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社会保険

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雇用保険とは?加入条件や手続き・注意点をわかりやすく解説!

雇用保険とは?加入条件や手続き・注意点をわかりやすく解説!

雇用保険は、労働者を雇用した企業が必ず加入する労働保険のひとつです。

失業時や休業時の給付金支給をはじめ、労働者の福祉向上を目的とした制度が整えられています。

この記事では、雇用保険とは何かを解説し、加入条件や手続き、注意点をわかりやすく紹介しています。

雇用保険とは?

雇用保険とは?

雇用保険制度

労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかるための二事業を行っています。

出典:雇用保険制度 |厚生労働省

「雇用保険」とは、労働者が失業した場合でも安心して暮らせるように、給付金の支給や就職活動の支援などを行う保険制度です。

現在働いている場合でも、失業することで収入が途絶えたり、育児や介護などの理由で仕事を辞めて収入が減少するなどは誰にでも起こります。

雇用保険に加入していれば、そのようなリスクに備えることができます。

雇用保険の始まりと今

現在の雇用保険法は1975年から施行され、時代に合わせて見直されてきました。

例えば、2010年以降は非正規雇用者に対するセーフティネット機能の充実、2014年には男性の育児参加促進のために改正が行われています。

対応年内容
1975年雇用保険法の施行
1984年高年齢求職者給付金・再就職手当の創設
1989年パートタイマーへの適用基準設定
1994年雇用継続給付の創設
1998年教育訓練給付の創設
2000年所定給付日数の抜本的改正
2003年基本手当の給付率・上限額見直し、就業促進手当の創設
2007年基本手当の受給資格要件一本化、育児休業・教育訓練給付の見直し
2010年被保険者の適用拡大、育児休業給付の見直し、船員保険の統合
2014年育児休業給付の充実、教育訓練給付金の拡充
雇用保険は時代の流れに合わせて見直されてきた

このように、時代の流れに合わせて都度内容が見直され、必要な給付が拡充されているのです。

ちなみに、普段生活をしていると給与明細の中でしか雇用保険を見ないため、自分が払っているという認識はあると思います。

実は雇用保険の費用は雇用保険料と国庫負担で賄われており、そのうちの雇用保険料を事業主と被保険者で分担しているという構造になっています。

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雇用保険の2つの目的

① 生活および雇用の安定を図り再就職を促進

失業時や職業教育訓練に対して給付を行うことで、生活および雇用の安定を図り再就職を促進します。

この給付は失業等給付と呼ばれており、以下の内容に分かれています。

求職者給付
求職活動中の生活を安定させるための給付です。
最も有名な基本手当(失業手当)の他にも、技能習得手当や寄宿手当、傷病手当などさまざまな手当があります。

就職促進給付
再就職を援助・促進する給付です。
再就職後の経済的な不安を和らげ、再就職活動に積極的に取り組む助けとなります。
再就職手当や就業促進定着手当、就業手当などの手当があります。

教育訓練給付
自発的教育訓練促進のための給付です。
厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了することで、料金の一部が教育訓練給付として支給されます。

雇用継続給付
雇用継続に努める事業主を支援するための給付です。
高年齢雇用継続基本給付金や育児休業給付金、介護休業給付金があります。

なお、失業等給付を受けるには、失業状態にあることが必要です。

ここで言う失業とは、「離職して就職の意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、仕事に就くことができない状態」のことです。

したがって、勉強に専念する、しばらく働かないで休養をするといった理由で就職しないのは、「就職の意思」がないとして給付を受けることができません。

② 失業予防、雇用機会拡大、労働者の能力開発・向上を図る

雇用安定化事業と能力開発事業を通じて、失業の予防や雇用機会の拡大、教育訓練・福祉の増進などを図ります。

事業主に対する支援や行政サービスの充実が主な内容なので、一般の労働者には見えにくい部分でしょう。

代表的なものとして、やむを得ず離職する労働者の再就職を促進するために必要な措置を行ったり、高齢者の雇用安定化のために必要な措置を行なったりした事業主に対する助成や援助が挙げられます。

雇用安定化事業
・事業活動を縮小した事業主への助成
・離職を余儀なくされる労働者に対して措置を講じる事業主への助成
・高年齢者等の雇用の安定を講じる事業主への助成
・雇用改善地域での雇用安定を講じる事業主への助成
・育児や介護を行う労働者の雇用管理改善を講じる事業主への助成

能力開発事業
・事業主等の行う職業訓練の助成
・公共職業能力開発施設等の充実
・再就職を促進するための訓練等の実施
・有給教育訓練休暇制度の助成
・公共職業訓練等の受講の奨励
・技能検定の実施に対する助成
・その他労働者の能力開発および向上のために必要な事業の実施

