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  • 社会
  • SDGs
  • 2020年11月8日

【SDGsな人々#22】感謝で巡るサスティナブルな経済成長ができる仕組み作りを。PEACE COIN OÜ 阿部 喨一さん

「多様性を認めあえる、豊かな社会を実現する」をビジョンに掲げ、ブロックチェーン上に独自のアルゴリズムを載せ、お金が増大・減少する新しいデザインの通貨設計プラットフォーム を開発しているPEACE COIN OÜ(※OÜ:エストニアに本社を置く会社 

今、注目を集める仮想通貨を通じて描く今後の展開とSDGsとの関わりについてお話を伺いました。

資本を独占する考えから、分け合う考えへ

———御社の事業内容と、創立のきっかけを教えてください。

僕には、知的障がい者の姉がいます。物心がついた時から”人より圧倒的にお金を稼がなければ、姉を守りながら普通の生活はできない”と考えていたため、大学を卒業後はお金をたくさん稼げそうな金融の分野行こうと思い、就職しました。

社会的にマイノリティーな状況や環境にいるというだけで、ネガティブな人生を送る…そういう社会が放置されていていいわけがない!という自分の信念のようなものがあり、お金を持てば全て解決できると思って必死に働きお金を稼ぎました。ところが、お金を持ったことで自分の家族の問題は解決ができたとしても、同じ障がい者コミュニティーにいる皆を裕福にできるわけではなく・・・お金で救えない部分がどんどん浮き彫りになっていきました。

時を同じくして、ビル・ゲイツ氏らが世界で最大の規模ファンドを作って各地で支援をする活動を目にしました。その時僕は思いました。「あぁ。お金だけでは貧困はなくならないな」と。世界規模で、優秀な資産家が巨額のお金を拠出して社会貢献をしているにもかかわらず、思ったほど世界は変わりませんでした。

それを見た時に、お金持ちになって幸せを創造するという作戦は、うまくいかないのではないかと思い始めました。お金持ちはどんどんお金を増やせるけれど、本当にお金が必要な人の元へはなかなか届かない。世の中の格差はどんどん広がっている・・・今のお金の仕組みで世の中を変えるのは難しいなと思ったのです。

そして、資本主義による富の集中化や、GDP成長モデルを前提とする現代の金融システムが持つ課題を克服し、資本を独占する考え方から分け合う考え方へ一歩進むことを目的にこのPEACE COIN(ピースコイン)を開発することにしたのです。

この事業の事業の理念は、SDGsのゴール#1「貧困をなくそう」に通じるものだと思います。

———PEACE COIN(ピースコイン)とは、どのようなサービスですか?

人が手を取り支え合うことで感謝が巡る新しい経済圏の創造を目指しています。

この仕組みを”ARIGATO CREATION(感謝創造)”と名づけ、仮想通貨に新しい価値を吹き込んでいくのがPEACE COIN(ピースコイン)です。お金に魂を売らない、新しい価値基準の創造を目指し、社会的に意味のある活動や人を応援できる仕組みを目指しています。

感謝の気持ちを誰かに送るマインドになるためには、まずは一人ひとりの金銭的な余裕が必要です。そこで、世の中にPEACE  COIN を使ったやりとり(トランザクション)が増えるほど、社会全体のコイン総量も増えていくという独自のアルゴリズム「Proof of  Thanks」を開発しました。

各ユーザーのインポータンスによって所有量が増減するのがPEACE COIN(ピースコイン)です。例えば、誰かと継続してコインのやり取りを行うと、その一貫性が評価されインポータンスが高まります。

数字に出ない評価を可視化し、優しさを循環させる。

———PEACE COIN(ピースコイン)は、どのような場面で利用されていますか?

