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  • 2020年10月21日

【SDGsな人々#18】〜正しい防災・危機管理情報を素早く発信 株式会社Spectee(スペクティ) 村上 建治郎さん

独自開発のAIエンジンを使った先進のテクノロジーで情報を解析をし、今この瞬間に起きている「災害」や「危機」をどこよりも速く、正確に伝えるSNS危機管理情報サービスで世界の情報を可視化するサービスを展開する株式会社Spectee(スペクティ)

今回は、代表取締役CEOの村上 建治郎さんに事業立ち上げのきっかけやSDGsの取り組みについてお話を伺いました。 

「危機」を可視化するシステム「スペクティ」

———SNSに上がってくる災害等の情報を抽出し、配信するシステムというのは、今までにないサービスですよね。このような事業を立ち上げたきっかけはなんですか?

東日本大震災の時、マスディアなどから得ている情報と現地の人が求めていているものや被災地の光景にギャップを、実際東北の現地に行って感じたことがきっかけです。

一つ例で言うと当時ゴールデンウィークに入る前に、あるテレビ局が石巻市からの中継で「今はボランティアがこんなに来ていて、人手は足りている」と報道されていました。しかし、その直後に私がボランティアに入った時、確かに石巻市は人手が多くいましたが、隣の東松島市は人手が足りなく、ボランティアを欲していました。このようなことからテレビで伝えられる情報と現地の情報にはギャップがあるなと思いました。

 一方、Twitterなどはここで人手が足りない、あそこでは救援物資が不足しているなどと言う情報が投稿されており、マスメディアを通じた情報よりもSNSで一般人が発信している情報の方が正しくリアルなのではないかと感じました。 

会社を立ち上げたのが2011年の11月で、TwitterなどSNSに一般の方が投稿したものをもっと可視化して「どこの場所でどんな情報が出ている」と言うのわかりやすく表示できたら役に立つのでは、と言う思いで始めたのが今の事業の始まりです。

今スペクティが主にやっているのは「Instagram」「Facebook」「Twitter」など様々なSNSに上がってくる情報から「ここで被害が起きている」「ここでこんな災害が起きている」「ここで事故が起きている」となどという情報を抽出し、そのような情報が本当かどうか確認した上で地図上に表示したり、配信したり、などというような情報発信の仕方でサービスを行っています。

今、嬉しいことにこのサービス自体は自治体の防災課や危機管理課、また、民間企業などでも災害対応している部門の方に導入されています。それだけでなく、電力鉄道などインフラ系の会社や報道機関の方に使用していただいています。

我々は災害対応や危機管理をメインとしたベンチャーですが、特にAIを使った防災系のベンチャーは日本にはまだ数少ない状態です。

一方アメリカはシリコンバレー初の災害分析ベンチャーがいて注目を浴びていたりしますよね。日本は災害大国なのにこのような技術があまり発展していません。NPOのような社会貢献ももちろん素晴らしいと思っていますが、もっとスタンダードな事業として、ビジネスとしても成り立ち、そして社会貢献もできるというような事業が日本で出てきてもいいのにと思います。

国際赤十字社が出した統計によると、日本は過去10年間の自然災害による損失を人口で割った時の一人当たりの損失が世界で一番大きい災害大国です。もちろん東日本や熊本などの大きな災害が起きたことも起因していますが、それだけ災害による損害が大きいのに災害に対するベンチャーが少ないのです。

———日本は、他国に比べて災害に対する意識は低いのでしょうか。

意識、というよりも防災や災害という分野に新たに参入する人材や技術が不足しているのが課題だと思います。アメリカやシリコンバレーは防災系のベンチャーがたくさんあります。又、アメリカが開発した災害予測のAI等を日本で使うということも多々あります。

日本は世界の中でも災害大国なので、日本発で災害に対する事業や技術が何か出てもいいと思うのです。僕らでそのような意識と技術のアップデートを行っていきたいと思います。

災害・危機管理の分野で社会貢献活動を

———SDGsに関して、意識して取り組まれていることや、率先して行っていることはありますか?

我々は防災や危機管理を事業にしている会社であり、人々が安全に暮らせるようなシステムやサービスを提供しています。これは、SDGsの目標でいうと#11「住み続けられるまちづくりを」に貢献できているのではないかと思っています。

又、去年台風の際に弊社のメンバーがボランティアで千葉に行きました。

会社全体で自治体の防災訓練に参加したり、災害ボランティアに積極的に参加したり、防災という面から社会貢献活動には色々取り組んでいます。

———村上さんが個人として、何か取り組みたい社会貢献活動はありますか?

今は会社など災害や防災の活動で精一杯ですが、社会貢献の中であれば、元々カンボジアの子ども達の支援というものもやっていました。

カンボジアでは子ども達も働かなくてはならず、学費を自分たちで働いて稼ぐ、というような状態が蔓延しています。そのため小学校を6年で卒業できず10年かかっている子どもたちもたくさんいました。

又、国民の半分が小学校卒の学歴しかありません。16歳から皆社会人。そのぐらい教育がしっかりしていませんでした。教育が整っていないと、生活していけなくなるので「犯罪に手を染めてしまう」という人も少なくありません。

この話を聞いてから、何度か支援に行っているのですが、最近は多忙でなかなか行けてなかったので、時間を見つけてまた行きたいです。

これからのSpectee(スペクティ)

———事業に関して、具体的な目標はありますか?

スペクティは災害対応や危機管理という分野でやっているのですが、現在AIを使って災害が発生した時の被害予測ができるシステムの開発に力を入れています。ずっと先の未来を予測することはできませんが、1時間後など短期間での被害予測は近いうちにできるようになる予定です。

それが完成すると、たとえば1時間後に大雨等で河川が氾濫したりして大きな被害が起きてしまうというような場合に、その情報が事前に分かれば、早い段階から避難することができ、より多くの人が助かることになります。

———現在、コロナ禍と言うことで世の中の情勢が変わってきていますが、御社でも何か変化などはありましたか? 

コロナ禍で一番変わったことは、人が集まるということがなかなかできなくなるということだと思います。今までは対面だったものが、スクリーンを通してのものになってしまいます。

これからは対お客様でも、社員同士でも対面ではなく、画面上での応対が増えるでしょう。その中でのコミュニケーションの仕方を考えることが大切だと思います。

物理的に近くで何かをするということができなくなり、離れて何かをしなくてはなりません。とにかく<集まる>ということが出来ない状態で、どのように会社を回して行くか、どうやってコミュニケーションをとるか、そういう部分を大切にしていきたいと思います。

また、我々の事業に関するところで言うと、今問題になってきているのが「災害が発生した時の避難所」です。避難所は大半が密の状態です。災害が発生して集まらなきゃいけないというとそこでクラスターが発生することも多々あるでしょう。コロナ禍における災害時の避難の仕方を考えなくてはならないと思います。

もし今災害が発生した時にどのように非難するのがベストなのか、それを自治体の皆さんと話をしています。そのための対策や、上手く避難するためのサービスなどをやらなくてはならないと思います。事業として何か作れないか、ということも考えていますね。

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