社長
関谷さん : アートは昔から好きですね。
コロナの関係で出張もなくなって展覧会とか行けなくて寂しいですけど、普段だと出張の際のちょっとした空き時間とか、移動の間とかで近くの美術館調べていってみるとか。入場料もそんな高いものでもないし、1,000円とか1,500円で1時間ほど有意義な時間過ごせますよね。
村山 : 毎年ART NAGOYAにもご協賛されているとか。
関谷さん : 主催者が知り合いでそれがご縁で協賛してます。毎回現地で協賛以上にアートを買ってしまうのでなんだろうって感じですけど(笑)
村山 : SNSも活発にお写真載せてらっしゃいますよね。お写真お好きなんですか??
※関谷さんInstagram https://www.instagram.com/takeshi_sekiya/
関谷さん : はじめて撮り始めたのが中学生の頃で。文化部はカメラ部に入ったのがきっかけですね。その後も、会社のHP用の掲載写真用に買って、カメラは持っていました。星景写真を撮り始めたのは、なんかの時に星景写真で有名な先生が、地元でカメラ講座を開いてくれて。参加して、夜空の写真はなかなか綺麗なものだし、撮ってみようと思ったんですね。
村山 : コンテストでも受賞されていましたよね?
関谷さん : 地元のローカルコンテストなので大したものではないですが(笑)
村山 : いやめっちゃ綺麗でした!関谷さんにとって写真の魅力ってなんですか?
関谷さん : 写真のこと語れるほど偉いわけでも上手いわけでもなく、下手の横好きみたいなもんですけど、写真ってこう。。削ぎ落としていくものだなって。上手な人って無駄なもの写っていない。
普通写真に残しておこうと思う時って、全部写真に納めようとしますよね。
村山 : 言われてみれば確かにそうですね!!
関谷さん : そうすると雑多な感じの記念写真にどうしてもなってしまう。上手な人は削ぎ落としていって、一番本質のかっこいい部分だけを撮る。そういう写真を撮るために、無駄なものを写さないように、写したいものだけをクローズアップしていく、という過程がなんとなく商売にリンクしている部分があると思うんです。
村山 : 僕のカメラロールは記念写真ばっかりですね(笑)
関谷さん : 星の写真って意外と技術はいらなくて、機会が平等なところがいいところ。誰でも撮れるんです。撮る技術よりも、撮るまでの準備をいかにするかなんです。8割が準備、技術2割、あと強いて言えば運ですね。○○流星群などの天体ショーの時に晴れてくれなきゃ撮れないですから。絵って、今からどう頑張ったところで有名画家のような絵は描けないじゃないですか。
村山 : どうしても才能とか、センスとか、、
関谷さん : そうです。一方で、星景写真の場合、超有名なカメラマンであっても、その場に居合わせなければ絶対撮れないというところが魅力かなと。
関谷さん撮影の星景写真。綺麗!!
□お酒造りについて
村山 : 写真撮影の時も構図が大事だと思うのですが、お酒造りの時に「設計図」をつくっているという表現が印象的でした。
関谷さん : お酒は出来るもの、ではなく「造る」もの。というのを大切にしています。なんか面白い米が手に入ったから、とりあえず作ってみたらたまたまおいしくできた、、、は「出来た酒」。
僕は実際造るわけではなく、実際に作業するのは職人さんがいるわけなんですけど。ただ、どういった酒質にするかとか、このお酒はどういったシチュエーションで呑んでもらいたいとか。
そこからこういう味にするにはこういう原料使おうとか、こういう技術を使って作ろうとか、あるいはこういう作業をしようとかをだんだんと落とし込んでいって、イメージを固めてから造っていきます。
村山 : どんなシチュエーションを想像することが多いですか?
関谷さん : 呑む場所であったり、食卓の雰囲気であったり、どんなお料理と合わせるのか、とかですね。昨年なんかはステイホームが続きましたから、家で飲むならどういうのがいいかなとか。
村山 : オンライン飲み会とか結構流行ってますもんね。
関谷さん : 飲食店に行けば色々なお酒を少しずつ呑めますが、家だとどうしても、1本のお酒を買ったら、基本はそれが空くまで次に行かないことが多いですよね。だから例えば、呑み比べができるように、味の違うお酒3種の小瓶セットを作ってみたりしています。同じお酒でも、最後の貯蔵の仕上げを変えた3種とか。そんな工夫はしています。
村山 : 自宅でお勧めの吞み方とかってありますか??
関谷さん : 最近日本酒業界でも流行り始めているアッサンブラージュという飲み方があるんですけど、ものすごい簡単に言うとブレンドですね。あまい酒と辛い酒混ぜると中くらいになるという。
それこそ種類の違うお酒を2本開けておけば、味変して楽しめる。Aというお酒とBというお酒で、今日は1:1、明日は2:1で混ぜてみる。そうすると2本のお酒でいろんな味が楽しめますよね。
村山 : ちょうど先ほど店舗で2本セット買ったところです(笑) 試してみますね!