現在は、PEACE COIN(ピースコイン)をベースとした独自通貨を作り、その通貨を会社やコミュニティーの中で送り合うことができるようになっています。

事例を上げますと、トラストバンク株式会社様で開発・販売している障がい者福祉施設向けの業務支援システム「ポチパス」に、弊社のPEACE COIN(ピースコイン)が連携予定です。

「ポチパス」は障がい者施設で働く方の毎日の仕事の記録、可視化と、体調(健康)や、知的・身体・精神の障がい毎、その方々の健康のバイオリズムを可視化するシステムです。このシステム上の記録データを元に、施設長さんや職員が定める軸によって利用者にPEACE COIN(ピースコイン)の付与をしています。

お金というものさしでは測れない活動に対して、コインの付与をすることで、新しい視点軸で労働意欲向上に繋がっていくことを目指しています。

IT系就労施設にはパソコン上でデータ入力をするお仕事があります。タイピングが早い人には単価が高めの報酬が還元されますが、データの入力は遅いけれどミスが一番少ない人は金銭的報酬面で評価が得ずらい場合があります。

そのような仕事の質・中身の部分を評価し、コインを付与することで労働意欲が増し、利用者も積極的に仕事をするようになって行くという所を目指しています。

このように、目に見えない評価や価値を可視化し、還元していくのがPEACE COIN(ピースコイン)です。

これらは、SDGsのゴールでいう#8「働きがいも経済成長も」の達成に寄与できているのではないかと思っています。

———実際に利用された方達からの評価はいかがですか?

以前、「自分が社会に適正に評価されていると思うか」というアンケートを取ったことがあるのですが、「評価されていない」と回答した人が80%もいました。今の社会というのは、お金を稼ぐということが重要であって、効率的に立ち回れる人が得をする世の中だと思っています。本当は、”気配り”や”優しさ”など、その人の本来の強みがもっと評価されて良いと思っています。PEACE COIN(ピースコイン)というツールを使うと、どういう評価を周りからされているのかを感じ取ることができて、そこはお金をもらう以上にうれしかったという声が多く寄せられました。

一般企業で導入された際にも、なかなか数字で見えず評価の対象になりにくい”気配り”への御礼にコインを送り合ったり、上司から部下へ「連日夜遅くまでありがとう。あなたの存在が我がチームの宝です。」というメッセージと一緒にコインの送付があったりと、優しさが循環するコミュニティ形成に貢献できているなと思っています。

自分の行動を他人が価値あるものとして認め、感謝のコメントと共にコインが送られてくるということは、評価を体感できる良いツールであると思っています。

———この事業を進めて行く中で、大変だったこと等はありますか?

ありがたいことに「PEACE COIN(ピースコイン)のようなサービスを待っていた!」という反響を非常に多くいただいていまして、ご相談ベースですと300件を上回り、サービス導入や説明を行う人手が足りないというのが困りごとの一つです。

あとは、もっと便利で使いやすいサービスをを作ることに力も注いでおりますので、その開発が大変ですね。

こんな時代だからこそ、繋がりを大切に。

———事業自体がまさに社会課題の解決に繋がることではありますが、御社、または阿部さん個人で関心のあるSDGsの課題等はありますか?

SDGsの文脈の「leave no one behind」(誰一人取り残さない)という部分に大変共感しています。

PEACE COIN(ピースコイン)を通じて我々が目指す自立分散型社会というのは、一言でいうと「みんなが、みんなのことを大切にできる社会」だと思っており、SDGsの概念に通じていると思っています。

我々は、このPEACE COIN(ピースコイン)というサービスを通じ、先ほども言いましたがSDGsのゴールである#1「貧困をなくそう」、#8「働きがいも経済成長も」に加え、世界的に導入が進んで行けば#10「人や国の不平等をなくそう」や、#16「平和と公正をすべての人に」にも貢献できると考えています。

世界中で”ありがとう”の循環を促していきたいです。

———最後に、昨今のコロナの猛威や、近年危機的な天災が多発している中、生き抜いていくために大切にしていることはありますか?

端的に言いますと、つながりが大切だと思っています。

ウイルスというものは何百年前からあるわけですが、コロナっていうものがなぜ今できたかというと、ウイルスが進化して今の時代に合わせた進化を遂げた結果こうなっているわけですよね。

すべてを包括しているものが自然だと思っていて、天災とは人間が見ている視点なだけだと思います。変化に対応して生きていくということだけが、今も昔も大切なのではないかと思っています。

歴史を振り返った時に、人類は困難にぶつかった時、周りと助け合って進化してきたのだということを今こそ思い出すべきではないか、と思っています。

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