雇用保険の加入条件

雇用保険の加入条件

ここでは雇用保険に加入する条件について解説していきます。

対象企業

従業員を1人でも雇用している企業は、原則として雇用保険に加入しなければなりません。
(農林水産業の一部事業を営んでいる場合を除く)

雇用保険への加入は任意ではなく強制であるため、加入対象となっている場合は必ず手続きを行いましょう。

加入義務を遵守することで、企業の社会的責任を果たすとともに、従業員の安心・安全な働く環境の構築にも貢献することになります。

対象となる従業員の条件

以下の1〜3すべての条件を満たす労働者は、雇用保険に加入することができます。

1. 週の所定労働時間が20時間以上

正社員や契約社員の場合は、基本的に週の所定労働時間が20時間以上になるため、雇用保険の加入対象となります。

パートやアルバイトの場合は、週の所定労働時間によって雇用保険に加入できるかどうかが変わります。

所定労働時間については、就業規則や雇用契約書に記載されている1週間の所定労働時間が適用されます。

ただし、例えば1週間の所定労働時間が19時間と記載されているにもかかわらず、実際は常に20時間以上働いている場合、雇用保険の加入条件を満たしているとみなされ、加入が必要になる場合があります。

2. 31日以上雇用される見込みがある

31日以上雇用される見込みがあると判断されるのは、以下のような場合です。

  • 期間の定めがなく雇用される場合
  • 雇用期間が31日以上である場合
  • 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇い止めの明示がない場合
  • 雇用契約に契約更新の規約がないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合

なお、雇用された当初は31日以上の雇用となる予定ではなかった場合でも、その後31日以上の雇用が見込まれるようになった場合は、その時点から雇用保険の加入対象となります。

3. 学生でない(一部例外あり)

学生は基本的に雇用保険の加入対象者とはなりません。

ただし、定時制や夜間学校などに通う学生は、例外的に加入することができます。

雇用保険の被保険者の種類

雇用保険の被保険者資格は4種類に分けられます。

それぞれの区分に応じて失業時の給付内容などが変わるので、自分がどれに該当するのかは押さえておきましょう。

① 一般被保険者
65歳未満の常用労働者

② 高年齢継続被保険者
同一の事業主に、65歳に達した日の前日から引き続いて65歳以降も雇用される者

③ 短期雇用特例被保険者
季節的業務(冬季限定の清酒の醸造や夏季の海水浴場での業務など、その季節でなければ行えない業務)に雇用される者のうち、雇用期間が4が月以内の者および週の労働時間が30時間未満の者を除いた者

④ 日雇労働被保険者
雇用保険の被保険者である日雇労働者(日雇労働者とは、日々雇い入れられる者や30日以内の短い期間を定めて雇用される者のこと)

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雇用保険のよくある質問・注意点

雇用保険のよくある質問・注意点

最後に、雇用保険についてよくある質問や注意点を解説していきます。

中途採用の場合の加入期間はどうなる?

転職して中途入社となった場合は、前職で雇用保険に加入していた期間を被保険者期間に合算することが可能です。

被保険者期間が増えると、雇用保険の給付が受けれたり、受けれる期間が増えたり、メリットがあります。

被保険者期間による給付の条件は、

  • 失業手当:受給条件の中に被保険者期間の条件が存在
  • 再就職手当:給付日数が被保険者期間によって違う

などがあります。

ただし、以下に該当する期間は、被保険者期間に含むことができないので注意しましょう。

算定基礎期間に含めることができない場合

(1)被保険者であった期間に1年を超えて空白がある場合
(2)過去に基本手当・特例一時金・再就職手当等の基本手当に相当する給付を受給したことがある場合
(3)遡及して被保険者となった場合
(4)育児休業基本給付金の支給に係る休業期間がある場合

出典:雇用保険 被保険者の皆さまへ|厚生労働省

日雇労働者はどのような扱いになる?

1日単位の日雇い仕事を行う従業員や雇用期間が30日以内の従業員は「日雇労働者」と呼ばれ、中でも以下のいずれかの項目に該当する場合には「日雇労働被保険者」となります。

日雇労働被保険者となるのは、日雇労働者のうち、次のいずれかに該当する者です。

① 適用区域内に居住し、適用事業に雇用される者
② 適用区域外の地域に居住し、適用区域内にある適用事業に雇用される者
③ 上記以外の者であってハローワーク(公共職業安定所長)の認可を受けた者

引用:第14章 日雇労働被保険者の給付について|厚生労働省

日雇労働被保険者として雇用保険に加入していると、通常の被保険者と同じく失業時の給付金の支給や就職活動の支援が受けられます。

病気やケガをした場合はどうすればいい?