□アルカディアというテーマについて
村山 : 今回、「アルカディア」というお酒のラベルにパラリンアートをご採用いただきありがとうございます。パラリンアートアーティストの浅野春香さんに描き下ろしてもらったのですが、「アルカディア」について教えてください。
関谷さん : アルカディアという日本酒は、有機認証いただいた農地で、無農薬無化学肥料で育ったお米で造っています。
1画が山に囲まれていて人里離れた雰囲気があるのと、私達関谷醸造のブランド名である「ほうらいせん」の「ほうらい」自体がユートピア伝説に由来していることもあり、桃源郷とか理想郷とかをイメージさせる商品を作っていきたいと思いました。
商品を作っていく工程で2種類のお酒ができ、そのうちの1つをパラリンアートのデザインにしてみようと思い採用しました。
村山 : 実際に作品届いてみてどうでした?
関谷さん : 正直、非常に緻密ですごい絵がきたなって驚きました。毎年同じテーマで違う方にもお願いしようと思います。
↑浅野春香さんの原画。本当に緻密です。
浅野春香さんによる描き下ろしデザインのボトル
村山 : これが実際のボトルですね?すごいおしゃれ!!
関谷さん : ありがとうございます。これから値段設定して発売になるんですが、特別なお酒なのでそれなりの値段になるかと思います。
村山 : お金貯めときます(笑)
□酒蔵が本気で農業!?地域活性化の取り組み
村山 : お話をお伺いしているとこだわりのお米も作っていて農業にもかなり力を入れているように見えます。
関谷さん : 理由は2つあって。ひとつは、20年くらい前に飛騨高山でお世話になった酒屋の大将が、ドイツから有名なワイン生産者が日本に来たから、蔵を見せてくれないかということで連れてきて。
蔵を見ていただいて、そのあと談話していたのですが、
「なんで日本の酒つくりは(原材料である)米を作らないのか?」と質問されたんです。
ワイナリーっていうのは、基本ブドウ畑があるからワイナリーなんですよね。農家がブドウとして食べない部分をつぶして発酵させたらワインになったんだから直結してるわけですよ。ブドウづくりとワイン造りが。
そういわれて初めて「そういえば日本の酒蔵は米を作らないなぁ」と思って。20年前は日本酒の輸出はあまりやってなかったのですが、将来的に日本酒を海外に輸出する時代が来るかもしれないと思ったんですね。
そのためには、ワイン作りの文脈というか、考え方をある程度踏襲しておく必要がでてくるだろうと。そうなると自分で、全部は無理でも一部でも米を作って、それで酒を造って輸出するというのは、非常にわかりやすいストーリーになっていると思うんです。
村山 : 原材料の生産から販売までの一気通貫という感じですね。
関谷さん : そうですね。ふたつめは、現実的な理由として、(関谷醸造の本社のある)この辺の地域がどんどん高齢化していっているんですね。全国でも農家の平均年齢70近い。この辺だともう少し上かもしれない。跡継ぎがいる農家も少なくて、将来的にどう考えても結構な人たちが引退してしまう。
うちの原料の6割くらい地元のお米を使っていて、それを作ってくれている農家さんが引退してしまったら誰が作ってくれるんだろう、うちの原料どうするんだろう。。誰かが受け皿にならなければいけないと思ったんですね。
それで、さっきのドイツの生産者の話もあったので、だったらじゃあうちでやるかと。原材料作るところから製造販売までいわゆる6次産業化をやってみようと。
自社の社員と、忙しい時期お手伝いいただけるパートさん2人と、夏はお酒造りしないので職人さんも手伝ってもらって生産しています。
村山 : 職人さんも自分で作ったお米でお酒を造る、という流れになりますね。
関谷さん : その年の気象条件も身に染みてわかるので、お酒造りに活かせています。
村山 : 農地もどんどん拡大していますよね??
関谷さん : 60アールからはじめて、いまは約35ヘクタールに拡大しています。農業を始めてから、引退していく農家さんが「関谷さんに預けたい」と言ってくれるようになったので。農家さんとしても、そのまま荒らしちゃうくらいなら誰かに預かってもらったほうがいいですよね。
村山 : 原料を作るだけではなく、お酒を造った後に出るものを再活用しているとのことですが。
関谷さん : そうですね。お酒造りの段階で発生した酒粕・米ぬか・籾殻を地元の畜産農家へ渡して飼料として活用してもらってます。原料の生産から始まり、循環させているイメージですね。結果としてお酒造りに還元されています。
村山 : お酒造りと農業で地域活性化につなげていく、まさにサスティナブルな取り組みですね!関谷さんがよい星景写真を撮るために現場に何度も赴き、撮れるまで我慢強くいることと、魅力的なお酒を造るために取り組まれていることに共通の価値観というか信念が見れた気がします!
お話を思い出しながら、お土産で買ったお酒を楽しもうと思います!本日はどうもありがとうございました!
関谷さん : ありがとうございました!
最後は恒例の記念撮影
関谷醸造株式会社
愛知県北設楽郡設楽町田口字町浦22
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