求職者給付とは?受給条件や金額を徹底解説!
雇用保険では、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早い再就職を目指すための制度として、失業等給付を設けています。
失業等給付は大別して、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付の4種類に分けられ、中でも求職者給付は求職活動を容易にするためにある程度の給付を受けられるものです。
この記事では、失業等給付とは何かを解説し、その受給条件や受給金額についてご紹介していきます。
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退職・離職後のお金に不安がある
自分がどのような給付の対象になるか知りたい
目次
求職者給付とは
求職者給付とは、雇用保険における失業等給付のひとつで、雇用保険の被保険者の失業中の生活安定を図るとともに、求職活動のハードルを下げる目的で支給される給付です。
ここでいう失業は、「離職して就職の意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、仕事に就くことができない状態」のことです。つまり、仕事を探すつもりのない人には支給されません。
求職者給付と失業手当
求職者給付の中でも、最も一般的な支給形態が基本手当であり、基本手当は一般的に失業手当として知られています。
失業手当では、雇用保険の被保険期間や離職前の給与に基づいて計算された手当が支給されます。
すぐに受け取れるわけではありませんが、離職中に必要なお金の多くをカバーできるため、生活を心配しないで新しい仕事を探すことができます。
ちなみに、失業手当はしばしば失業保険とも呼ばれます。これは雇用保険法施行前の名残りで、1974年までは失業保険法という法律に基づいて失業保険金が給付されていたことに由来します。
求職者給付と再就職
求職者給付は、再就職すると支給が終わります。
ともすると、「求職者給付をできるだけもらい続けた方が得?」と考えてしまいますが、そうならないように就職促進給付が用意されています。
就職促進給付は早期再就職の促進を目的とした給付金で、再就職や開業などで新たに職に就いたときに支給を受けられます。
早く職に就くほど多く給付が受けられるので、新たな仕事の給料と合わせて、未支給分の求職者給付を十分に相殺することができます。
求職者給付の受給条件・受給金額
求職者給付は、その対象者で「一般求職者給付」「高年齢求職者給付」「特例一時金」「日雇労働求職者給付金」の4種類に分かれています。
ここでは、それぞれの受給条件と受給金額について解説していきます。
① 一般求職者給付
1. 基本手当
【受給金額】
- 離職前の給与のおおよそ50〜80%
- 受け取れる期間は多くの場合3〜4ヶ月程度
【受給条件】
- 離職の日以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あること(特定の理由の場合6ヶ月以上)
- 住んでいる地域のハローワークに求職の申し込みをしていること
- 就職する意思と働ける能力があるにも関わらず失業状態にあること
雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)は、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、1日も早く再就職できるよう支給されるお金です。
失業手当について詳しく知りたい方は、『失業手当はいくら、いつもらえる?受給条件や申請方法を解説!』を参考にしてください。
2. 技能習得手当
【受給金額】
- 受講手当の日額は500円、上限額は20,000円
- 交通機関、自動車等を利用する場合、月額42,500円までの通所手当あり
- 家族と別居して寄宿する場合、月額10,700円の寄宿手当あり
【受給条件】
- 基本手当の受給条件を満たしている
- 公共職業安定所長又は地方運輸局長の指示により公共職業訓練等を受講する
技能習得手当は、基本手当の受給資格者が積極的に公共職業訓練等を受ける条件を整え、その再就職を促進するために支給されるお金です。
ハローワーク(公共職業安定所長)の受講指示により公共職業訓練等を受講している間は、基本手当とは別に技能習得手当(受講手当・通所手当)及び寄宿手当を受給することができます
3. 傷病手当
【受給金額】
- 離職前の給与のおおよそ50〜80%
【受給条件】
- 基本手当の受給条件を満たしている
- 病気やケガが理由で15日以上、仕事に就くことができない
- 病気やケガが求職の申し込み後に発生している
傷病手当は、離職後にハローワークに登録して求職申込を行った後、15日以上連続して傷病により職業に就けない状態になった場合に支給されるお金です。
傷病手当について詳しく知りたい方は、『傷病手当はいくらもらえる?受給条件や申請方法を解説!』を参考にしてください。
② 高年齢求職者給付
【受給金額】
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上 |