雇用保険の給付を受けるには、就職する意思と働ける能力があることが前提です。
従って、病気やケガで働けなくなったあとに雇用保険の給付を受けることは難しいです。

ただし、失業手当を支給されることが決まったあとに病気やケガをした場合には、雇用保険の傷病手当を受給できる可能性があります。

雇用保険の傷病手当とは、受給資格者が失業後、ハローワークで求職の申し込みを行った後に、15日以上引き続いて病気やケガのために転職できない場合に支給される手当です。

雇用保険の傷病手当について詳しく知りたい方は、『傷病手当はいくらもらえる?受給条件や申請方法を解説!』を参考にしてください。

雇用保険と間違いやすい用語について

雇用保険と労働保険、社会保険

雇用保険と間違いやすい用語として、「労働保険」と「社会保険」が挙げられます。

「労働保険」とは、雇用保険と労災保険の総称です。雇用保険を含んだより大きな概念ということですね。

「社会保険」とは、厚生年金、健康保険、介護保険の総称とされています。労働保険と対をなす概念として狭義には用いられます。
ただし、「社会保険」は広義な意味では、厚生年金、健康保険、介護保険、雇用保険、労災保険のすべてを総称することもあります。

雇用保険と失業保険、失業手当

1974年までは失業保険法という法律があり、企業などに雇われている人が失業した場合、生活に困らないよう失業保険金が給付されていました。失業手当(雇用保険の基本手当)に近い内容です。

それが現行の雇用保険法に代わり、失業者に対する経済的支援だけでなく、失業の予防や雇用機会の創出、労働者の能力開発を図っています。

ただし呼び名としては「失業保険」が残り、「失業手当」と同じく雇用保険の基本手当を表す言葉として使用されるようになりました。

雇用保険の基本手当を言い表す場合、「失業保険」「失業手当」のどちらを使っても問題はないでしょう。

会社が雇用保険で行うべき手続きについて

従業員を雇用していて雇用保険の対象となる従業員がいる会社は、雇用保険の手続きを進める必要があります。

雇用保険で必要な手続きは、以下の3パターンがあります。

1. 従業員の入社後に必要な手続き
 従業員の「雇入日」もしくは「雇用保険の加入条件に達した日」が属する月の翌月10日までに、「雇用保険被保険者資格取得届」を事業所を管轄するハローワークに提出します。交付された「雇用保険被保険者証」と「雇用保険資格取得等確認通知書(被保険者通知用)」は従業員へ渡しましょう。

2. 退職もしくは加入対象から外れたときに必要な手続き
 従業員の退職から10日以内に、「 雇用保険被保険者資格喪失届」と「 雇用保険被保険者離職証明書」を事業所を管轄するハローワークに提出します。ただし、「雇用保険被保険者離職証明書」は従業員が基本手当(いわゆる失業手当)の受給を希望する場合のみ提出が必要になるため、次の就職先が決まっている場合は提出不要です。

3. 雇用形態の変更により労働時間が変動した場合の手続き
 従業員の雇用形態の変更により、雇用保険の加入条件に該当もしくは適用外となることがあります。
 雇用保険適用内となる場合には、前述の加入手続きが必要です。一方、雇用保険の適用外となる場合には、労働条件変更の前日に離職したとみなし、資格喪失の手続きが必要です。ただし、臨時的な労働時間短縮(おおむね6ヵ月以内)においては、資格喪失の手続きをする必要はありません。

まとめ

この記事では、雇用保険とは何かを解説し、加入条件や手続き、注意点をわかりやすく紹介してきました。

「雇用保険」とは、労働者が失業した場合でも安心して暮らせるように、給付金の支給や就職活動の支援などを行う保険制度で、その給付内容は大きく分けて以下に分かれます。

  • 求職者給付
  • 就職促進給付
  • 教育訓練給付
  • 雇用継続給付

現在働いている場合でも、失業することで収入が途絶えたり、育児や介護などの理由で仕事を辞めて収入が減少するなどは誰にでも起こりますが、雇用保険に加入によってそのようなリスクに備えることができます。

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監修者

 畑井・松原法律事務所

畑井・松原法律事務所

畑井・松原法律事務所は「誠実であること」「実務家であること」「新しい事に取りくむこと」という 3つの理念のもとに生まれた法律事務所です。
専門性を追求しながら、新しいことにも積極的に自らチャレンジしていく新しい法律事務所として継続的な成長を目指しています。

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