給付金額 | 基本手当の30日分 | 基本手当の50日分 |
【受給条件】
- 65歳以上の雇用保険被保険者(= 高年齢被保険者)である
- 離職の日以前1年間のうちに雇用保険の被保険者期間が6か月以上ある
- 就職する意思と働ける能力があるにも関わらず失業状態にある
高年齢求職者給付は、高年齢被保険者が離職し、就職する意思と働ける能力があるにも関わらず失業状態にあるとき、離職の日以前1年間のうちに被保険者期間が6か月以上ある場合に支給される一時金です。
③ 特例一時金
【受給金額】
基本手当の30 日分(当分の間、40日分)に相当する金額
【受給条件】
- 季節的に雇用されており次のいずれにも該当しない
・4か月以内の期間を定めて雇用される者
・1週間の所定労働時間が30時間未満である者 - 離職の日以前1年間のうちに11日以上働いた月が通算6か月以上ある
- 就職する意思と働ける能力があるにも関わらず失業状態にある
特例一時金は、雇用保険の短期雇用特例被保険者が特定の条件を満たしたときに支給されるお金です。
④ 日雇労働求職者給付金
【受給金額】
前2か月間に26枚以上の印紙が貼付されているとき、級別貼付状況に応じて日額が決定され、印紙の貼付枚数によって決められた給付日数分が受給できます。
- 日額7,500円:第1級印紙保険料を24日以上納めている場合
- 日額6,200円:第1級、あるいは第2級印紙保険料を合計24日以上納めている場合。あるいは、24日間に納めた印紙保険料の平均額が第2級印紙保険料の日額以上である場合
- 日額4,100円:それ以外の場合
印紙の貼付枚数 | 給付日数 |
---|---|
26~31枚 | 13日 |
32~35枚 | 14日 |
36~39枚 | 15日 |
40~43枚 | 16日 |
44枚以上 | 17日 |
【受給条件】
- 日ごとの雇用契約により派遣労働を行っている(30 日以内の期間を定めて雇用され、派遣労働を行っている方も含む)
- 今後、常用就職を希望している、又はハローワークにおいて常用就職に対する意識の喚起・支援が可能と判断された場合
日雇労働求職者給付金は、日雇派遣で働く方が失業した場合に、その方の生活の安定を図りつつ、常用就職に向けた支援を行うために支給されるお金です。
求職者給付の申請方法
申請は現住所を管轄するハローワークで行いますが、申請する求職者給付の種類によって提出するものが違います。
ここではそれぞれの求職者給付の申請方法について解説していきます。
一般求職者給付、高年齢求職者給付、特例一時金
一般求職者給付、高年齢求職者給付、特例一時金については、以下の書類を現住所を管轄するハローワークに提出することで申請が可能です。
・雇用保険被保険者離職票-1、2
退職から10日〜2週間後に前職の勤務先から届く
・マイナンバーカード
マイナンバーカードがない場合は以下(1)と(2)を準備
(1)マイナンバーが確認できる書類
通知カード、個人番号の記載がある住民票 いずれか1つ
(2)身元確認書類(以下 1 がない場合は 2 )
1. 運転免許証、官公署発行の身分証明書・写真付き資格証明書等のうち1種類
2. 公的医療保険の被保険者証、年金手帳などのうち異なる2種類(コピー不可)
・証明写真(2枚)
おおむね半年以内に撮影した正面上半身のもの、縦3cm×横2.5cm
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
一部指定できない金融機関があるため注意
離職票-1の金融機関指定届に金融機関による確認印がある場合、通帳は不要
申請する場合は、仕事を辞めてからなるべく速やかにハローワークで手続きを行いましょう。
申請が遅れるとその分支給開始も遅れてしまいます。
日雇労働求職者給付金
失業した日から一定の期間に 、現住所を管轄するハローワークで求職の申し込みを行います。
その後以下の書類を提出することで申請が可能です。
・日雇手帳
ハローワークで日雇雇用保険の加入手続きをした日雇労働者に交付される手帳
・労働者派遣契約不成立証明書
失業の日の前日までに、派遣会社に対して労働者本人が発行を求めます
(本人の辞退によって派遣されなかった場合は発行されません)
・失業の認定(及び不就労日)に関する届書
申請期間はハローワークによって異なるため、まずは現住所を管轄するハローワークに相談しましょう。
まとめ
この記事では、失業等給付とは何かを解説し、その受給条件や受給金額についてご紹介してきました。
- 求職者給付とは、雇用保険の被保険者が失業状態にある場合に、失業者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にすることを目的として支給されるもの
- 「一般求職者給付」「高年齢求職者給付」「特例一時金」「日雇労働求職者給付金」に分かれる
- 申請は現住所を管轄するハローワークで行う
申請が面倒と思う気持ちもあるかもしれませんが、離職中に必要なお金をカバーしながら新しい仕事を探すことができるため、この記事の情報を積極的に活用して失業中の役立てていただけると幸いです。
雇用保険について詳しく知りたい方は、『雇用保険とは?加入条件や手続き・注意点をわかりやすく解説!』を参考にしてください。